ドル円見通し 凡そ4円幅のV字反騰からダブル天井破りに挑戦(22/6/21)

135円台を回復しており、6月15日朝高値超えを試す位置につけている。

ドル円見通し 凡そ4円幅のV字反騰からダブル天井破りに挑戦(22/6/21)

ドル円見通し 凡そ4円幅のV字反騰からダブル天井破りに挑戦

〇ドル円、6/20午前135.44へ上昇してから夕刻安値134.52まで小反落するも、その後は135円台を回復
〇米国市場休場で手掛かり難の中、6/15朝高値135.58超えを試す位置につける
〇主要中銀の引き締め姿勢に差、ドル高継続か
〇過去の歴史的大上昇と比較すると、もう数か月上昇し140円台超え、1998年8月147.63目指す可能性も
〇134.52以上での推移中は上向きとし、135.58超えからは136円台序盤を試すとみる
〇134.52割れから続落の場合は、134円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は6月16日未明の米FOMCによる0.75%の超大幅利上げと16日夜のスイス中銀及び英中銀の利上げなどを通過しながら6月15日朝高値135.58円から16日夜には131.48円まで4.10円の調整安が入ったが、17日の日銀金融政策決定会合での金融緩和政策継続を前後して直前2日間の下げ幅をほぼ解消するV字反騰となり17日深夜には135.42円へ上昇して6月15日朝高値に迫った。
6月20日は米国市場休場で主要な経済発表等もなく手掛かり難だったが、午前に135.44円までわずかに高値を切り上げてから夕刻安値134.52円まで小反落したもののその後はジリ高で135円台を回復しており、6月15日朝高値超えを試す位置につけている。

【主要中銀の引き締め姿勢の差でドル高継続か】

米連銀は6月16日未明のFOMC声明及び議長会見により0.75%の超大幅利上げを決定し、7月も0.50%ないし0.75%の大幅利上げの継続姿勢とし、その後も利上げ継続でインフレ抑制へ進む姿勢を強調した。FOMC後は当面の材料消化としていったんドル高からドル安へと流れが変わったものの、スイス中銀は利上げしてもまだマイナス金利状態にあり、英中銀も5会合連続の利上げを決定したものの利上げペースは0.25%で緩やかなものにとどまっている。
ECBは前回理事会で7月からの利上げを決定し、6月20日にラガルド総裁は7月の0.25%利上げ及び9月の追加利上げ方針を改めて示したが、利上げペースは鈍く、それよりも南欧の債券安・利回り大幅上昇に対しての国債投資が検討されるなど金融引き締めを強く進めきれない側面があり、今後は米連銀による大幅利上げ継続に対するECBの出遅れ感が顕著になってくるのではないかと思われる。

米国はパンデミック対策による大規模量的緩和が景気回復を過熱させすぎてインフレも高い水準となったが、それに併せて賃金も上昇しているため、金融資産インフレの是正による株安に陥っても景気の基調は確りしてソフトランディングできる可能性がある。しかし欧州経済はロシア制裁の返り血もあり景気後退へのリスクも大きく引き締めに対してはやや腰が引けている。
日銀は5月以降のドル円の上昇が勢いを増したことへの警戒感を繰り返し指摘しているものの、かつての黒田ラインのような円安容認限界を市場に示してドル円の上昇を抑え込もうという意図には欠ける。賃金が上がらず景気回復も鈍い状況で輸入インフレが消費低迷をもたらす状況下にあっては金融引き締めへと政策転換すれば大幅な景気後退に陥りかねず、状況を打開するには政府の政策的な景気てこ入れが必要であり日銀としては金融緩和政策を維持するしか手がない状況だ。当面は黒田総裁在任中の劇的な政策転換がないとすれば、財務省・日銀による口先介入を受け止めながらも市場は円安容認の限界水準を試して行くことになるのだろうと思われる。

【過去の歴史的大上昇との比較】

現在までのドル円の大上昇は2020年3月のパンデミック発生ショック時に付けた安値101.23円とのダブルボトムとなった2021年1月6日底102.57円を起点として数えで17か月を経過した。
2011年10月31日底75.57円を起点とした大上昇は2015年6月まで45か月を要し、途中で20か月目の2013年5月高値からいったん調整が入ったものの、直後の6月からさらに25か月の上昇でようやく2015年6月天井に至っている。また1995年4月19日底からの大上昇は26か月目の1997年5月1日高値でワンクッション入れたが翌6月から98年8月11日天井まで一段高となり合計41か月の上昇であった。その他でも、1999年11月底から2002年1月天井まで27か月の上昇、2005年1月底から2007年6月天井まで30か月の上昇などがあり、現状の上昇17か月目というのは月足レベルで見ればまだ若いところと言え、当面してもう数か月の上昇で140円台を超えて1998年8月天井147.63円を目指しても不思議ない状況と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては6月15日朝高値からの急落を6月16日深夜安値からのV字反騰で解消したため、現状は6月16日深夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りした状況にある。高値形成期は20日朝から22日午前朝にかけての間と想定されるので既に反落注意期にはあるが、134円台中盤を維持するうちは21日夜にかけてもう一段高へ進む可能性があるとみる。ただしダブルトップ型を形成していったん仕切り直しの調整が入る可能性にも注意がいるため、134円を割り込む場合は21日夜から23日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月16日深夜からのV字反騰一服により遅行スパンは実線と絡んで横這い推移となっているが、先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とし、15日朝高値を超えて一段高入りする場合は26本基準線が追いかける形で上昇が勢い付く可能性があるとみる。134.50円割れからはいったん調整安に入る可能性もあるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込んだ状況から再び上抜け出す場合は遅行スパンが好転し直すところから上昇再開とみる。

60分足の相対力指数はV字反騰一服で50ポイント台中心の横ばい推移となっている。65ポイント超えからは上昇も勢い付いて70ポイント台後半を目指すとみるが、50ポイント割れの状況が続き始める場合はいったん仕切り直しの下落へ向かい40ポイント前後を試す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月20日夕安値134.52円を下値支持線、6月15日朝高値135.58円を上値抵抗線とする。
(2)134.52円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、135.58円超えからは136円台序盤を試すとみる。136.20円以上は反落注意とするが、135.30円以上での推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)134.52円割れから続落の場合は134円前後への下落を想定する。134円前後は押し目買いされやすいとみるが、下げ足が早まる場合は133.50円前後への下落とその後の反騰を想定する。

【当面の主な予定】

6/21(火)
10:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨公表
17:00 (欧) 4月 経常収支・季調済 (3月 -16億ユーロ)
21:15 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
23:00 (米) 5月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (4月 561万件、予想 540万件)
23:00 (米) 5月 中古住宅販売件数 前月比 (4月 -2.4%、予想 -3.7%)
25:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
28:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演

6/22(水)
参議院選公示
07:45 (NZ) 5月 貿易収支 (4月 5.84億NZドル)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
15:00 (英) 5月 消費者物価指数 前月比 (4月 2.5%、予想 0.7%)
15:00 (英) 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 9.0%、予想 9.1%)
15:00 (英) 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 6.2%、予想 6.0%)
15:00 (英) 5月 小売物価指数 前月比 (4月 3.4%、予想 0.4%)
15:00 (英) 5月 小売物価指数 前年同月比 (4月 11.1%、予想 11.4%)
17:40 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演
23:00 (欧) 6月 消費者信頼感速報値 (速報 -21.1、予想 -20.5)
23:00 (米) パウエル米連銀議長、半期毎の議会証言(上院銀行委員会)
25:50 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省2年物変動利付債、20年債入札
26:30 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、講演



注:ポイント要約は編集部

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