円高リスクくすぶるものの、基本はレンジか(5/26夕)

26日の東京市場は引き続きレンジ取引。127円前半を中心とした一進一退で、依然として方向性は乏しい状況だ。

円高リスクくすぶるものの、基本はレンジか(5/26夕)

円高リスクくすぶるものの、基本はレンジか

〇本日のドル円、積極的な動意に欠け127円台前半を中心とした往来相場
〇岸田首相が円安について「輸出企業には追い風だが生活者にはマイナス要因」と発言
〇しばらくは127円台を中心とした126.00-128.00での一進一退が続くか
〇本日は米経済指標として1-3月のGDP統計改定値や新規失業保険申請件数が発表される
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは126.20-127.50、ドル高・円安方向は127円半ばが抵抗

<< 東京市場の動き >>

26日の東京市場は引き続きレンジ取引。127円前半を中心とした一進一退で、依然として方向性は乏しい状況だ。

ドル/円は127.25-30円で寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。足もとの定まらない日米株価や金利の動きに一喜一憂しつつ、127円台前半を中心とした往来相場をたどっていた。なお、午後には岸田首相から「円安は生活者にとって物価の引き上げになりマイナス要因」との口先介入が聞かれたものの、同時に「円安は輸出企業などには追い風」と結果両論併記のコメントをしており、影響は限られている。16時現在ドル/円は127.15-20円で推移し、欧米市場を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「日露関係」と「ECB利上げ期待」について。
前者は、前日ロシア軍が、中国軍爆撃機とともに共同で「パトロール」と称する行動をとったことを正当化。逆に日本政府の懸念について、「根拠がなく馬鹿げている」と一蹴している。また、ロシア下院議長からは日本や英国といった「非友好国」が「サハリン2の権益を持っているのは望ましくない」とした発言も。さらには、広島市が8月6日の「原爆の日」に開く平和記念式典に、プーチン大統領とロシアの駐日大使を招待しないことを決めたのは「恥ずべき措置」だと批判したことも明らかになっている。日露関係が、そこここで以前よりもギスギスし始めている。

対して後者は、23日にラガルドECB総裁が「9月末までにマイナス金利から脱却する可能性がある」との考えを示したのち、あちこちでECB利上げに関する発言が聞かれ、思惑が高まっている。昨日も、レーン・フィンランド中銀総裁が「7月と9月にそれぞれ0.25%の利上げを実施することを支持する」と言明したほか、クノット・オランダ中銀総裁、レーンECB専務理事なども同様のコメントを発していた。しかし、その一方で、パネッタECB専務理事からは「金利正常化とは中立を意味しない」とする発言、やや過熱気味の市場を諫めるようなコメントも。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は、一昨日に過去1ヵ月にも及ぶサポートの126.95円を下回り、下値余地が広がった感もうかがえたが、結局不発。そののち元のレンジに回帰すると、昨日から本日東京もレンジ取引だった。まだ断定はできないが、ドルの下値トライも失敗に終わり、一旦は出直しとなった可能性もある。しばらくは127円台を中心とした126.00-128.00円といったなかでの一進一退が続くことになるかもしれない。
いわゆる日米などの金利差だけを考えた場合、円は積極的に買いにくいものの、根強い米ファンダメンタルズの悪化懸念や、不安定な米株価などがさらなる円売りに歯止めをかけているようだ。そうしたなか、短期的には発表される米経済指標の内容、そしてNYダウをはじめとする米株の動きにも引き続き要注意。また、延期されていた米国務長官による「対中政策」の説明講演が行われるだけに、そちらの内容も一応注意しておきたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は過去1ヵ月にも及ぶサポートを一時的とはいえ下回ったことで、リスクは下方向にバイアスか。ただ、下げ止まった126.36円は直近上げ幅の半値押しというテクニカルポイントにあたることもあり、なかなか良いレベルで下げ止まったと言えなくもない。ドル安進行第一ラウンドは終了か。ただ、フィボナッチポイントの観点からすると、ドルが再下落に転じ126.36円を下回った場合には、同61.8%押しの125.10-15円、同76.4%押し123.65円などがターゲットとなりそうだ。

一方、本日は米経済指標として、1-3月のGDP統計改定値や週間ベースの新規失業保険申請件数が発表されるほか、前記した米国務長官による「対中政策」の説明講演が行われる見込みだ。また、国連安保理で北朝鮮への制裁強化決議を実施する予定とも言われている。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは126.20-127.50円。ドル高・円安方向は時間足ベースなどでは127円半ばが抵抗に。上抜けると128円台回復も否定できない。
対するドル安・円高方向は、フィボナッチポイントであり前回安値にも合致する126.36円の攻防に注目。割り込むと126円割れも想定する必要がありそうだ。

円高リスクくすぶるものの、基本はレンジか

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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