ドル高継続で134円台回復、7月14日からの下げ幅の半値戻しに迫る
〇3日夜の米ISMサービス業景況指数きっかけに米長期債利回り続伸、ドル円134.54まで高値伸ばす
〇その後米長期債利回り急伸一服で低下に転じ新たな高値へ進めず、4日午前序盤は134円割り込む
〇ISM発表の7月米サービス業景況指数は56.7で6月55.3から上昇、市場予想の53.5を上回る
〇133.50以上での推移中は上昇余地あり、134.54超えからは135円台への上昇を想定
〇133円割れからはいったん下げに入るとみて132円前後への下落を想定
ドル円は8月2日夜の米長期債利回り反騰をきっかけに急伸し、8月2日安値130.39円から8月3日午前高値133.89円へ上昇、いったん132.27円まで反落したもののジリ高で切り返し、3日夜の米ISMサービス業景況指数が市場予想及び前月を上回ったことをきっかけに米長期債利回りが続伸したところで134.54円まで高値を伸ばした。その後は米長期債利回りが急伸一服で低下に転じたために新たな高値へは進めずに8月4日午前序盤には134円を割り込んでいる。
米サプライ管理協会(ISM)が発表した7月の米サービス業景況指数は56.7となり6月の55.3から上昇、市場予想の53.5を上回った。6月の製造業新規受注は前月比2.0%増となり5月の1.8%増から拡大して市場予想の1.1%増も上回った。
【7月14日からの下げ幅に対する半値戻しに迫る】
7月14日高値139.39円から8月2日安値130.39円まで9.00円の下落幅となったが、8月3日夜高値まで4.15円の上昇となり半値戻しに迫っている。また7月29日夜高値134.58円とほぼ面合わせして下落分をほぼ解消、7月28日朝の戻り高値からの下落幅7.07円に対しては半値戻しをクリアしている。
週末に米雇用統計を控えていること、8月2日に急上昇して3日も一時大幅続伸した米長期債利回りが前日比でマイナスまで失速したこともあり、目先は一段高期待と共に週末へ向けたポジション調整による売り圧力も働きやすいところにあると注意したい。
【米10年債利回りは大幅続伸後に低下、米国株は反騰】
長期金利の指標である米10年債利回りの8月3日は前日比0.05%低下の2.71%となった。8月2日に2.52%まで低下して6月14日の3.50%以降の安値を付けたところから当日高値2.77%まで急伸して3日夜も2.83%まで続伸したが、急騰一巡と米中関係悪化への懸念やリセッションへの不安を反映して債券買いが再燃したことで失速した。
30年債利回りも0.06%低下の2.95%となり3%を再び割り込んだ。2年債利回りは8月2日に2.83%から3.08%まで急伸して3日も一時3.19%まで大幅続伸したがその後の反落により前日比0.01%上昇の3.07%に終わった。2年債と10年債利回りの逆イールドは継続している。
米地区連銀総裁らによる大幅利上げ継続支持、インフレが落ち着くまでは利上げが一巡してもその水準が長期的に継続するとの見方や米中関係悪化に対する安全資産買いなどが前日からの急反騰の背景となったが、一方では利回り益確保の買いも旺盛で連騰にはブレーキがかかった印象だ。
NYダウは前日比416.33ドル高と反騰して8月2日の前日比402.23ドル安による下げ幅を解消、ナスダック総合指数も同319.40ポイント高と上昇して2日の同20.22ポイント安から大幅な切り返しとなった。ISMサービス業景況指数が良好だったことに加え、地区連銀総裁らが利上げ継続を支持する一方で深刻なリセッション入りにはならないだろうとの楽観見通しも示したことで債券買いと平行して株買いも積極的だったようだ。またNY原油が目先の需給緩和感から急落したためにインフレがエスカレートする懸念が後退したことも株買いに寄与したようだ。
ドル円としては株高によるリスク選好感、原油安による輸入インフレ圧力の後退、米長期債利回りが急伸一服ではあるものの反騰入りし始めたことが大きな押し上げ要因であり、7月14日高値から9円の大幅下落でやや過剰に売られ過ぎた反動も重なって上昇を継続したといえそうだ。
【米地区連銀総裁らの早期利下げ再開期待にくぎ刺す発言続く】
ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は8月3日に市場の一部で米FRBが来年にも利下げに転じるのではないかとの見方が出ていたことに対して「可能性が極めて低いシナリオだ」と釘を刺した。
米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は9月の次回FOMCでの0.50%利上げを支持するとしたが、インフレ指標次第では0.75%利上げもあり得るとし、「金融引き締めによる景気減速はまだ完全には現れていない」と指摘して景気減速はこれからと指摘した。
シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は前日に9月会合での0.50%利上げを支持する発言を行い、0.75%利上げでも問題はないとしている。また2022年末までには政策金利を3.25〜3.50%へ引き上げ、2023年末には3.75〜4.00%へ引き上げるのが妥当なシナリオだとした。年内残り3回の会合で1.00%の利上げを行う必要があるとの認識であり、大幅利上げペースはやや鈍化するとしても利上げ継続による金融引き締め感の強まりが来年も続く見通しを示唆している。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、7月29日午後安値を底割れしたことによる弱気サイクル入りとしていたが、8月2日夜の急伸により8月3日午前時点では8月2日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改めて8月3日夜から5日夜にかけての間への上昇を想定した。8月3日夜に一段高しているためまだ上昇余地が残るが、連騰に対する修正安も警戒されるところのため133円割れからは弱気サイクル入りとして5日午前から9日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月2日夜の急騰により遅行スパンが好転、3日午前に先行スパンも突破したが、その後も両スパンそろっての好転を続けているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月3日午前高値から3日深夜高値への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行気配が見られるため、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、133.50円を下値支持線、8月3日夜高値134.54円を上値抵抗線とする。
(2)133.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、134.54円超えからは135円台への上昇を想定する。135円到達では売られやすいとみるが、133.50円以上での推移なら5日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)133円割れからはいったん下げに入るとみて132円前後への下落を想定する。132円台序盤以下は押し目買いされやすい水準とみるが、133円以下での推移なら5日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8/4(木)
10:30 (豪) 6月 貿易収支 (5月 159.65億豪ドル、予想 142.00億豪ドル)
15:00 (独) 6月 製造業新規受注 前月比 (5月 0.1%、予想 -0.7%」)
15:00 (独) 6月 製造業新規受注 前年同月比 (5月 -3.1%、予想 -9.1%)
20:00 (英) 英中銀(BOE)、政策金利 (現行 1.25%、予想 1.75%)
21:30 (米) 6月 貿易収支 (5月 -855億ドル、予想 -801億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 25.6万件、予想 26.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 135.9万人)
25:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、対話集会に参加
8/5(金)
ロシア・トルコ大統領会談(ロシア・ソチ)
08:30 (日) 6月 全世帯消費支出 前年同月比 (5月 -0.5%、予想 1.5%)
10:30 (豪) 豪中銀(RBA)、四半期金融政策報告
14:00 (日) 6月 景気先行指数CI速報値 (5月 101.2)
14:00 (日) 6月 景気一致指数CI速報値 (5月 94.9)
15:00 (独) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 0.2%、予想 -0.4%)
15:00 (独) 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 -1.5%、予想 -1.3%)
21:30 (米) 7月 非農業部門就業者数 前月比 (6月 37.2万人、予想 25.0万人)
21:30 (米) 7月 失業率 (6月 3.6%、予想 3.6%)
21:30 (米) 7月 平均時給 前月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 平均時給 前年同月比 (6月 5.1%、予想 5.0%)
28:00 (米) 6月 消費者信用残 前月比 (5月 223.5億ドル、予想 285.0億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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