ユーロ ドル高でパリティをトライする流れに(週報8月第4週)

先週のユーロドルは、全般的なドル高の地合いの中でユーロ売りの流れが続きました。

ユーロ ドル高でパリティをトライする流れに(週報8月第4週)

ドル高でパリティをトライする流れに

〇先週のユーロドル、強いドル高地合いの中230pips程度の動きにとどまる
〇熱波によるライン川の水位低下、運輸停滞を通じ欧州全体の景気後退懸念を増大
〇ノルドストリームによるロシアからの天然ガス停止など、欧州の悪材料が無くならない状況続く
〇7月に既にパリティ割れを見ていることからパリティ割れ、年初来安値更新までは今週中にありそう
〇今週は0.9850レベルをサポートに1.0150レベルをレジスタンスとするレンジとみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、全般的なドル高の地合いの中でユーロ売りの流れが続きましたが、ドル円の急速な円安の動きがユーロ円でも円売り(ユーロ買い)の動きとなったことで、ドル円が約3円動く中でユーロドルは230pips程度の動きに留まりました。

まずドル買い材料としては今週のジャクソンホールに向けて複数の地区連銀総裁が繰り返しタカ派な発言を行ったことで、パウエル議長が講演でタカ派なスタンスを強調するのではないかという思惑が広がったことが大きかったと言えます。米金利は週明け早朝には米国10年債利回りが7月21日以来の3%の大台乗せを見ています。

また欧州の景気後退リスクは以前から言われていることですが、熱波によるライン川の水位低下がドイツのみならず欧州全体の景気後退懸念を増大させています。ドイツ国内のライン川はフランクフルトあたりの水位が通常は1.5m程度あるそうですが、先週は35cmにまで低下し、積み荷を4分の1程度に減らしてかろうじて運航できる状態で、大型船舶では積み荷なしでも航行できない状況にまで悪化しているようです。今週は雨天で状況が改善すると言われていますが、しばらくは懸念がつきまといます。

またここに来てメンテナンスと言われていますがノルドストリームによるロシアからの天然ガスが8月31日から9月2日まで停止し、その後の供給がこれまで通りのものとなるのかの不安もあります。天然ガス価格は年初来高値に接近し、他のエネルギー価格も底堅くなっています。9月にはイタリアの総選挙もありますし、欧州にとっての悪材料はなかなか無くならない状況が今後も続きそうですから、ユーロドルはいつパリティを下回り、大きく下げる動きにつながってもおかしくない状況と言えます。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル高でパリティをトライする流れに

年初来高値からの下降チャンネルが依然としてよく効いていますが、8月も上値をチャンネルのレジスタンスライン(青の太線)で抑えられたことで改めてパリティ割れを狙いやすい流れとなってきました。7月に既にパリティ割れを見ていることから、今回はそれほど抵抗なく下げていく可能性が高く、パリティ割れ、年初来安値更新というところまでは今週中にでもありそうです。

その後の下値のターゲットとしては、近いところでは6月下旬高値を起点とした逆N波動(ピンク)を考え、その78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが0.9846と0.98台半ばと前回安値よりも100pipsほど下となり、今回の下げのターゲットとしては妥当な水準であると思えます。上値はこれまでのサポートであった1.01台半ばがレジスタンスとなりやすいため、今週は0.9850レベルをサポートに1.0150レベルをレジスタンスとするレンジを見ておくこととします。

今週のコラム

今週はポンドドルの日足チャートを見ます。

今週のコラム

ポンドドルもユーロドルと似たようなチャートとなっていて最近の下げで7月につけた年初来安値1.1759レベルまで30pips強という水準を金曜には見ています。こちらも今週にでも年初来安値更新という動きを見ることは必至でしょうから、ユーロドルよりも先にポンドドルが安値を更新して、その動きの中でユーロドルも更新という流れになる感じがします。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月22日(月)
(特になし)

8月23日(火)
16:15 フランス8月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ8月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏8月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国8月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:00 ユーロ圏8月消費者信頼感速報値 ☆

8月24日(水)
(特になし)

8月25日(木)
15:00 ドイツ4〜6月期GDP改定値
15:45 フランス8月企業景況感
17:00 ドイツ8月ifo企業景況感
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
**:** ジャクソンホール(〜27日)

8月26日(金)
15:00 ドイツ9月消費者信頼感
15:45 フランス8月消費者信頼感
23:00 パウエルFRB議長講演 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月15日(月)
ユーロドルは東京市場から上値の重たい展開となっていましたが、背景は元々欧州の景気後退懸念がある中で、熱波によりライン川の水位が下がり船舶通行に支障が出ていることも影響出てきました。また欧州市場に入り発表されたドイツのWPIが下げたこともユーロ売りとなり、その後も終日ユーロは対ドル、対円でじり安の展開を続けて引けました。

8月16日(火)
ユーロドルはドル高の動きとともにユーロがじり安となっていましたが、ユーロ円での円売りも出ていたことからNY朝方の安値は1.0122レベルまでで反転上昇となりました。引けにかけては1.0195レベルと日中高値を更新後にやや押して引けました。

8月17日(水)
ユーロドルは終日ほとんど動きが見られず、1.01台後半の狭いレンジでもみあいを続け、値幅も58pipsに留まり、新規材料待ちという状況のまま引けました。

8月18日(木)
ユーロドルはNY市場までは下げが先行後に買い戻しが入り1.01台後半で鈍い動きとなっていました。NY市場に入ってからはドル買いの動きによるユーロ売りとなり、ドイツの熱波など悪材料もあることから1.0079レベルまで水準を下げて安値引けとなりました。

8月19日(金)
ユーロドルではドル高の流れが終日続きNY後場には一時1.0032レベルとパリティを試そうという動きにつながりました。週末前ということでトライはしなかったものの早晩バリティ割れを見に行きそうな地合いのままでの週末クローズとなりました。

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