トルコ中銀利下げショックを円安で解消だが、対ドルでは18リラ台の最安値圏推移続く
〇トルコリラ円、19日夜にかけてドル円の動きに合わせた展開、7.58へ上昇し8/11安値以降の高値更新
〇対ドルでは狼狽的な売り一巡でいったん17.97まで戻したものの再び1ドル18リラ台での推移に
〇円安とリラ安の弱い通貨同士の綱引き、今後は1ドル18リラを超えたドル高リラ安でリラ安優勢か
〇7.50以上での推移中は上昇余地あり、7.60超えからは7.63前後を試すとみる
〇7.50割れからは戻り一巡による下落期入りを警戒し7.40台中盤への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の8月19日は7.58円から7.51円の取引レンジ、20日早朝の終値は7.57円で前日終値の7.52円からは0.05円の円安リラ高だった。
8月18日夜にトルコ中銀が市場予想に反して政策金利を14%から13%へ引き下げたことからドル/トルコリラでは1ドル18リラの壁を超えるリラ安となり、トルコリラ円も直前の7.52円近辺だったところから7.44円まで急落したが、対ドルでのリラ急落が落ち着いた後はドル円の大幅高に押し上げられる展開となり、19日早朝には7.56円へ切り返して利下げ発表後の下落を解消して発表前水準も上回った。
8月19日の日中から夜にかけてはドル円の動きに合わせた展開となり、米長期債利回り上昇を見ながらドル円が19日深夜に137.23円を付けて8月2日安値130.39円以降の高値を更新した局面でトルコリラ円も7.58円へ上昇して8月11日安値7.33円以降の高値を更新して8月9日高値7.60円に迫った。
週間では8月12日終値7.44円から0.13円の円安リラ高だった。
【中銀利下げショック落ち着くも1ドル18リラ台での推移続く】
ドル/トルコリラの8月19日は18.13リラから18.04リラの取引レンジ、20日早朝の終値は18.09リラで前日終値の18.01リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
8月18日夜にトルコ中銀が予想外に政策金利を14%から13%へ引き下げたことをサプライズとして1ドル18リラの壁を超える急落となり、利下げ直後の急落では18.14リラの安値を付けて昨年12月12日高値10.06リラ以降の最安値を更新、12月20日の史上最安値18.36リラ以来の安値となった。狼狽的な売り一巡でいったん17.97リラまで戻したものの再び1ドル18リラ台での推移に入ったが、19日も取引時間中の新たな安値更新は回避したものの終値ベースでは史上最安値を更新した。
週間では8月12日終値17.93リラから0.16リラのドル高リラ安だった。
【円安とリラ安の攻防だが1ドル18リラ突破によりリラ安優勢へ向かうか】
米FRBの年内大幅利上げ継続姿勢を背景に為替市場は全般的にドル高となりドル高円安、ドル高リラ安が進行中のため、トルコリラ円は円安とリラ安の弱い通貨同士の綱引きとなっている。 ドル円が2021年1月を起点とした歴史的な大上昇期にあり、7月14日高値から8月2日安値にかけて大幅下落したところから急回復しているためにトルコリラ円も現状では円安主導での推移といえるが、1ドル18リラの壁を超えてドル高リラ安が一段階進んだことにより今後はリラ安が勢い付いて円安では支えきれなくなるのではないかと思われる。
ドル/トルコリラは12月23日高値からの下落再開当初は1ドル14リラを壁として下支えられ、それが突破されると1ドル15リラが新たな壁となり、5月序盤に1ドル15リラを超えたところからは1ドル16リラでは止まらずに1ドル17.50リラまで一挙に下値支持線が切り下がった。6月27日への反騰も一巡して1ドル17.50リラを超えた後は1ドル18リラの攻防だったが、それも今回のトルコ中銀利下げをきっかけに破られた。既に昨年12月20日の市場最安値18.36リラに迫る水準のため、当面は最安値試しの攻防と思われるが、史上最安値を更新した後に想定される壁は1ドル19リラまで切り下がるのではないかと思われる。
一方でドル円も7月14日高値139.39円を超えれば140円台後半へ向かう可能性もあるため、円安が目立つ局面ではトルコリラ円も円安に同調するだろうが、対ドルでトルコリラが史上最安値更新に入り始める場合はリラ安が円安を凌駕してくるのではないかと警戒したい。
【概ね3か月から4か月周期のサイクルではまだ下落期の範囲】
トルコリラ円の日足においては概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルが見られ、2020年11月6日底以降の主要な安値は2021年3月8日、6月2日、9月27日、12月20日、2022年3月11日と続き、そこから3か月目の6月16日安値で直近のサイクルボトムを付けている。8月2日安値からはやや戻し気味の推移ではあるが、6月16日安値からはまだ底打ちのための日柄が浅いため、現状は6月27日高値からの下落一服による下げ渋り型の中段持ち合いを形成しているところと思われる。
現状から7.60円前後で上値が重くなる場合は下値支持線が切り上がりつつ上値抵抗線がほぼフラットの三角持ち合い型となり、8月9日高値を超えて7.70円前後まで戻す場合はジグザグの二段戻しによるフラッグ=旗型持ち合いを形成するのではないかと思われる。
いずれの場合も8月2日と8月11日の安値を結ぶ下値支持線を割り込むところからは持ち合い下放れに向かい、8月2日安値7.27円を割り込むところからは昨年12月20日の史上最安値6.17円まで下値目途が見当たらなくなり下げ足が早まる可能性もあると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月18日夜に急落したもののその後の反騰で8月17日夜高値を上抜いたため、8月19日午前時点では8月18日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしたところとし、サイクルトップ形成期を8月22日夜から24日夜にかけての間と想定した。8月19日夜へ高値を更新してからも高止まりしているのでまだ上昇余地ありとし、現時点から弱気サイクル入りするには7.50円を割り込んでさらに続落するような展開が必要と思われる。
60分足の一目均衡表では、8月19日夜への続伸で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いた状況も維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とし、先行スパンから転落するところからは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月18日夜の急落時に20ポイントを割り込んだところからの持ち直しを続けて19日夜以降も50ポイント台を維持しているので65ポイント超えからは70ポイント台前半を目指す上昇へ向かいやすいところとみる。ただし45ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント前後を試すとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.50円を下値支持線、7.60円を上値抵抗線とする。
(2)7.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.60円超えからは7.63円前後を試すとみる。7.63円以上は反落警戒とするが、7.55円以上での推移なら23日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.50円割れからは戻り一巡による下落期入りを警戒して7.40円台中盤(7.47円から7.43円)への下落を想定する。7.45円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、7.50円以下での推移なら23日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月22日
17:00 7月 観光客数 前年同月比(6月145%)
23:30 7月 中央政府債務 (6月 343億リラ)
8月23日
16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 68.0)
8月25日
16:00 8月 製造業景況観指数 (7月 103.7)
16:00 8月 設備稼働率 (7月 78.6%)
20:30 週次 外貨準備高 8/19時点 グロス (8/12時点 725.6億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 8/19時点 ネット (8/12時点 156.8億ドル)
8月29日
16:00 8月 経済信頼感指数 (7月 93.4)
16:00 7月 貿易収支 (6月 -81.7億ドル)
8月31日
16:00 4-6月 GDP 前期比 (1-3月 1.2%)
16:00 4-6月 GDP 前年同期比 (1-3月 7.3%)
注:ポイント要約は編集部
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