ドル円見通し 8月23日夜の急落から持ち直し続けて137円到達だが勢いに欠ける(22/8/25)

ドル円は8月23日夜の米PMIや新築住宅販売件数が予想以上に悪かったために135.80円へ急落したが、その後は持ち直しを続けており、24日深夜には137.24円まで切り返した。

ドル円見通し 8月23日夜の急落から持ち直し続けて137円到達だが勢いに欠ける(22/8/25)

8月23日夜の急落から持ち直し続けて137円到達だが勢いに欠ける

〇ドル円、23日夜に135.80へ急落後持ち直しを続け、24日深夜には137.24まで切り返す
〇急落幅の解消には至らず、26日のパウエル議長によるジャクソンホール講演待ちの様相
〇中国の人民元安が進行、8/24には1ドル6.8689元をつけ2020年8月以来の元安水準に
〇米10年債利回りは前日比0.06%上昇の3.11%で8/19からの連騰を継続
〇136.30以上での推移中は137.35超えから8/23午前高値137.71を目指すとみる
〇136.30割れからは前日安値136.17近辺、さらに割り込む場合は8/23夜安値135.80試し

【概況】

ドル円は8月23日午前に137.71円を付けて8月2日安値130.39円以降の高値を更新したところで頭打ちとなり、8月23日夜の米PMIや新築住宅販売件数が予想以上に悪かったために135.80円へ急落したが、その後は持ち直しを続けており、24日深夜には137.24円まで切り返した。
8月24日は米耐久財受注や中古住宅販売保留指数等の発表があったが決め手に欠いた。8月23日以降はユーロやポンド、豪ドル等が総じて下げ渋っているものの戻りの勢いは鈍く、米長期債利回りが上昇していることでドル円はやや押し上げられたものの25日朝時点では23日夜の急落幅の解消には至らずにいる。
全般的には8月26日のパウエル米FRB議長によるジャクソンホール講演待ちの様相だ。

【人民元安に中国当局が牽制入れる】

中国経済指標の鈍化傾向と中国人民銀行による利下げを反映して人民元安が進行しており、8月19日には5月13日の6.810元を超えるドル高元安となり、8月24日には1ドル6.8689元を付けて2020年8月以来の元安水準となった。これに対して中国の外国為替規制当局が複数銀行へ積極的な人民元売りを控えるように電話したとの報道がある。
中国人民銀行は8月22日に今年3回目となる利下げを決定し、最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)をそれまでの3.70%から3.65%へ引き下げ、住宅ローン金利などの目安となる5年超のレートもそれまでの4.45%から0.15%引き下げて4.30%とした。ゼロコロナ政策による経済活動規制が繰り返されていることで中国の景気鈍化への懸念は強まっており、8月15日に発表された鉱工業生産や小売り及び人民元融資が軒並み市場予想を下回った。

内閣にあたる中国国務院は8月24日に6兆円規模の景気対策を決定したと国営中央テレビが報じており、当局による景気テコ入れも本格化してきているが、8月24日の上海総合株価指数が前日比1.86%安と大幅下落するなど足元の景気がぐらついている。
ユーロが1ユーロ1ドルのパリティを割り込む下落となり昨年1月天井以降の安値を更新し、ポンドも昨年6月天井以降の安値を更新していることがドル高感を強めてきたが、ドル高人民元安も8月15日以降のドル高を大きく推進していることも踏まえ、ドル円としてもドル/人民元の動向に注意したいところだ。

【米長期債利回り続伸、NYダウは4日ぶり小反発】

8月24日に発表された7月の米耐久財受注額は前月比変わらずで6月の2.2%増から低下、市場予想の0.6%増を下回ったが、輸送機を除くと0.3%増で6月と変わらず市場予想の0.2%を上回り、設備投資の先行指標である航空機を除く非国防資本財受注は前月比0.4%増で市場予想の0.3%増を上回った。
米不動産業者協会(NAR)による7月の米中古住宅販売仮契約指数は前月比1.0%低下となり、6月の8.9%低下程にはマイナス幅が拡大せず市場予想の2.0%低下を上回った。前年同月比では22.5%低下となり6月の20.1%低下及び市場予想の21.4%低下を上回った。
8月23日の米S&Pグローバルによる8月の米製造業及び非製造業PMIが予想を大きく下回ったことでドル高にブレーキがかかったが、24日の経済統計はインパクトに欠けた。

8月24日のNYダウは前日比59.64ドル高と4日ぶりに反発、ナスダック総合指数も同50.23ポイント高と反発した。ダウは8月19日の前日比292.30ドル安、22日の同643.13ドル安から23日も同154.02ドル安と3日間の続落、下げ一服で買い戻された印象だが、直前の大幅下落に対しての切り返しとしては鈍い。

長期金利の指標となる米10年債利回りは前日比0.06%上昇の3.11%となり、一時は3.13%を付けて8週ぶりの高値水準とし、8月19日からの連騰を継続している。
30年債利回りは前日比0.06%上昇の3.32%で8週ぶりの高値水準とし、2年債利回りは同0.09%上昇の3.39%となり10週ぶりの高値水準となった。
欧州の長期債利回りも上昇したことからユーロなどへの影響は限定的だったがドル円には押し上げ要因となった。2年債と10年債及び30年債の逆イールドは続いている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月23日夜に8月22日夜安値を割り込んで急落したもののその後に1円を超える反騰となったため、24日午前時点では23日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたとし、高値形成期を26日午前から30日午前にかけての間と想定した。137円近辺で確りしているためまだ上昇余地ありとみるが、136.30円割れからは弱気転換注意として23日夜安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして26日夜から30日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月23日夜安値からの持ち直しで遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いているため遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月23日夜の急落時に30ポイントまで低下したところから持ち直しているが、60ポイント超えへ進めずにやや上値が重い印象だ。45ポイント以上での推移中は上昇余地ありとし、60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇を想定するが、45ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、136.30円を下値支持線、137.35円を上値抵抗線とする。
(2)136.30円以上での推移中は137.35円超えから8月23日午前高値137.71円を目指すとみる。137.70円以上は反落注意とするが、勢い付く場合は138円台序盤へ上値目途を引き上げる。
(3)136.30円割れからは前日安値136.17円近辺、さらに割り込む場合は戻り一巡による下落再開の可能性を優先して8月23日夜安値135.80円試しとし、底割れからは135円台序盤試しとみる。

【当面の主な予定】

8/25(木)
カンザスシティ連銀、ジャクソンホールフォーラムを開催(9月27日まで)
14:30 (日) 中村日銀審議委員、記者会見
15:00 (独) 4-6月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
15:00 (独) 4-6月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 1.5%、予想 1.5%)
17:00 (独) 8月 IFO企業景況感指数 (7月 88.6、予想 86.8)
20:30 (欧) ECB・欧州中銀、理事会議事要旨
21:30 (米) 4-6月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 -0.9%、予想 -0.8%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 1.0%、予想 1.5%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 4.4%、予想 4.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 25.0万件、予想 25.3万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 143.7万人、予想 144.2万人)
27:00 (米) 財務省7年債入札

8/26(金)
08:30 (日) 8月 東京区部消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (7月 2.3%、予想 2.5%)
15:00 (独) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 -30.6、予想 -32.0)
21:30 (米) 7月 卸売在庫 前月比 (6月 1.8%、予想 1.4%)
21:30 (米) 7月 個人所得 前月比 (6月 0.6%、予想 0.6%)
21:30 (米) 7月 個人消費支出(PCE) 前月比 (6月 1.1%、予想 0.5%)
21:30 (米) 7月 PCEデフレーター 前年同月比 (6月 6.8%、予想 6.4%)
21:30 (米) 7月 PCEコア・デフレーター 前月比 (6月 0.6%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (6月 4.8%、予想 4.7%)
23:00 (米) 8月 ミシガン大消費者信頼感指数・確報値 (速報 55.1、予想 55.3)
23:00 (米) パウエル米FRB議長、ジャクソンホール会合で講演

注:ポイント要約は編集部

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