ドル円 144円台半ばを中心としたもみあい(週報10月第1週)

先週のドル円は、月曜は前週介入後のドル買い戻しの動きが続き143円台前半から144円台後半へとドル高の動きとなりました。

ドル円 144円台半ばを中心としたもみあい(週報10月第1週)

144円台半ばを中心としたもみあい

〇先週のドル円、安値143.90、高値144.90レベルの1円レンジの中でのもみあい
〇9月の介入実績は約2.8兆円、1998年4月の約2.6兆円を上回り過去最大の介入金額に
〇ドルベースでは1998年は130円程度約200億ドル、今回は145円程度約193億ドルとやや少ない計算に
〇今週は米国雇用統計もあり基本は144円台で横方向のもみあいという動き
〇今週は143.70レベルをサポートに145.20レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通し

先週のドル円は、月曜は前週介入後のドル買い戻しの動きが続き143円台前半から144円台後半へとドル高の動きとなりましたが、それ以降は週末まで安値が143.90レベル、高値は144.90レベルのちょうど1円レンジの中でのもみあいとなりました。

前週に介入が出たことから145円超えを買い上げていくほどの勢いは無いいっぽうで、既に144円割れでは中長期目線でドル買いを仕込みたいという向きが多いようです。また、30日に9月の介入実績が発表されましたが、約2.8兆円と1998年4月の約2.6兆円を上回り過去最大の介入金額であったことが発表されました。

ただ、ドルベースで考えると1998年4月は130円程度約200億ドル、今回は145円程度ですから193億ドルとドルの金額では同程度かやや少ない計算となります。介入の原資は外為特別会計で過去にドル買い介入をした資金ですから、本来であればドルベースで考えるべきだと思いますが、会計上円換算した金額で示されやや違和感があります。

ただ、200億ドル規模のドル売り介入を行ったにもかかわらず、その後のドルは144円台でのもみあいになっていることを考えると過去の介入同様の経過を辿りやすいと言えそうです。前回1997年から1998年のアジア通貨危機において3回(日数にすると6日)介入が行われましたが、1997年月12月、1998年4月、1998年6月のどの介入でもその後、介入前の水準に戻し、改めてドル買いの動きに戻りました。

特に今回は久しぶりの介入となったことから、比較しやすいのは1997年12月のアジア通貨危機における最初の介入であると思います。その時の日足チャートをご覧ください。

144円台半ばを中心としたもみあい

緑の縦線が介入実施日ですが、3回とも1回目の介入はそれなりに効果が出ています。1997年12月の介入では1回目の介入で約5円ほど円高に動き、その後も2営業日連続で介入が実施されましたが2日とも陽線で介入前よりも翌日の方がドル高になって戻って来ています。そしてその後1週間ほど介入前の水準でもみあいとなり、12営業日後には介入前のドル高値を上抜けました。

仮に今回の介入でも同じような動きをするとすれば、以下のようなイメージになります。

144円台半ばを中心としたもみあい 2枚目の画像

具体的には10月10日頃にドル上昇再開というイメージです。まだ時間があることや日柄的には本日は円高に動きやすいこと、また今週は米国雇用統計もあることなどを考えると、今週も基本は144円台で横方向のもみあいという動きになってくると考えられます。

144.50レベルをもみあいの中心と考え、143.70レベルをサポートに145.20レベルをレジスタンスとする週を考えておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月3日(月)
**:** シドニー市場夏時間開始
**:** 中国市場休場(〜7日)
08:50 日銀短観 ☆
08:50 日銀会合主な意見
16:00 トルコ9月CPI、製造業PMI
16:50 フランス9月製造業PMI
16:55 ドイツ9月製造業PMI
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI
17:30 英国9月製造業PMI
22:05 (アトランタ連銀総裁講演)
22:45 米国9月製造業PMI
23:00 米国9月ISM製造業景況指数 ☆
23:00 米国8月建設支出
28:10 NY連銀総裁講演 ☆

10月4日(火)
**:** 香港市場休場
08:30 本邦9月東京区部CPI ☆
09:30 豪州8月住宅建築許可
12:30 豪中銀政策金利発表 ☆
18:00 ユーロ圏8月PPI ☆
21:30 ポルトガル中銀総裁講演
22:00 (ダラス連銀総裁講演)
22:15 クリーブランド連銀総裁講演 ☆
23:00 米国8月製造業新規受注

10月5日(水)
10:00 ニュージーランド中銀政策金利発表 ☆
15:00 ドイツ8月貿易収支
15:45 フランス8月鉱工業生産
16:50 フランス9月サービス業PMI
16:55 ドイツ9月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏9月サービス業PMI
17:30 英国9月サービス業PMI
21:15 米国9月ADP全国雇用者数 ☆
21:30 米国8月貿易収支
22:45 米国9月サービス業PMI
23:00 米国9月ISM非製造業景況指数 ☆
23:30 週間原油在庫統計
29:00 (アトランタ連銀総裁講演)
**:** OPECプラス

23:30 週間原油在庫統計
29:00 (アトランタ連銀総裁講演)
**:** OPECプラス

10月6日(木)
09:30 豪州8月貿易収支
15:00 ドイツ8月製造業新規受注
17:30 英国9月建設業PMI
18:00 ユーロ圏8月小売売上高
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
26:00 (シカゴ連銀総裁講演)

10月7日(金)
09:30 豪中銀金融安定報告公表
15:00 ドイツ8月小売売上高、鉱工業生産、輸入物価
15:45 フランス8月貿易収支
21:30 米国9月雇用統計 ☆
23:00 米国8月卸売売上高

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月26日(月)
週明けのドル円はポンド急落に引っ張られてのドル買いが先行しましたが、介入が出ないとこれまでの金利差拡大による円売りには変化は無いとの見方からドルじり高の展開が続きました。NY後場には144.79レベルまで値を戻し高値圏での引けとなりました。

9月27日(火)
東京市場のドル円は米金利低下の動きとともに前日の上昇に対する調整から欧州市場序盤には144.06レベルまで水準を下げました。海外市場では米金利が上昇に転じたこと、また先週の介入金額が過去最大との予想が前日に出たことから介入効果は限定的との見方も広がり、NY市場では144.90レベルまで上昇後、若干押して引けました。

9月28日(水)
ドル円は東京市場ではほとんど動きが見られず144円台後半の狭いレンジの中でのもみあいを続けました。NY市場では4%台に乗せていた米金利が3.6%台まで低下する動きとともにドル売りの流れとなり、143.90レベルまで下押し後に若干戻して引けました。

9月29日(木)
ドル円は米債利回りに沿った動きとなり、東京市場では144.05水準から始まり欧州市場序盤には144.81レベルの高値をつけました。海外市場ではドル売りの動きからNY昼過ぎに144.26レベルまで下げ安値圏での引けとなりましたが、月末を控えて積極的な取引は手控えられた印象でした。

9月30日(金)
ドル円は期末実需のドル買いがあり仲値までは買いが先行、その後昼過ぎまでは底堅い展開が続いたものの前日高値を超えられず、東京後場は米金利低下も手伝って反落しました。しかし欧州市場序盤に144.20レベルの安値をつけたものの今度は下げきれず、海外市場では米金利上昇とともにNY引け間際には144.81レベルまで買い戻され、高値圏での引けとなりました。

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