ドル円、節目137円も難なく突破。1998年9月以来、約23年9ヵ月ぶり高値圏へ
〇ドル円、欧州時間朝方135.80まで下げるも、米国時間にかけ約23年ぶり高値137.01まで急伸
〇米要人のタカ派的発言、米FRBのタカ派傾斜観測などが支援材料
〇ユーロドル、欧州経済先行き不透明感などから約2週間ぶり安値1.0435まで急落
〇ドル円、直近高値、1998年10月1日高値、心理的節目137円を軒並み上抜けなど極めて強い地合い
〇ファンダメンタルズも、日米金融政策の方向性相違などドル高・円安継続を連想させる材料揃う
〇ドル円相場の上昇がメインシナリオ、目先は1998年9月24日高値137.24を試すシナリオを想定
〇本日の予想レンジ:136.00ー137.50
海外時間のレビュー
29日(水)のドル円相場は堅調な値動き。欧州時間朝方にかけて、安値135.80まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@クリーブランド連銀メスター総裁による「米金利は来年4%を上回ることを望む」「米経済のリセッション入りは予想していない」「次回FOMCで75bpの利上げを支持する」とのタカ派的な発言や、AパウエルFRB議長による「米経済は実際にはかなり強い」「米経済は金融引き締めに十分対応できる状況にある」とのタカ派的な発言、B上記@Aを背景とした米FRBによるタカ派傾斜観測(日米金融政策の方向性の違い→ドル買い・円売り)、C対ユーロでのドル買い圧力、D6/22に記録した直近高値136.72を突破したことに伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間にかけて、1998年9月24日以来、約23年9ヵ月ぶり高値となる137.01まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/30午前5時05分現在)では、136.66前後で推移しております。
29日(水)のユーロドル相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0536まで上値を伸ばすも、一目均衡表転換線をバックに伸び悩むと、@月末・四半期末にかけてのドル買い需要や、Aロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク(ロシアによるウクライナ攻撃が激化)、Bリトアニア中銀シムカス総裁による「データが悪化すればオプションとして7月の50bp利上げを求める」「9月会合では50bpの利上げが実施される可能性が極めて高い」とのタカ派的な発言、Cベルギー中銀ウンシュ総裁による「来年3月までの150bp利上げは妥当」「7月会合での25bp利上げは既成事実と想定している」とのタカ派的な発言、
DラガルドECB総裁による「低インフレの環境に戻る可能性は低い」「7月にどうなる可能性があるかすでに明確に示している」とのタカ派的な発言、E上記BCDを背景とした欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは景気への逆風)、Fドイツ6月消費者物価指数(結果7.6%、予想8.0%、前回7.9%、※前年同月比)の市場予想を下回る結果、G上記Fを背景とした欧州債利回り急低下が重石となり、米国時間午後にかけて、6/16以来、約2週間ぶり安値となる1.0435まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/30午前5時05分現在)では、1.0441前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時137.01まで急伸するなど、6/22に記録した直近高値136.72、1998年10月1日高値136.93、心理的節目137.00を軒並み上抜けしました。強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転、強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンドも全て成立する中、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米当局者による相次ぐタカ派発言(昨日はパウエルFRB議長やクリーブランド連銀メスター総裁が米経済は金融引き締めに十分耐えられるとの見解発表)や、A日銀による金融緩和の継続姿勢(市場の緩和修正催促に対して日銀は一貫してゼロ回答)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い、C米国によるドル高容認姿勢(米国はインフレ抑制に繋がり得るドル高を容認する構え)、D上記Cを背景とした日銀による為替介入観測後退(例え悪い円安が進行したとしても米国への配慮でドル売り介入を実施しづらい)など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(目先は1998年9月24日に記録した高値137.24を試すシナリオを想定)。尚、本日は米5月個人所得、米5月個人支出、米5月PCEデフレータ、米新規失業保険申請件数、米6月シカゴ購買部協会景気指数などが予定されており、特に米5月PCEデフレータに注目が集まります。FRBが最も重視する物価指標であるPCEデフレータが市場予想を上回る場合には、米大幅利上げ観測再燃→米長期金利急上昇→米ドル買いの経路でドル円に強い上昇圧力が加わることが想定されます。月末・四半期末需給(本邦公表相場やロンドンフィキシング)に絡むドル買いフローも予想される中、本日はアジア時間、海外時間共にドル円のアップサイドリスクに注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:136.00ー137.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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