FOMC議事録公開後に反落、8月8日高値手前で足踏み
〇ドル円、米長期債利回り上昇で17日夜高値135.49へ上昇、11日安値以降の高値更新
〇その後18日未明の米FOMC議事録発表直後に利上げペース鈍化意識され134.78まで反落
〇売り一巡後は135円台序盤へ戻すも高値更新への勢いに欠け8/11夜からの上昇に一服感
〇米FOMC議事録「ある時点で利上げペースの減速が適切になる」との認識で一致
〇17日の米長期債利回りは総じて上昇したがFOMC議事録公開からは上げ幅を削る
〇134.78以上での推移中は17日夜高値135.49超えから136円台序盤を目指す上昇を想定
〇134.78割れからは下落期入りとみて134円前後への下落を想定
【概況】
ドル円は米長期債利回りの上昇を見ながら8月17日夜高値で135.49円へ上昇、米CPIとPPIの鈍化から8月11日夜に付けた安値131.72円以降の高値を更新して8月8日午前高値135.57円に迫ったが、18日未明の米FOMC議事録が高インフレ抑制のため金融引き締めを継続する姿勢の一方で「ある時点で利上げペースの減速が適切になる」との見解で一致したとされたため、利上げペースの鈍化が意識されて発表直後に134.78円まで反落した。売り一巡後は135円台序盤へ戻しているが高値更新へ進む勢いに欠けており、8月11日夜からの上昇に一服感が出ている。
【米FOMC議事録公開内容はハト派的】
米FRB(連邦準備制度理事会)は18日未明に7月26-27日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公開した。議事要旨によればFOMCメンバーは「インフレは受け入れがたい高さにとどまっている」と認識して金融引き締めを継続する姿勢を示したが、これまでの引き締め効果を見極めて「ある時点で利上げペースの減速が適切になる」との認識でも一致していた。また7月の利上げにより政策金利は景気を過熱も冷却もしない「中立的な水準」に達したとし、インフレが高止まりして上振れリスクのある状況なら「近いうちに金利を景気抑制的な水準へ引き上げることが適切」とした。今後の利上げについては「インフレを目標の2%へ戻すことを確実にするために暫くは金利据え置きが妥当」、「必要以上に引き締めてしまうリスクもある」とし、「経済指標に従い引き締めのペースと度合いを決定する」とされた。
7月のFOMC後には8月5日の米雇用統計が予想を超える強さを示したこと、8月10日の米CPIの前年比が9月に付けた40年ぶり高水準の9.1%から8.5%へと鈍化したことは織り込まれていない。
議事録に対する市場の反応は大きくなく、サプライズ感はなかったが、9月のFOMCにおける利上げ幅についての市場予想は0.75%予想から0.50%予想へと切り下がっている印象だ。
【米長期債利回りは低下、NYダウは6日ぶり反落】
8月17日のNYダウは前日比171.69ドル安と下落した。前日までは5営業日連騰だったため利益確定売りが優勢となった印象だ。7月の米小売売上高は前月比横ばいとなり、6月の0.8%増から低下して市場予想の0.1%増を下回ったために高インフレによる消費低迷への懸念がもたれたことが売り材料視されたようだ。FOMC議事録公開については利上げペースの鈍化期待となり一時的な上昇反応も見られたが勢い付かず買い一巡後は失速している。ナスダック総合指数は前日比164.43ポイント安で16日からの続落となった。
8月17日の米長期債利回りは総じて上昇したがFOMC議事録公開からは上げ幅を削った。指標の10年債利回りは前日比0.09%上昇の2.90%となった。2.92%まで上昇したところから議事録公開後に2.88%までいったん低下してからやや戻した。
30年債利回りは前日比0.07%上昇の3.16%、2年債利回りは前日比0.02%上昇の3.29%となったが、3.35%まで上昇していたところから議事録公開後に反落した。
2年債と10年債の逆イールドが続いており、逆イールド幅は8月10日にマイナス0.56%まで拡大して2000年以降で最大となったあとは格差が縮小している。
ドル円としては指標の10年債利回りが上昇幅を若干けずったものの連騰したこと、2年債利回りが議事録公開後に反落したことで一時的に下落したが、いずれも高止まり状態のために下げも限定的だった印象だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月11日夜安値をサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、15日夜安値からの反騰を続けて16日夜に12日夜高値を超えたため、8月17日朝時点では8月15日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたとし、サイクルトップ形成期を17日夜から19日夜にかけての間と想定した。
8月17日深夜へ一段高したところからいったん135円割れへ反落しているために既にサイクルトップを付けた可能性がある。18日未明反落時の安値134.78円を上回るうちは上昇継続余地ありとするが、134.78円割れからは弱気サイクル入りとして18日夜から22日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月16日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いてきたが、その後も両スパンそろっての好転を維持している。18日未明の反落では26本基準線が下値支持線として機能した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新へ進めずに推移すれば遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは安値試し優先とし、先行スパンの上下限を試す下落を想定する。
60分足の相対力指数は8月17日夜高値で80ポイントへ上昇したところから60ポイントまで急落となったが、17日の明け方の反落では80ポイントに迫ったところから50ポイントまで下げて切り返しているため、50ポイント以上での推移中は70ポイント超えから一段高を試す可能性があるとみる。ただし高値更新の際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は反落開始を疑い、50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント台へ向かう流れとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月18日未明安値134.78円を下値支持線、8月17日夜高値135.49円を上値抵抗線とする。
(2)134.78円以上での推移中は135.49円超えから136円台序盤を目指す上昇を想定する。136円到達では売られやすいとみるが、135円以上での推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)134.78円割れからは下落期入りとみて134円前後への下落を想定する。134円割れは買いも入りやすいところとみるが、下げ足が早まる場合は133円台中盤(133.70円から133.30円)へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
8/18(木)
10:30 (豪) 7月 新規雇用者数 (6月 8.84万人、予想 2.50万人)
10:30 (豪) 7月 失業率 (6月 3.5%、予想 3.5%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前月比 (5月 0.4%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前年同月比 (5月 2.9%)
18:00 (欧) 7月 HICP・消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 8.9%、予想 8.9%)
18:00 (欧) 7月 HICP・消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 4.0%、予想 4.0%)
21:30 (米) 8月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (7月 -12.3、予想 -5.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.2万件、予想 26.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 142.8万人、予想 143.8万人)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数・年率換算 (6月 512万件、予想 487万件)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数 前月比 (6月 -5.4%、予想 -4.9%)
23:00 (米) 7月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (6月 -0.8%、予想 -0.5%)
26:20 (米) ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、講演
26:45 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会参加
8/19(金)
07:45 (NZ) 7月 貿易収支 (6月 -7.01億NZドル)
08:01 (英) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 -41)
08:30 (日) 7月 全国消費者物価指数 前年同月比 (6月 2.4%、予想 2.6%)
08:30 (日) 7月 全国消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (6月 2.2%、予想 2.4%)
08:30 (日) 7月 全国消費者物価指数・生鮮食品エネルギー除く 前年同月比 (6月 1.0%、予想 1.1%)
15:00 (英) 7月 小売売上高 前月比 (6月 -0.1%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 -5.8%、予想 -3.3%)
15:00 (英) 7月 小売売上高・除自動車 前月比 (6月 0.4%、予想 -0.3%)
15:00 (英) 7月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (6月 -5.9%、予想 -3.1%)
15:00 (独) 7月 PPI・生産者物価指数 前月比 (6月 0.6%、予想 0.7%)
17:00 (欧) 6月 経常収支・季調済 (5月 -45億ユーロ)
22:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、討論会参加
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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