『テクニカル主導で堅調さを取り戻すも、続伸余地は限定的か』
〇今週の南ア円、週明け8.37まで下落するも、株価、プラチナ価格の堅調に8.60まで上昇
〇その後は南ア指標不冴え、プラチナ急反落に週末8.54前後で推移
〇テクニカルには、主要テクニカルポイントの上方で推移し、日足の買いシグナルも成立地合い強い
〇スタグフレーション懸念が燻る中での追加利上げが、南アランド売りに繋がるリスク要警戒
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.35ー8.70
今週のレビュー(6/20−6/24)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.44円で寄り付いた後、早々に週間安値8.37円まで下落しました。しかし、サポートポイントが密集する8.35ー8.37円ゾーンをバックに下げ渋ると、@株式市場の堅調推移(リスクオン再開)や、A南アフリカと日本の金融政策格差(対円での南アランド買い)、Bプラチナ価格の堅調推移(交易条件改善期待)、C短期筋のショートカバー(パウエルFRB議長による半期に一度の議会証言を控えたポジション調整)が支援材料となり、翌6/21にかけて、週間高値8.60円まで上昇しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、D南ア4月景気先行指数(結果126.7、前回128.0)の冴えない結果や、E南ア5月消費者物価指数(結果+6.5%、予想+6.1%、前回5.9%、※前年比)の伸び率加速(中銀の目標レンジ3ー6%を約5年ぶりに上回る結果)、F上記DEを背景とした南ア経済の減速懸念(スタグフレーション懸念が燻る中での利上げは景気への逆風)、Gプラチナ価格の急反落(交易条件悪化懸念)などが重石となり、本稿執筆時点(日本時間6/25午前4時00分現在)では、8.54円前後で推移しております。
来週の見通し(6/27−7/1)
南アランドの対円相場は6/9に記録した約4年ぶり高値8.81円(2018年5月28日以来)をトップに反落に転じると、6/16に一時8.18円まで下落しましたが、今週は再び堅調さを取り戻す動きとなりました(直近高値8.81円と直近安値8.18円の半値戻し8.49円も上方ブレイク)。ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していること(ダウンサイドに複数のサポートラインが控えていること)や、日足ベースで強い買いシグナル(強気のパーフェクトオーダー)が成立していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@世界的な金融引き締めムードの高まり(世界的な金融引き締めが過剰流動性相場逆流に繋がるとの警戒感→新興国から米国への資金流出懸念)や、A南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア4月景気先行指数は冴えない結果。一方、南ア5月消費者物価指数は伸び率加速→スタグフレーション懸念の一段の高まり)、
B南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気減速懸念、C南ア財政収支の悪化懸念、Dコモディティ価格の冴えない動き(南アフリカの主要産品であるプラチナ価格は2021年12月以来、約半年ぶり安値圏→交易条件悪化懸念)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。従来までは南アフリカの高インフレ率が、南ア中銀の追加利上げ観測を通じて、南アランドを下支えする構図が続いてきましたが、ここから先は「スタグフレーション懸念が燻る中での追加利上げは南ア経済への逆風」との思考回路で南アランド売りに繋がるリスクが警戒されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ファンダメンタルズ主導の南アランド円相場下落をメインシナリオとして予想いたします(尚、来週は6/30の南ア5月生産者物価指数や、南ア5月貿易収支に加え、6/30の中国6月製造業PMI、7/1の中国6月財新PMIなどに要注目)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.35ー8.70
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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