米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利議事要旨
(会合は2022年5月3・4日開催分)
昨日(5月25日水曜日)、5月初開催のFOMC金融政策会合の議事要旨が公表されました。この中で、金融市場のFFレート上げ期待の項目と金融政策決定項目の一部を抜粋し和訳しています。
FOMC議事要旨の一部抜粋
金融市場の進展と公開金融市場調節
最初に、米国内の金融政策期待の議論に目をむけた。3月のFOMC以降、FRBでのコミュニケーションが、予想された以上に緩和策からのより早い撤去を示唆していると受け止められ、その結果、FFレートの進路に対する期待が著しく持ち上げられた。今回の会合では、FFレート先物が約50ベーシス上げの政策金利を意味していた。公開市場デスクの調査回答では、その結果に対し平均80%の可能性を選択していた。またデスクの調査回答の中間値は、今後2回の会合で目標レンジを50ベーシス上げ、来年央までには更に125ベーシス上げを予想していた。結果、目標レンジの予想中間値は3.13%でピークとなり、前回調査よりもかなり高くなっていた。市場参加者は、引き続き経済見通しや先々の引き締め度合いに関しては著しく不確実性が高いと注記している。この不確実性は2023年末に、目標レンジに対する回答者の平均確率分布に反映されている。
{資産縮小に関する項目は略}
次に米国の金融市場の進展に関する議論に目を向けた。金融市場はこの期間、著しく引き締まった。国債のイールドは曲線全体に上昇し、主に実質金利の一段の上昇を反映している。長期の民間借入金利もまた上昇し、30年間の固定住宅ローン金利は5%を越えここ10年間では一番高い水準である。株価指数はネットベースで、この期間大幅に下落して終わった。これらの指数は、期間の始めにウクライナ戦争でのテールリスクの低下予想で上昇したが、その後は一層下がった。それは米国の金融政策引き締めの中で先行き経済見通しに関する警戒が増したと伝えられている。ドルは、幅広い貿易加重平均でこの期間約2%上昇した。より長い目で見ると、多くの金融情勢指標で測った金融状況は、年初以降歴史的に大きく引き締まっている。
{中略}
委員会の政策行動
今回の会合で金融政策を議論するにあたり、第1四半期の全般的な経済活動は落ち込んでいるものの、メンバー達は家計消費や企業の固定投資が依然強いと合意した。雇用拡大はここ数ヶ月で力強くなり、失業率は一層下がっている。またメンバー達はインフレが引き続き上昇していると合意した。これは継続している需給不均衡、ネルギー価格上昇、価格圧力の拡大などを反映している。
メンバー達はロシアによるウクライナ侵攻が甚大な人的・経済的苦難を引き起こしていると一致した。メンバー達は戦争による米国経済への影響が非常に不確実性をもたらしていると判断した。メンバー達は侵攻とそれに関連する出来事がインフレの更なる上昇圧力を生み、おそらく経済活動にも重石となることで合意した。またメンバー達は中国でのCovid-19関連のロックダウンが供給混乱を一層悪化させることで合意した。継続的なインフレリスクを踏まえ、メンバー達は委員会がインフレの上方リスクに注意を払っていることに留意することが、会合後の声明として適切であると判断した。
委員会の最大雇用と物価安定目標を達成するために必要な金融政策スタンスを査定するにあたり、金融政策スタンスを適切に固めていくことで、メンバー達はインフレが委員会の2%目標に回帰し、労働市場を引き続き堅調のままになると予想した。これらの目標を支持するため、委員会はFFレートの目標レンジを0.75〜1.00%に引き上げることを決め、目標レンジの継続的上げが適切であると予想した。加えて、委員会は6月1日から、国債、機関債、不動産担保証券保有の減少を開始することを決定した。減少に関しては、会合後の声明に付随して公表される「FRBバランスシートの縮小計画」に記載されている。
メンバー達は金融政策の適切なスタンスを査定するにあたり、経済見通しに対し入手する情報の影響を監視し、委員会の目標達成を阻害するリスクが生じた出来事が起きた時には、金融政策スタンスを適切に調整していく用意があることで合意した。また、彼らの査定が、公衆衛生、労働市場状況、インフレ圧力やインフレ期待、あるいは金融・国際情勢の進展を含む、幅広い情報を考慮に入れることで一致した。
金融政策に対する投票:パウエル議長、ウィルアムズ副議長、マイケル・ボウマン、ラエル・ブレイナード、ジェームス・ブラード、エスター・ジョージ、パトリック・ハーカー、ロレッタ・メスター、クリストファー・ウォラー(全員賛成)。
パトリック・ハーカーは今回の会合では代理投票者です。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
ドル円相場は昨日のFOMC議事録公表では動きませんでした。
下図はドル円の日足チャートです。3月初旬からのドル高サポートA(=133円20銭)を5月12日に下抜いてから、抵抗線B(=128円40銭)に沿ってドルが売られています。ここから平行に下したC(=126円00銭)とD(=124円95銭)でドル下限の目安が見えます。
現状はBとCで推移していますが、この間のE(=126円90銭)に横サポートがあります。24日のNY終値で少し割れ掛けましたが、その後は戻しており、狭い範囲ならまだBとE間の動きになりそうです。
今週足の寄りが127円89銭ですので、明日これ未満なら陰線になります。但し、今週の底値が126円36銭までありましたので、終値127円50銭〜127円88銭での陰線なら、かなり下ヒゲ長くなり、下値トライは一度失敗の形になります。また、来週は月足もできるので、6月相場がドル高再開になるか、一段の下押しになるか、今週足で127円台前半の終値では微妙になりそうです。材料的にも昨日のFOMCでは利上げ継続姿勢になっています。また市場の利上げ期待感はFOMC後にやや下がりましたが、まだ来年のFFレート3%越え予想が多く、今後は市場の想定する水準まで利上げ起きるのか、もう一段落ち着いた利上げ幅になるか、今後の経済指標を見る必要がありそうです。
(2022年5月26日13:00、1ドル=127円40銭)
オーダー/ポジション状況
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