『レンジ相場継続するもリスクは依然ダウンサイド。実質金利低下が重石』
〇今週のトルコ円、週初7.89まで上昇後、週央にかけ7.70まで下落、米長期金利上昇等が背景
〇引けにかけては小幅反発7.82前後で推移
〇トルコ円2週間に亘り7.80を挟んだレンジ相場継続、市場参加者に気迷いムードも
〇ファンダメンタルズはトルコ円の下押し材料多い
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.65ー7.95
今週のレビュー(10/3−10/7)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.81円で寄り付いた後、@英中銀による市場安定化を目的とした緊急措置のサプライズ発動(BOEは9/28に長期国債買い入れ再開とQT開始期限の延期を発表)や、A米経済指標(ISM製造業景況指数及び米JOLTS労働力調査など)の不冴な結果、B豪中銀による利上げ幅縮小サプライズ(50bpの利上げ予想に対してRBAは25bpの利上げに留めるサプライズ)、C上記@ABを背景とした米長期金利の急低下(過度な利上げ織り込みの剥落→市場心理改善→新興国通貨上昇)、Dトルコ9月消費者物価指数(結果83.45%、予想83.50%、前回80.21%)の市場予想を下回る結果が支援材料となり、翌10/4にかけて、週間高値7.89円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、Eニュージーランド中銀による50bpの利上げ実施(市場ではRBNZが上記BのRBAに続いて小幅利上げに留めるとの期待感があったがRBNZが50bpの利上げに踏み切ったことで楽観ムードが後退)や、H上記Gを背景とした米長期金利の反転上昇(市場心理悪化→リスクオフ再開)が重石となり、週央にかけて、週間安値7.70円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/8午前4時00分現在)では、7.82円前後で推移しております。
来週の見通し(10/10−10/14)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、約2週間に亘って、7.80円を挟んだ上下動(レンジ相場)が続いております。主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲上限など)も7.80円前後に密集するなど、市場参加者の気迷いムードが確認されます(ロングもショートも作りづらい相場展開)。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@トルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀はCPIが歴史的高水準を記録し続けているにも係わらず2会合連続でサプライズ利下げを実施。先週はエルドアン大統領が「追加利下げ」を指示すると共に「政策金利が年内一桁%まで低下する」と発言)や、A上記@を背景としたトルコリラの実質金利急低下(今週発表されたCPIは市場予想を下回りつつも24年ぶり高水準を更新。PPIも前年比151.5%の急上昇)、
Bトルコ・欧米間の関係性悪化懸念(エルドアン大統領とプーチン大統領の急接近に対する警戒感)、C米FRBによるタカ派傾斜観測(米金利再上昇でトルコから米国への資本流出圧力再開)、Dトルコ経済の先行き不透明感(今週発表されたトルコ9月製造業PMIは前月の47.4から46.9へと一段と低下)、E増加傾向を辿るトルコの双子の赤字(構造的なリラ売り圧力)、F外貨準備減少に伴う介入余力低下への警戒感など、トルコリラ円相場の下押し材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ8月失業率や、トルコ8月経常収支、トルコ8月鉱工業生産、トルコ8月小売売上高に注目が集まります(予想比悪化が示されればレンジ下方ブレイクに繋がる恐れ)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.65ー7.95
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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