上昇トレンドからもみあいへ
〇先週のドル円、週初から株高による円安という従来型リスクオンの動き目立つ
〇今週も株式市場の動きとECB理事会に向けてのユーロ円の動きがドル円を動かす材料となりそう
〇年初来高値131.34レベルに向けてはドル売りオーダーも残っている様子
〇中国のロックダウン解除による景気改善期待はあまり楽観的にはなれず、好影響はまだまだ
〇今週は129.25レベルをサポートに131.50レベルをレジスタンスとする流れとみる
今週の週間見通し
先週のドル円は週初から株高による円安という従来型リスクオンの動きが目立ちましたが、ドル円だけでなくクロス円での円安も目立ちました。新たな材料は無かったものの9日のECB理事会に向けてよりタカ派に舵を切ってくるのではとの思惑がユーロ円の買いにつながり、金曜の雇用統計発表後に2015年以来の140円台乗せとなり、ドル円も131円に近づいての引けとなりました。
今週も株式市場の動きとECB理事会に向けてのユーロ円の動きがドル円を動かす材料となりそうですが、年初来高値131.34レベルに向けてはドル売りオーダーも残っている様子で、一時的に高値更新につながったとしても、そのまま円安に進むという感じもしません。米金利も上昇し5月18日以来の水準とはなっているものの金曜も2.986%までで18日以来の3%の大台乗せには勢いが足りないという状況です。
また中国のロックダウン解除による景気改善期待については、すぐに元に戻るものではなく徐々に改善していくということになりますので、あまり楽観的にはなれません。個人的にはサプライチェーンのコントロールでは圧倒的と言われるアップルのMacBook Pro(14インチモデル)の上海からの出荷状況を参考にしています。順調な時の出荷は1週間以内、ロックダウン実施後は8週間前後でした。現状も7〜9週間と何も変わっていませんので、上海のロックダウン後の好影響が出てくるのはまだまだでしょう。
あまり材料がありませんのでテクニカルに見てみます。日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
年初来安値と高値のフィボナッチ・リトレースメント23.6%押し127.12近辺が結局は押しの限界点となり再び上昇してきましたので、短期的なターゲットを探るために3月31日安値を起点としたN波動(ピンク)を考えます。するとフィボナッチ・エクスパンションで最も近いターゲットとなる50%エクスパンションは131.39と年初来高値とほぼ重なっていますので、今週上げが見られた場合でもいったん前回高値近辺で抑えられやすいと言えそうです。
いっぽうで下値については5月下旬からここまでの上げに対するレンジをもとにして押しを計算すると38.2%押しが129.50、半値押しが129.05となっています。高値を更新すると変わってくるものの、その場合にはそれぞれ若干上の水準になるという見方をすればよいので、129円台前半がサポートと見てよいでしょう。
今週は上記ターゲットを参考に上昇トレンドからもみあい入りを考え、129.25レベルをサポートに131.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
6月6日(月)
**:** NZ、ドイツ、フランス市場休場
10:45 中国5月MarkItサービス業PMI ☆
6月7日(火)
07:45 NZ4月住宅建設許可
08:01 英国5月小売売上高
13:30 豪中銀政策金利発表 ☆
15:00 ドイツ4月製造業新規受注
17:30 英国5月サービス業PMI
18:30 南ア1〜3月期GDP
21:30 米国4月貿易収支
6月8日(水)
08:50 本邦1〜3月期GDP改定値 ☆
08:50 本邦4月貿易収支(国際収支)
15:00 ドイツ4月鉱工業生産
15:45 フランス4月貿易収支
17:30 英国5月建設業PMI
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP確報値 ☆
18:30 南ア5月企業信頼感
19:00 南ア4〜6月期企業信頼感
23:00 米国4月卸売売上高
23:30 週間原油在庫統計
6月9日(木)
08:01 英国5月住宅価格
**:** 中国5月貿易収支
15:00 南ア1〜3月期経常収支
20:45 ECB理事会 ☆
21:30 ラガルドECB総裁会見 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 カナダ中銀総裁講演
6月10日(金)
07:45 NZ1〜3月期製造業売上高
10:30 中国5月CPI・PPI ☆
16:00 トルコ4月失業率
17:00 オーストリア中銀総裁講演
21:30 米国5月CPI ☆
23:00 米国6月ミシガン大消費者信頼感速報値
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
5月30日(月)
東京市場では週明けに株式市場全般で買いが先行する動きからリスクオンの円安となりました。クロス円でも円売りが目立ち、米国が休日で参加者が少ない中で円安の動きが続き、127.83レベルまで上昇後やや押して引けました。
5月31日(火)
東京市場ではEUがロシア産原油を年内に禁輸措置とすることに合意したことが欧州の景気減速につながると判断され前場からユーロ売りドル買いの動きが先行しました。ユーロドルはNY前場には1.0679レベルの安値をつけましたが月末のロンドンフィキシングではユーロ買いの実需が出たことで1.07台前半に戻して引けました。
6月1日(水)
ドル円は東京朝方に前日高値を上抜け株式市場も堅調な動きとなっていたことから円安の流れが続きました。欧州市場では129.62レベルまで買われ、NY市場前に一時的な押しも見られましたが、強い経済指標に反応して一段高となり130.19レベルまで上昇し、ほぼ高値引けとなりました。
6月2日(木)
ドル円は東京早朝に130.24レベルと週間高値を更新しましたが、その後はユーロドルでのドル売りの動きに引っ張られNY市場朝方に129.51レベルまで下押し後やや戻して引けました。
6月3日(金)
ドル円は底堅い地合いとなっていたものの米国雇用統計を控えて積極的な取引は手控えられていました。雇用統計はNFPが+39万人と予想よりも強く、米金利(10年債利回り)が2.986%まで上昇する動きとともに為替市場ではドル買いとなり、NY昼頃には130.98レベルまで上昇し、そのまま高値圏での引けとなりました。
ディスクレーマー
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注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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