トルコリラ円見通し ドル円は持ち合いだが、ドル高リラ安の継続で対ドルで6営業日続落(22/7/8)

ドル/トルコリラでのドル高リラ安が続いているためにトルコリラ円はリラ安に圧されて続落している。

トルコリラ円見通し ドル円は持ち合いだが、ドル高リラ安の継続で対ドルで6営業日続落(22/7/8)

ドル円は持ち合いだが、ドル高リラ安の継続で対ドルで6営業日続落

〇トルコリラ円、7/7は7.91から7.84の取引レンジ、対ドルでのリラ安に圧されて続落
〇今晩米雇用統計の発表、7月後半から8月序盤にかけての方向性を決めるような重要局面として注目
〇対ドル、7/7は17.32から17.19の取引レンジ、6/30から6営業日連続のドル高リラ安
〇ポンド反発や豪ドル持ち直しなど市場全般的にはドル高一服感が見らるも、リラ安は収まらない印象
〇本日5月トルコ経常収支の発表、経常収支悪化ならばリラ売り材料になりやすく要注目
〇7.91以下での推移中は一段安余地ありとし、7.82割れからは7.70台後半を目指す下落を想定する
〇7.91超えからは7.95前後への上昇を想定するが、7.93以上は反落警戒とみる

【概況】

トルコリラ円の7月7日は7.91円から7.84円の取引レンジ、8日早朝の終値は7.87円で前日終値の7.88円からは0.01円の円高リラ安だった。
ドル円は134円割れを買われて136円台では戻り売りにつかまる持ち合いに入っており動意にやや欠けるが、ドル/トルコリラでのドル高リラ安が続いているためにトルコリラ円はリラ安に圧されて続落している。
今晩は米雇用統計の発表があり、内容次第では米連銀による金融引き締め姿勢強化としてリセッション入り懸念が高まりリスク回避的な動きとなりかねないが、その際はリラ安と共に円高が重なる可能性もあると注意したい。逆に金融引き締め姿勢がやや緩む印象となればリスクオン心理回復でリラが戻しドル円も上昇するような両面から押し上げられる可能性もある。7月後半から8月序盤にかけての方向性を決めるような重要局面として注目したい。

【ドル高に一服感あるもののユーロ安とリラ安続く】

ドル/トルコリラの7月7日は17.32リラから1719リラの取引レンジ、8日早朝の終値は17.27リラで前日終値の17.21リラから0.06リラのドル高リラ安となった。
6月24日夜に外貨保有企業が規制を超える場合に新規融資を停止するというリラ防衛策が発表したことで狼狽的なドル売りリラ買いが集中して17.40リラ近辺だったところから6月27日高値16.54リラまでドル安リラ高となったが、ドル売り一巡後は従前からのリラ安基調が回復して連日の安値切り下げに入り、6月30日からは6営業日連続のドル高リラ安となり、日足は陰線続きとなっている。
特に7月5日からユーロドルがリセッション入りへの懸念等から急落となり7月7日も安値を更新したが、ポンドは英首相辞任報道で反発、豪ドルは原油相場の反騰等を見て持ち直しに入るなど全般的なドル高には一服感が見られたが、ファンダメンタルズに弱く、欧州景気後退の場合にはトルコ経済への影響も大きくなるためにリラ安が収まらない印象だ。6月24日に反騰する前の6月23日終値17.35リラが終値ベースの史上最安値であり、最安値更新への余裕も乏しくなってきているところだ。

【外貨準備高はネットで減少】

7月7日夜に発表されたトルコの週次外貨準備高は7月1日時点のグロスで597.9億ドルとなり6月24日時点の603.4億ドルから減少、ネットでは75.1億ドルとなり6月24日時点の75.3億ドルから若干の減少となった。
ネットの外貨準備高は2021年11月に326.4億ドルへ拡大したところからリラ暴落への介入等により今年1月には75.5億ドルへ急減し、いったん2月後半に198億ドルまで回復していたが、その後はリラ安継続により減少傾向をたどり73.8億ドルまで減少していた。
6月24日に外貨保有企業に対して1500万リラを超える保有がある場合にはリラ建ての新規融資を禁止する措置を発表したことで企業の外貨売りが急増して外貨準備高も増える可能性があったのだが、外貨準備高値への貢献は薄く、為替市場における一時的なドル安リラ高も収まった状況のため、今後もリラ安が継続する場合の防衛力としての外貨不足という問題が再びクローズアップされる可能性があるのではないかと思われる。

今夕は5月のトルコ経常収支の発表がある。貿易赤字を観光収入等が埋め合わせる構造にあり経常収支も構造的な赤字が常態化しているが、高インフレが深刻化する中での経常収支悪化がリラ売り材料になりやすいと注目したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月4日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、7月5日夕刻からの急落により弱気転換目安とした8.04円を割り込んだために6日午前時点では5日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクルとして7日夜から11日夜にかけての間への下落を想定した。
7月6日夜へ一段安した後は下げ渋りの持ち合いが1日以上続いているので7日朝高値7.91円を超えるところからは強気サイクル入りとするが、超えないうちは8日夜から11日にかけて一段安する可能性があるとみる。また6日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れからは新たな弱気サイクル入りとなりボトム形成期が11日夜から13日夜にかけての間へ延びる可能性もあると注意する。
7月7日朝高値超えからは強気サイクル入りとして8日の日中から12日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、下げ渋りの持ち合い推移に入っているので遅行スパンは実線との交錯を繰り返しやすいが、先行スパンから転落した状況も続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンへもぐり始める場合は上昇再開の可能性ありとし、7日午前高値超えからはさらに戻りを試す可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は持ち合い中で方向性に欠けるため、55ポイント超えからは上向きとして60ポイント台を目指す上昇を想定し、40ポイント以下での推移が続き始める場合は下向きとして30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.82円を下値支持線、7.91円を上値抵抗線とする。
(2)7.91円以下での推移中は一段安余地ありとし、7.82円割れからは7.70円台後半(7.80円から7.75円)を目指す下落を想定する。7.77円以下は反騰注意とするが、7.85円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.91円超えからは7.95円前後への上昇を想定するが、7.93円以上は反落警戒とし、その後に7.85円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

7月8日
 16:00 5月 経常収支 (4月 -27.4億ドル)
7月13日
 16:00 5月 失業率 (4月 11.3%)
7月14日
 16:00 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 0.0%)
 16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 10.8%)
 16:00 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.7%)
 16:00 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 14.7%)
7月15日
 17:00 6月 財政収支 (5月 1439.8億リラ)


注:ポイント要約は編集部

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