トルコリラ円見通し ドル円の急反騰一服で7.80円近辺での小動き(22/6/21)

トルコリラ円の6月20日は7.81円から7.77円の取引レンジ、21日早朝終値は7.79円で先週末終値の7.79円と変わらずだった。

トルコリラ円見通し ドル円の急反騰一服で7.80円近辺での小動き(22/6/21)

トルコリラ円見通し ドル円の急反騰一服で7.80円近辺での小動き

〇トルコリラ円、6/20はドル円の動きに連動し、7.80を挟んでの揉み合い程度の動きにとどまる
〇ドル/トルコリラは終値の最安値更新中、6/20の取引時間中も安値17.36をつける
〇6/23のトルコ中銀金融政策発表を見定めたいとしつつ、徐々にリラ安の水準切り下げを試す状況
〇昨日発表の5月海外観光客数は前年同月の凡そ4倍に増える、政府債務残は膨張中
〇7.77以上での推移中はは上昇余地ありとし、7.82超えからは7.85前後への上昇を想定する
〇7.74割れからは戻り一巡による下落再開とみて、7.70前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の6月20日は7.81円から7.77円の取引レンジ、21日早朝終値は7.79円で先週末終値の7.79円と変わらずだった。
ドル円が6月15日朝に135.58円を付けて2021年1月底以降の最高値を更新したところから6月16日夜安値131.48円へと4.10円の急落調整となったことでトルコリラ円もいったん大幅下落に見舞われて6月16日安値で7.59円をつけて5月26日安値7.71円を割り込んで昨年12月23日高値11.14円以降の安値を更新したが、ドル円が16日深夜からV字反騰となり直前2日間の下げ幅をほぼ解消したことでトルコリラ円も元の水準までV字反騰した。
6月20日は米国市場休場で手掛かり難となり、ドル円は一時134.52円まで下げたものの持ち直して135円を挟んでの揉み合いで推移したため、トルコリラ円も7.80円を挟んでの揉み合い程度の動きにとどまった。

【ドル/トルコリラは終値の最安値更新中】

ドル/トルコリラの6月20日は17.36リラから17.27リラの取引レンジ、21日早朝の終値は17.32リラで先週末終値の17.33リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
高インフレが続く中でトルコ中銀が5月26日に5会合連続で政策金利を据え置いて通貨防衛のための利上げをせず、6月6日にはエルドアン大統領が利下げ政策の継続を強調する演説を行ったことでリラ安基調が継続、日足の終値ベースでは12月17日終値16.41リラを6月2日に超えて史上最安値を更新し、その後も終値ベースの最安値更新を続けて6月17日も17.33リラへと安値を更新した。取引時間中の安値としても6月20日は17.36リラをつけて6月17日の17.34リラを超えて12月23日高値10.06リラ以降の最安値を更新している。 6月20日は夕刻に5月の観光客数、夜に中央政府債務残の発表があったが市場の反応は鈍く、6月23日のトルコ中銀金融政策発表を見定めたいとしつつ、徐々にリラ安の水準切り下げを試している状況と思われる。

【海外観光客は戻っているが政府債務残が膨張中】

トルコ文化観光省が6月20日に発表した5月の海外観光客数は382万4555人で4月の257万4423人から増加、前年5月の93万6282人からは凡そ4倍となる308.48%増だった。
パンデミック発生前の2019年5月は402万2254人でありまだ完全には回復していないものの、コロナ感染規制の緩和によりパンデミック発生時の2020年5月に2万9829人にまで激減したところから持ち直した。
海外観光客にとってはリラ安がトルコ製品の割安感を助長して買い物意欲が増す状況にあることはリラ建ての収入面でもプラスになる。しかしウクライナ戦争が長引けばバカンスムードよりも安全を意識して客足が遠のくことも懸念される。

トルコリラ円見通し ドル円の急反騰一服で7.80円近辺での小動き

6月20日夜に発表されたトルコの中央政府債務残は5月時点で3兆3636億リラとなり4月時点の3兆1253億リラから増加した。政府債務残はリラ安と中長期国債の利回り高騰により悪化が目立っており、2021年1月時点の1兆8121億リラから倍増しているため、今後はインフレ動向と共に政府債務残の膨張問題もリラ安材料として注目されてくるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月15日午前高値を直近のサイクルトップとして6月16日夜へ急落したが、その後にV字反騰したために6月17日午前時点では6月16日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして6月20日午前から22日午前にかけての間への上昇を想定した。6月17日深夜へ戻した後は新たな高値更新へ進めずにいるものの7.78円割れを切り返して高値圏を維持しているのでまだ上昇余地が残るとみる。また円安次第では上昇が勢い付く可能性もあるところとみる。
ただし前回サイクルトップから3日を経過しているので7.77円割れを弱気転換注意とし、7.74円割れからは弱気サイクル入りと仮定して21日夜から23日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、6月16日深夜からの反騰一巡後は持ち合い推移のために遅行スパンは実線と交錯しているが先行スパンを上回った状況を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし先行スパンへ潜り込むところからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月20日午後の下落時に50ポイントを割り込んだがその後は回復しているためまだ上昇余地ありとみるが、60ポイント前後では抵抗感が出やすいとみる。45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.74円を下値支持線、7.82円を上値抵抗線とみる。
(2)7.77円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、7.82円超えからは7.85円前後への上昇を想定する。7.85円以上は反落注意とするが、7.77円を上回っての推移なら21日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.77円割れを弱気転換注意とし、7.74円割れからは戻り一巡による下落再開とみて7.70円前後への下落を想定する。7.70円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が早まる場合は7.65円前後へ下値目途を引き下げ、7.74円を割り込んだ後も7.76円以下での推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6月22日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 67.6)
6月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%、予想 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高 6/17時点 グロス (6/10時点 607.9億ドル)
     週次 外貨準備高 6/10時点 ネット (6/10時点 81.5億ドル)
6月24日
 16:00 6月 製造業景況感 (5月 109.4)
 16:00 6月 設備稼働率 (5月 78.0%)



注:ポイント要約は編集部

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