ドル高基調は継続、米雇用統計を注視(週報8月第5週)

先週のドル/円相場はドルが小幅に続伸。7月22日以来の高値圏まで値を上げ、週末NYも137円半ばのドル高値で取引を終えている。

ドル高基調は継続、米雇用統計を注視(週報8月第5週)

ドル高基調は継続、米雇用統計を注視

〇先週のドル円、週末にかけドルが続伸し週間高値137.75まで値を上げる
〇ユーロ/ドルはパリティ以下で推移する時間帯長く、ザラ場ベースでは年初来安値更新
〇週末実施されたJホール会合でパウエルFRB議長が利上げ継続方針を改めて示す
〇今週は8月ISM製造業景況指数や同雇用統計などの米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは、136.00-139.40

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小幅に続伸。7月22日以来の高値圏まで値を上げ、週末NYも137円半ばのドル高値で取引を終えている。

先週末は、露ガスプロムが「欧州向けパイプラインを31日から3日間停止する」と発表し話題に。欧州への揺さぶりを強める構えとみられる。一方、22日から公務再開予定だった岸田首相が新型コロナに感染。静養しつつしばらくはオンラインでの公務となる見通しが明らかにされていた。

そうした状況下、ドル/円は136.85-90円で寄り付いたのち、ドルはじり高推移。前週高値を超える137.70円を示現した。しかし、23日に発表された米経済指標が予想以上の弱さとなったことが嫌気されると、一気に2円近い急落。135.82円まで下落し、一時は流れが変わったかに思えたものの、週末にかけドルは再び買い進まれると逆行高に。週間高値137.75円を示現するなど激しい乱高下をたどるなか、そのままドルは高値圏を維持し越週している。
なお、ユーロ/ドルは週間を通し「パリティ(1ユーロ=1ドル)」以下で推移する時間帯も長く、ザラ場ベースでは年初来安値を更新する局面も。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「ウクライナ原発問題」について。
前者は、23日に発表された8月の製造業PMI速報などが予想を下回る結果となり、市場では高まっていた「9月FOMCでの0.75%利上げ」観測が再び後退。ドル/円が137円半ばから一時135円台へと、短時間で2円近いドル急落をたどったトリガーとなった。ただ、週末に実施されるジャクソンホール会合をにらみつつ、再び買い進められるとドルはジワリと下げ幅を縮小。また、Jホール会合でもっとも注視されていたパウエルFRB議長が、利上げを継続する方針を改めて示すなど強気スタンスを表明したことが好感されると、前述したように結果「行って来い」。むしろ対円などでドルは高値引けとなっている。

対して後者は、24日がウクライナの独立記念日に当たるなか、懸念された「ロシア軍が攻撃を強化」といった最悪の事態は取り敢えず見送られた。しかし、ここのところ連日懸念情報が伝えられる「ザポロジエ原発」に関するニュースは依然として多い。たとえば、一時は「同原発に電力を供給する電線が一時切断された」と伝えられ物議を醸す局面もあった。結果的に大事には至らなかったが、ゼレンスキー氏がそののちビデオ演説で述べたように「世界は辛うじて原子力事故を回避した」に過ぎないのかもしれない。今週も引き続き予断を許さない状況が続きそうだ。

<< 今週の見通し >>

先でも取り上げたように、先週のドル/円相場はなかなか激しい乱高下。137.70円から135円台へと下落した際には、上値トライは失敗したとも思ったのだが、そこから週末にかけて買い戻されるとドルは戻り高値を更新している。リスクは引き続きドル高方向にバイアスで、場合によっては年初来高値139.39円への接近、あるいは更新する局面があっても不思議はないのかもしれない。
日米など各国金利情勢への関心が引き続き高いなか、先週のジャクソンホール会合でパウエルFRB議長は予想以上のタカ派コメントを発しており、市場では驚きをもって迎えられていたようだ。そうしたなか、今週は週末に注目の米経済指標である8月の雇用統計が発表される予定となっており、その内容にまずは注目。一方、それとは別にユーロ/ドルが「パリティ(1ユーロ=1ドル)」を割り込むなど、対円以外でもドル高が進行している状況にも注意を払いたい。とくに欧州のエネルギー問題には要注意だ。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は137.70円を上限としたここ最近のレンジを「しっかり上抜けた」とは言えないものの、それでも先週末には137.75円を示現するなどレンジを上抜きかかっていることは間違いない。リスクは引き続きドル高方向に高く、しっかり超えれば139.39円の年初来高値が視界内に捉えられることになりそうだ。
反面、ドルの下値は堅そうだが、こちらは先週安値135.82円を下回ってくると、その限りではない。再び下向きにバイアスのかかった展開をたどる可能性もある。

今週は、8月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標の発表が相次ぐうえ、米地区連銀総裁による講演などの発言機会も多数予定されている。また、それとは別に欧州情勢では、露ガスプロムによるガスパイプラインの停止、そして当初の計画通りに9月2日から「再開」するのかなどへの関心も高い。

そんな今週のドル/円予想レンジは、136.00-139.40円。ドル高・円安については、まずは先週高値137.75円をめぐる攻防に注目。超えれば138円台をスルーし、139円台乗せを目指す展開も。
対してドル安・円高方向は、先週の相場を短期チャートで見ても136円以下で推移していた時間帯が短い。つまり、136円あるいは先週安値135.82円などはかなり強いサポートか。下回れば週内に135円へとレベルを切り上げてくる21日線がターゲット。

ドル高基調は継続、米雇用統計を注視

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る