ドル円見通し ユーロ続落だが欧米株連騰と米長期債利回り上昇がドル円を支える(22/7/8)

ドル円は7月6日夜に134.94円へ下落したところを買われて7日夕刻には136.22円まで戻すも5日午前高値136.36円には届かず。

ドル円見通し ユーロ続落だが欧米株連騰と米長期債利回り上昇がドル円を支える(22/7/8)

ドル円見通し ユーロ続落だが欧米株連騰と米長期債利回り上昇がドル円を支える

〇ドル円、7/7夕刻に136.22まで上げるも7/5午前高値136.36には届かず、底固い一方で上値の重い展開
〇ユーロドルは続落、7/8未明1.0142まで安値を切り下げる、一方でドル全面高に一服感も見られる
〇今晩6月米雇用統計発表、予想よりも強めの数字ならば米連銀の強い引き締め姿勢を助長する可能性
〇米10年債利回り連騰、米株価と欧州主要株価指数も連騰で戻し世界連鎖株安への不安やや落ち着く
〇135.50以上での推移中は上昇余地ありとし、136.36超えからは137円を試す上昇を想定する
〇135.50割れからは下落再開注意として134.94試しとし、安値更新からは134円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は7月6日夜に134.94円へ下落したところを買われて7日夕刻には136.22円まで戻すも5日午前高値136.36円には届かず。136円台での戻り売り圧力もあり底固い一方で上値の重い展開だ。
6月29日夜に137円丁度をつけて2021年1月6日底102.57円以降の最高値を更新してきたが、パウエル米連銀議長による「景気よりも物価抑制」とした6月29日のECBフォーラムでの発言をきっかけとしたリスク回避的な動きの強まりで7月1日に134.74円まで下落、その後も135円割れは買い戻されて確りだが6月29日夜高値更新へは進めずにいる。

為替市場は7月5日からのユーロドル急落により景気後退懸念とリスク回避感が再び強まり、6日夜にかけては米長期債利回りが先行きの金利上昇感よりも債券への安全資産買いが優勢となって大幅低下したことがドル円を圧迫していたが、米長期債利回りは6日夜から7日へ反発に入りドル円を支えている。
今晩は米雇用統計の発表があり、内容次第では米連銀の「景気よりも物価抑制」姿勢が一段と強まるのか緩むのかを市場が判断して7月中後半への方向付けを行う重要局面と思われる。6月21日夜に136円を突破して以降は136円を挟んで134円台から137円までのレンジ内での持ち合い型で推移しており、持ち合いを上下いずれへ抜けるのか確り見定めたいところだ。

【ユーロドルは続落だがドル全面高に一服感も】

ユーロドルは7月5日夕刻から深夜にかけて1.040ドル台前半の水準だったところから1.030ドルを割り込んで5日深夜に1.0233ドルへ急落となり2017年1月3日底1.0341ドルを割り込み2008年7月15日天井1.6035ドル以降の最安値を更新した、さらに6日深夜には1.0160ドルへ一段安、7日も1.020ドル台へ戻したところを売られて8日未明には1.0142ドルまで安値を切り下げている。2002年12月以来凡そ19年半ぶりの安値水準だが、その当時は1ドル1ユーロのパリティを超えて上昇期に入ったところであった。

7月6日と7日は欧州主要株価指数が連騰で戻し、英国では首相辞任表明で当面する政治混乱解消としてポンドが上昇、カザフスタンのパイプライン漏洩事故等による供給不安問題でNY原油が反騰、資源通貨も豪ドルが7月5日深夜安値の後の下げ渋りから反騰入り、南アランドも6日深夜安値で下落一服となるなどドルストレートでのドル全面高に一服感が見られるが、金融引き締めやロシア制裁の影響による景気後退懸念はまだ払拭されず、特に欧州の景気後退懸念が強まっている状況にあってはユーロ安がさらに続き、金融緩和時代の過剰流動性を元にした投機マネーの還流による新興国通貨への売り圧力が強まって為替市場全般が再び動揺しかねない状況が続いていると思われる。今晩の米雇用統計を通過してユーロが反騰入りできるか1ドル1ユーロのパリティを目指す流れを鮮明とするのか注目したい。

【今晩、米雇用統計、米連銀の強い引き締め姿勢を助長するか、緩めるか】

今晩、6月の米雇用統計の発表がある。非農業部門雇用者数については5月の39.0万人増から26.8万人増へと減速すると予想され、失業率は5月の3.6%と変わらずとみられている。インフレ指標の一つである平均時給については前月比が5月と同じ0.3%上昇、前年同月比では5月の5.2%上昇から5.0%上昇へと伸びがやや鈍化すると見込まれている。予想よりも強めの数字になれば米連銀の大幅利上げが続いてゆく公算が高まり、予想外の低さなら大幅利上げペースもやや緩むのではないかと思われる。

米連銀のウォラー理事は7月7日に「インフレは高すぎて低下する気配がない」とし、「次回7月26-27日のFOMCでは0.75%の超大幅利上げを支持する」と述べ、9月FOMCにおいても「おそらく0.50%利上げとなる可能性がある」とし、その後についてはインフレ動向次第で通常の利上げ幅である0.25%利上げで推移してゆくのかどうかを判断する姿勢とした。
米セントルイス連銀のブラード総裁は7月7日に次回FOMCでの0.75%利上げを支持、「年内に3.5%へ引き上げることを引き続き支持している」と述べ、「インフレが低下し始めるのは年内ではなく来年」との見通しも示した。
パウエル米連銀議長は6月22日と23日の米上下院議会証言においてリセッションの可能性に言及し、6月29日のECBフォーラムにおいて「景気よりも物価抑制」と強調したため、市場はリセッション入りへの懸念を強めた。金融引き締めのほかにロシア制裁に絡んでエネルギー供給不足による景気後退感が強いドイツや英国等でもリセッションへの警戒感を示す要人発言が相次いでいる。

【米10年債利回りは連騰】

7月7日の米10年債利回りは前日比0.07%上昇の3.00%へ戻した。7月5日にユーロ暴落等が発生した際には安全資産の債券買いに圧されて前日比0.07%低下、6日には一時2.74%まで続落したが、その後は欧米株の反発を見て株買い債券売りで持ち直し、6日は前日比0.12%上昇の2.93%とし、7日は3%台を回復した。
30年債利回りは前日比0.06%上昇の3.19%、利上げペースに敏感な2年債利回りは0.01%上昇にとどまって3.02%だったが、10年債との利回り逆転=逆イールドとなっている。

一方、NYダウは前日比346.87ドル高と上昇、6日の69.86ドル高からの連騰で下げ一服。ナスダック総合指数は259.50ポイント高の上昇で7月1日から4連騰の反発となった。欧州主要株価指数も連騰で戻したために世界連鎖株安への不安がやや落ち着いている。
ドル円としては米長期債利回りの上昇基調と同調した動きを続けているため、リスク回避的な流れで米長期債利回りが再び低下して株安となれば円高反応に、米長期債利回り上昇で株高なら歴史的な大上昇基調の継続で137円超えを目指す流れへ進みやすくなるところであり、やはり米雇用統計通過後の流れが重要になってくる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、7月5日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクルとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定していたが、7月6日夜に135円割れを買い戻されて136円台に到達したために7日午前時点では7月6日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして8日午前から12日午前にかけての間への上昇を想定した。
7月7日夕刻へ高値を切り上げてからも136円を挟んだ水準を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、134円台から137円までのレンジ内での往来が続いているので135.50円割れを弱気転換注意とし、7月6日夜安値134.94円割れからは弱気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月1日以降を134円台後半から136.50円までのレンジ内で往来しているため遅行スパンは実線との交錯を繰り返して方向感に乏しいが、7月8日午前時点では先行スパンを上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし先行スパン転落から続落に入る場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は持ち合い推移のため40ポイント台から60ポイント台序盤までのレンジで推移している。65ポイント超えを上昇が勢い付くところとして70ポイント台中盤への上昇を想定し、40ポイント割れからはいったん下落期に入るとみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、135.50円を下値支持線、7月5日午前高値136.36円を上値抵抗線とする。
(2)135.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7月5日午前高値超えからは137円を試す上昇を想定する。137円前後は反落警戒とするが、米雇用統計等をきっかけに勢い付く場合は137円台前半へ上値目途を引き上げる。また136円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)135.50円割れからは下落再開注意として6日夜安値134.94円試しとし、安値更新からは134円前後への下落を想定する。134円台序盤は買い戻されやすいとみるが、135円以下での推移なら週明けはさらに安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/8(金)
14:00 (日) 6月 景気ウオッチャー現状判断DI (5月 54.0、予想 55.0)
14:00 (日) 6月 景気ウオッチャー先行判断DI (5月 52.5、予想 53.6)
20:55 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
21:30 (米) 6月 非農業部門就業者数 前月比 (5月 39.0万人、予想 26.8万人)
21:30 (米) 6月 失業率 (5月 3.6%、予想 3.6%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前月比 (5月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前年同月比 (5月 5.2%、予想 5.0%)
23:00 (米) 5月 卸売売上高 前月比 (4月 0.9%)
24:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
28:00 (米) 5月 消費者信用残高 前月比 (4月 380.7億ドル、予想 319.0億ドル)

7/9(土)
中国の6月消費者物価、生産者物価
7/10(日)
参院選投開票



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る