テクニカルにはユーロ反落も近そう(週報5月第5週)

先週もECB関係者からのタカ派発言が目立ったことからユーロドルは、底堅い動きとなり金曜には高値を1.0764レベルまで切り上げる動きとなりました。

テクニカルにはユーロ反落も近そう(週報5月第5週)

テクニカルにはユーロ反落も近そう

〇先週のユーロドル、ECB関係者からのタカ派発言目立ち高値1.0764レベルまで切り上げ
〇米国との金利差は広がる方向、長期的には改めてドル買いの動きとなる可能性が高い
〇今週は1日のラガルドECB総裁とフランス中銀総裁の講演に注目
〇金曜に米国雇用統計、数字がコンセンサスからずれる場合には週末前に一動きあるかも
〇今週は1.0650レベルをサポートに、1.0900レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週もECB関係者からのタカ派発言が目立ったことからユーロドルは、底堅い動きとなり金曜には高値を1.0764レベルまで切り上げる動きとなりました。5月のECB関係者の発言を振り返るとフランス中銀総裁がタカ派発言を繰り返し、ラガルドECB総裁も着実にタカ派スタンスを強めてきた流れですが、現在の発言からQEは6月で終わり、7月に1回目の利上げ0.25%、9月に2度目の利上げ0.25%によってゼロ金利へと正常化という見方となっています。

欧州の高止まりするインフレを考え更にタカ派な見通しもありますので、7月以降の動きについては7月のECB理事会に向けての動きで再度考え直す必要がありますが、市場参加者の多くはゼロ金利に戻すだけでは足りず、10〜12月期には0.25%の利上げを2回行い年末時点の金利は+0.5%になるとのコンセンサスが形成されつつあります。仮に+0.5%まで上がるとなると2013年10月以来と9年ぶりの水準ということになります。

ただ、このタカ派な見通しを採用し年末までに現状から1.0%の利上げが行われるとしても、米国の金利は現状から1.75〜2.0%利上げが行われる見通しですから、米国との金利差は広がる方向です。現時点ではこの1か月で急速にECBがタカ派に傾いてきたことによるユーロ買いとなっているものの長期的には改めてドル買いの動きとなる可能性が高い点には注意が必要です。

今週の材料ですが連日経済指標や要人の発言が続きますが、5月の動きを考えると1日のラガルドECB総裁とフランス中銀総裁の講演は気になるところではあります。両者ともフランス出身で5月のタカ派への変化も両者が連携して誘導した可能性があるのではないかと考える市場参加者は多いようです。

また金曜には米国雇用統計がありますが、英国が女王在位70周年による連休で木曜金曜と休場になりますので、参加者が少ない中での発表ということで数字がコンセンサス(失業率3.5%、NFP+32万人)からずれる場合には週末前に一動きあるかもしれません。また31日は米国休場明けのロンドン・フィキシングということで、こちらも需給次第では動く要因となることに注意しておきましょう。

テクニカルに見て行きます。日足チャートをご覧ください。

テクニカルにはユーロ反落も近そう

3月末の高値からの平行下降チャンネル(ピンク)を明確に上抜け、現在は年初来高値からのレジスタンスライン(青)に近づきつつある段階です。このレジスタンスラインは今週1.08を下回りおそらくは現在1.0785レベルへと下がって来ますので、最初の同ライントライは失敗し反落する可能性が高いのではないかと見ています。

既に5月安値から400pips以上の上昇となっていますので、そろそろユーロの買い手の利食いが出てきそうです。いっぽう下値は5月5日高値1.0642レベルを上抜けてから買いが強まっていますので、1.06台半ばを見ておくとよいでしょう。今週は1.0650レベルをサポートに、1.0900レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円の日足チャートを見ておきます。

テクニカルにはユーロ反落も近そう 2枚目の画像

テクニカルには微妙な形状となってきました。4月高値からのレジスタンスラインを上抜けてきたものの5月中旬以降のウェッジ型のもみあいを形成中でどちらに抜けるかを見極めないと方向性を大きく見誤ることになります。

上抜けであればレジスタンスの上抜けとも重なって上昇が加速しやすいのですが、下に抜けるとピンクの下降チャンネルのレジスタンスライン引き直しといった動きになってきそうな感じでもあります。

ユーロドルがやや上値方向に余裕があるもののその後反落しやすいことを考えると、ユーロ円はダマシの上抜け後に反落といった動きがあるかもしれまん。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

5月30日(月)
**:** NY市場休場
15:00 ドイツ4月輸入物価指数
18:00 ユーロ圏5月消費者信頼感
21:00 ドイツ5月CPI速報値
22:15 ポルトガル中銀総裁講演
26:00 ドイツ連銀総裁講演
**:** EUサミット(〜31日)

5月31日(火)
15:45 フランス5月CPI速報値、4月PPI
16:00 フランス中銀総裁講演
16:55 ドイツ5月失業率
17:30 イタリア中銀総裁、アイルランド中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏5月CPI速報値

6月1日(水)
15:00 英国5月住宅価格
16:50 フランス5月製造業PMI
16:55 ドイツ5月製造業PMI
17:00 ユーロ圏5月製造業PMI
17:30 英国5月製造業PMI
18:00 ユーロ圏4月失業率
20:00 ラガルドECB総裁、フランス中銀総裁講演
24:15 パネッタECB理事議会証言
24:30 レーンECB理事講演
27:00 ベージュブック

6月2日(木)
**:** LDN市場休場
15:45 フランス中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏4月PPI
24:15 スペイン中銀総裁講演

6月3日(金)
**:** LDN市場休場
15:00 ドイツ4月貿易収支
15:45 フランス4月鉱工業生産
16:50 フランス5月サービス業PMI
16:55 ドイツ5月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏5月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏4月小売売上高
21:30 米国5月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月23日(月)
ユーロドルは欧州市場序盤にラガルドECB総裁が第3四半期末までにマイナス金利から脱却との発言をしたことをきっかけに上昇、その後も一時的な押しはあったもののNYの引けまでじり高となり1.0697まで上昇し高値引けとなりました。

5月24日(火)
ユーロドルは東京市場では全く動きが見られませんでしたが、欧州市場に入りラガルドECB総裁が改めて7~9月期のマイナス金利解除について発言したことをきっかけにユーロドルは1.07台乗せ。NY昼過ぎには1.0749レベルまで水準を切り上げ高値圏での引けとなりました。

5月25日(水)
ユーロドルは前日のユーロ買いに対する調整売りが出ていましたが、欧州市場に入りパネッタECB理事がハト派な発言をしたことから一段と下げる動きとなりました。NY市場朝方には1.0642レベルまで水準を下げていましたが、ヒケにかけては買いも出て1.07水準に近づいての引けとなりました。

5月26日(木)
ユーロドルはECBが7〜9月期にゼロ金利へと正常化することが確実視されることが依然として買い材料となっていました。NY後場には1.0732レベルまで上昇しましたが週間高値更新とはなりませんでした。

5月27日(金)
ユーロドルは東京仲値過ぎには1.0765レベルと週間高値を更新しましたが、その後はじり安の展開が続き、週末前のポジション調整を主に欧州市場前場には1.0697レベルの安値をつけました。しかし押し目買いの動きは根強くドイツ連銀総裁が最初の利上げは7月で年後半に再利上げといった発言が伝わると買い戻しにつながったものの長く続かず元の水準に反落。引けにかけては再びじり高の動きとなったものの東京朝方の水準に戻す程度での引けとなりました。

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