トルコリラ円見通し 5月19日夜から下げ渋るも4月28日高値からの下落基調継続(22/5/24)

トルコリラ円の5月23日は8.13円から7.98円の取引レンジ、24日早朝の終値は8.03円で先週末から変わらず。

トルコリラ円見通し 5月19日夜から下げ渋るも4月28日高値からの下落基調継続(22/5/24)

トルコリラ円見通し 5月19日夜から下げ渋るも4月28日高値からの下落基調継続

〇トルコリラ円、5/23午前7.98まで下げた後深夜に8.13まで戻したものの、戻り一巡から失速
〇5/24午前序盤8.01まで続落、再び8円の大台を割り込んで5/19安値7.97割れを試す流れへ進む展開か
〇対ドル、リラの買い戻しが一時優勢となり15.69まで反発したが、早々に15.95まで失速
〇トルコ4月海外観光客数は前年比で大幅増だが、パンデミック前の水準を回復しきれない状況にとどまる
〇8.03から8.05は戻り売りにつかまりやすいところとし、7.98割れからは7.90台前半を目指すとみる
〇8.05超えからは8.10前後試しとするが、8.10前後から反落警戒とみる

【概況】

トルコリラ円の5月23日は8.13円から7.98円の取引レンジ、24日早朝の終値は8.03円で先週末から変わらず。
3月11日安値7.76円を起点として4月28日高値8.88円まで上昇してきた背景はドル円の上昇との同調であり、ドル円が4月28日と5月9日に二度の131円台到達で頭打ちとなって下落に転じたことでトルコリラ円も支えを失って下落してきた。

5月19日はドル円が127.01円まで下げた局面でトルコリラ円も7.97円をつけて8円を割り込み、ドル円がいったん128円台序盤へ戻したことで8円割れから持ち直していた。週明けの23日は午前にドル円が127.13円へ反落したところでトルコリラ円も7.98円まで下げたものの、ドル円と同様に底割れを回避したことと深夜にかけてユーロドル等が一段高した局面でトルコリラが対ドルで上昇したことが重なって8.13円まで戻したが、ドル円の戻りが鈍い中で深夜以降はドル高リラ安へぶり返したためにトルコリラ円も戻り一巡から失速している。
5月24日午前序盤には8.01円まで続落しており、再び8円の大台を割り込んで5月19日安値7.97円割れを試す流れへ進みやすい展開となっている印象だ。

【1ドル=16リラの防衛ラインはまだ維持されている】

ドル/トルコリラの5月23日は15.97リラから15.69リラの取引レンジ、24日早朝の終値は15.93リラで先週末終値の15.99リラからは0.06リラのドル安リラ高だった。
3月11日の1ドル15リラを突破したところからリラ売りが勢い付いて5月18日から20日にかけて15.98リラから15.99リラを付けているものの、トルコ中銀による1ドル16リラでの防衛的な動きを警戒して16リラ手前で足踏み状態が続いている。
5月23日夜はユーロやポンド、豪ドル等が先週からの上昇基調を継続して一段高した局面で対ドルでもリラの買い戻しが一時優勢となって15.69リラまで反発する場面もあったが、リラ買いの動きは短期にとどまって早々に戻り売りから15.95リラまで失速している。
5月26日のトルコ中銀金融政策決定会合も迫り、市場予想は政策金利の週間レポレートが14%の現状維持とされるだろうとみているが、中銀やエルドアン政権が高インフレの中で利上げへ向かわずに利下げの機会を伺うスタンスを変更しなければ、16リラの防衛ラインも突破されてリラ売りが一段と加速する可能性もあるところとして注目したい。

【トルコの4月観光客は前年比で大幅増】

トルコ文化観光省が発表した4月の海外観光客数は257万4423人となり3月の207万9565人から増加、2021年4月の79万687人からは225.59%の大幅増加となった。パンデミックが直撃した2020年4月はわずか2万4238人だったところから大幅に回復しているが、パンデミック前の2019年4月は329万9176人であり、その時と比較すればまだ8割弱にとどまっている。
入国別では1位がドイツで39.5万人、2位がブルガリアの27.1万人、3位が英国の22.5万人で、通常は上位に来るロシアは13万人にとどまって2021年4月の15.6万人から減少している。
トルコリラが歴史的な安値圏にあることはインバウンドとしては割安な買い物期待での観光客増につながること、制裁逃れによるロシアからの富裕層の入国等で収入的にはプラス面もあるが、隣国での戦争拡大とロシア制裁による経済活動への悪影響などがパンデミック前の水準を回復しきれない状況にとどめている印象だ。

トルコリラ円見通し 5月19日夜から下げ渋るも4月28日高値からの下落基調継続

5月23日に発表されたトルコの5月製造業景況感は109.4となり4月の109.7から若干低下した。昨年7月に114.8まで改善した後はリラ安や高インフレにより12月の106.1まで低下したが、その後は110以下の水準で概ね横這い程度の動きにとどまっている。先週末の5月20日に発表された5月の消費者信頼感指数は67.6で4月の67.3から若干改善したが、昨年3月の86.7からの低下傾向が続いて低水準にとどまっている。
5月の設備稼働率は78.0%で4月の77.8%から改善した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月12日夜安値を起点とした三角持ち合いから下放れて弱気サイクル入りしたとして5月17日夜から19日夜にかけての間への下落を想定してきたが、5月20日午前時点では5月19日夜に8.0円を割り込んでから戻したために5月12日夜安値から5日目となる19日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また19日夜安値割れ回避のうちは23日夜にかけての間への上昇余地ありとした。
5月23日午前安値では底割れを回避して23日夜へ戻したもののその後に反落しているため、5月23日夜高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたとみて24日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。現時点からの強気転換には5月23日夜高値を上抜き返す必要があるとみる。

60分足の一目均衡表では、5月23日夜高値でいったん先行スパンを上抜いたもののその後の反落で先行スパンから転落しているため、戻り一巡から下落期に入ったとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換は23日夜高値超えからとし、超えないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は5月23日夜の上場時に60ポイント台を付けたがその後の反落で40ポイント台前半へ失速しているので下落期入りとして30ポイント割れを試す流れとみる。50ポイント台前半までは戻り売りにつかまりやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.98円を下値支持線、8.05円を上値抵抗線とみる。
(2)8.03円から8.05円は戻り売りにつかまりやすいところとし、7.98円割れからは7.90円台前半(7.95円から7.90円)を目指すとみる。7.92円以下は反騰注意とするが、8.03円以下での推移か直前安値から0.10円を超える反騰へ進めないうちは25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.05円超えからは8.10円前後試しとするが8.10円前後から反落警戒とみる。

【当面の主な予定】

5月26日
 16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 94.7)
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 14.00%、予想 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 5/20時点 (5/13時点 612.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 5/20時点 (5/13時点 115.3億ドル)
5月31日
 16:00 1-3月期GDP 前期比 (10-12月 1.5%)
 16:00 1-3月期GDP 前年同期比 (10-12月 9.1%)
 16:00 4月 貿易収支 (3月 -81.7億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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