3週間ぶり高値圏、ドル続伸への期待感も(週報8月第4週)

先週のドル/円相場はドルが反騰高。週末には7月27日以来となる137円台を示現する局面も観測されていた。

3週間ぶり高値圏、ドル続伸への期待感も(週報8月第4週)

3週間ぶり高値圏、ドル続伸への期待感も

〇先週のドル円、反騰高で週末には7/27以来約3週間ぶりとなる137円台に
〇連銀総裁などの強気発言で「次回9月FOMCでの0.75%利上げ」見通しが再び優勢、ドルの支援要因に
〇25日からジャクソンホール経済シンポジウム開催、26日のパウエルFRB議長講演に注目
〇今週は、4-6月期GDP改定値や7月個人支出などの米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは、134.50-139.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが反騰高。週末には7月27日以来となる137円台を示現する局面も観測されていた。

前週末は、先日のペロシ氏訪台に続き、今度はマーキー上院議員(民主党)率いる米議員団が訪台したとして話題に。また、それとは別にロシア軍が占拠するウクライナのザポロジエ原発に対する「断続的な砲撃」などといった報道もいまだ観測されており、放射性漏れの危険性も指摘されていたようだ。

そうした状況下、ドル/円は133.40-45円で寄り付いたのち、当初ドルがやや冴えない。週間安値である132.56円まで一時値を崩している。しかし、安値を示現後は一転して反騰高の動き。途中ストップロスを巻き込むと、過去2週間程度ドルの戻りを阻んでいた135円半ばなどの抵抗を次々に上抜け。週末には約3週間ぶりとなる137円台を示現し、週末NYもそのままドル高値圏136.90円レベルで取引を終え、越週となった。
なお、為替市場への影響は軽微だったが、17日には「北朝鮮が巡航ミサイル2発を発射した」とのニュースが伝えられており、一部では話題になっていたという。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策と物価情勢」と「ウクライナ原発問題」について。
前者は、ここ最近、5日の米雇用統計や10日の米消費者物価をめぐり相場が荒れ模様の値動きをたどるなか、先週は17日に公表された7月米FOMC議事録要旨が相場の波乱要因に。「当局者は継続的な利上げが適切と判断」と全体的には強気の見通しが示されたものの、同時に「ある時点において利上げペースを減速させることが適切となる可能性が高いと判断した」などとした記述が含まれていたことが嫌気されドル売りが一時進行している。しかし、週末にかけては発表される米経済指標が好数字を示したうえ、サンフランシスコ連銀総裁が「次回9月の利上げは0.5%か0.75%の利上げが妥当」と発言。その後も、別の地区連銀総裁からも強気発言が相次ぐと、金融市場では一時萎んでいた「次回9月FOMCでの0.75%利上げ」見通しが再び優勢に。ドルの支援要因となっていた。

対して後者は、ロシアの管理下にある欧州最大級のザポロジエ原発付近で砲撃があったと伝えられるなか、ロシアとウクライナは互いを強く非難。揃って、「相手の攻撃だ」と訴えていた。そうしたなか、ウクライナ大統領がトルコのエルドアン大統領と国連のグテレス事務総長と3者会談を開催。グテレス氏からは、ロシアに対し「ウクライナ原発非武装化」などが呼びかけられたものの、ロシア外務省は早々に拒否反応。「受け入れれば、ザポロジエ原発は一段と脆弱になる」などと指摘するなど、依然として前途多難な様相だ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は、先週も週間を通し4円以上の変動をたどるなど、引き続きボラティリティの高い状態。バイデン米大統領など政府要人が夏休みをとるほか、市場参加者もサマーバカンス入りしている向きは多く、いましばらく取引参加者の少ない状態が続くことになりそうだ。「薄商い=小動き」ということも当然予想されるが、今年はどうも「薄商い=荒れ模様」になりがち。今週も思わぬ価格変動には一応要注意。
日米を中心とした各国金利情勢への関心が依然として高いなか、前記したように一時期後退していた「次回9月FOMCでの0.75%利上げ」見通しが復活しているようだ。それが先週のドル高・円安を支援していた感も否めない。そうしたなか、今週も幾つか重要な米経済指標が発表されるほか、25日からは注目の「ジャクソンホール経済シンポジウム」が始まる予定となっている。もっとも注視される26日のパウエルFRB議長講演を中心に、会合全体へもしっかりとした注意を払っておきたいところだろう。

テクニカルに見た場合、7月後半以降のドル/円は移動平均の21日線と90日線に挟まれた動きをたどってきたが、先週上値を抑えてきた21日線をしっかりと上抜けている。週末にかけては逆に21日線を踏み台にして、137円台へとジャンプアップも見せた。一朝一夕に高値トライということはなさそうだが、それでもドルの上値展望が広がり、ドルの続伸が期待されている。年初来高値139.39円を起点としたフィボナッチでは、下げ幅の76.4%戻しがちょうど先週高値137.25円レベルにあたることは多少気掛かりだが、しっかり超えればさらなるドル高の進展も。

今週は、4-6月期のGDP改定値や7月の個人支出といった米経済指標の発表が相次ぐうえ、先でも取り上げた「ジャクソンホール経済シンポジウム」に注意を要したい。また、それとは別に週明け22日から「米韓合同軍事演習」が行われる見通し。反発を強める北朝鮮が再びミサイル発射などに動かないとも限らない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、134.50-139.00円。ドル高・円安については、フィボナッチポイントにもあたる先週高値をめぐる攻防にまずは注目。超えれば137円半ば、そして138円台乗せも。
対してドル安・円高方向は、これまでドルの抵抗だった135円半ばが今度はサポートになるのかが注視されている。下回れば週明けは134円半ばに位置する21日線がターゲット。

3週間ぶり高値圏、ドル続伸への期待感も

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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