トルコリラ円見通し 先週末の下げ渋り続かず三角持ち合いから転落
〇トルコリラ円、5/16夜8.28まで下げた後8.33まで戻したが、5/17午前序盤8.26を割り込み安値更新
〇三角持ち合いの様相で先週を終えたが、ドル高リラ安の継続で三角持ち合いから転落
〇対ドル、トルコ経常収支発表後15.66へ一段安、その後15.52まで持ち直すも5/17午前序盤リラ安で推移
〇リラ売りの勢い止まず8営業日続落、新たな防衛ライン15.50を突破
〇トルコの3月経常収支悪化、経常収支悪化がリラ安をさらに助長する展開も
〇8.25割れからは、8.20前後への下落を想定する
〇8.33を超える場合は、8.35から8.37にかけてのゾーンを試すとみる
【概況】
トルコリラ円の5月16日は8.37円から8.26円の取引レンジ、17日早朝の終値は8.30円で先週末終値の8.34円から0.04円の円高リラ安だった。
ドル円の歴史的な大上昇に押し上げられて3月11日安値7.76円から4月28日高値8.88円まで上昇してきたが、ドル円が131円台に二度到達したところから下落に転じ、ドル高リラ安が継続したために5月4日から12日まで7営業日連続の下落となり、ドル円が127.50円まで急落した5月12日夜には8.28円まで安値を切り下げた。
5月12日夜からはドル円が下げ一服で戻したことでトルコリラ円も下げ渋ったもののドル高リラ安が継続したために13日午前へ上昇した後は高値切り上げへ進めずに三角持ち合いの様相となり先週を終えた。
週明けの5月16日はドル円が129.60円台を二度つけたものの上値が重く軟調な展開にとどまる中、ドル高リラ安の継続で三角持ち合いから転落、16日夜に8.28円まで下げてからいったん8.33円まで戻したものの17日午前序盤には8.26円を割り込み安値更新に入っている。
【ドル高リラ安継続、15.50リラの防衛ライン突破】
ドル/トルコリラの5月16日は15.66リラから15.44リラの取引レンジ、17日早朝の終値は15.54リラで先週末の15.48リラからは0.06リラのドル高リラ安となった。
5月5日に発表されたトルコの4月CPIが前年同月比で69.97%へ高進したことをきっかけにリラ売りが勢い付き、5月9日には3月11日高値でトルコ中銀による防衛ラインとみられていた15リラを超えたことでリラ売りが一段と加速、5月5日から13日まで7営業日の続落で先週を終えた。
5月16日はユーロやポンドが戻し、豪ドルや南アランド、メキシコペソ等も対ドルで上昇したが、リラ売りの勢いは止まずに8営業日続落となった。
5月13日時点ではトルコ中銀の新たな防衛ラインは15.50リラに置かれるのではないかとの見方も出ていたが、夕刻発表のトルコ経常収支悪化から売られて15.66リラへ一段安となり、その後は急落一服で15.52リラまで持ち直したが、17日午前序盤は再びリラ安での推移となっている。
【トルコの3月経常収支悪化】
5月16日に発表された3月のトルコ経常収支は55.54億ドルの赤字で2月の51.54億ドルの赤字から赤字幅が拡大した。トルコは慢性的な経常赤字国であり、貿易赤字を観光収入が穴埋めする構造だが、昨年7月から9月までは経常黒字が続き、エルドアン政権も経常収支改善がインフレを抑制するとの見方も示していたものの、利下げによる暴落により11月に再び赤字へ転落し、4会合連続の利下げで史上最安値までリラ安が進んだ直後の今年1月には69.82億ドルまで悪化し、その後も50億ドルを超える規模の赤字が続いている。
高インフレによる輸入物価上昇が貿易赤字の拡大を招き、経常収支悪化がリラ安をさらに助長する展開と思われる。
5月16日に発表された4月の財政収支は501.7億ドルの赤字で3月は689.7億ドルの赤字だった。1月と2月は黒字だったが3月と4月は2か月続いての赤字。この1年では赤字が8か月、黒字が4か月だった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月9日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への下落を想定していたが、12日夜へ大幅続落した後を三角持ち合いとし、16日夜に持ち合いから下放れているため、12日夜安値を直近のサイクルボトム、13日午前高値を同サイクルトップとして新たな弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は17日夜から19日夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとし、強気転換は13日午前高値超えからとする。
60分足の一目均衡表では、5月16日の持ち合い下放れにより遅行スパンが再び悪化、先行スパンからの転落も継続しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は50ポイント到達で売られる展開となてるため60ポイントを超えるような反騰へ進めないうちは一段安余地ありとみて30ポイント割れからは20ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.25円を下値支持線、8.33円を上値抵抗線とみる。
(2)8.30円から8.33円手前にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。8.25円割れからは8.20円前後への下落を想定する。8.20円以下は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は8.17円前後へ下値目途を引き下げる。また8.30円以下での推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.33円を超える場合は8.35円から8.37円にかけてのゾーンを試すとみるが、8.35円以上は反落警戒としてその後に8.30円を割り込むところからは下げ再開注意とする。
【当面の主な予定】
5月20日
16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 67.3)
20:30 週次 外貨準備高 5/13時点 グロス (5/6時点 660.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 5/13時点 ネット (5/6時点 149.9億ドル)
23:30 4月 中央政府債務 (3月 310.9億リラ)
5月23日
16:00 5月 製造業景況感 (4月 109.7)
16:00 5月 設備稼働率 (4月 77.8%)
17:00 4月 観光客数 前年比 (3月 129.7%)
5月26日
16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 94.7)
20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 14.00%、予想 14.00%)
20:30 週次 外貨準備高
注:ポイント要約は編集部
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2022.05.18
トルコリラ円見通し 利上げ催促のリラ売り続き4月28日高値以降の安値を更新、1ドル16リラに迫る(22/5/18)
17日夜はドル高リラ安に押されてトルコリラ円も4月28日高値8.88円以降の安値を更新した。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:山中 康司
2022.05.16
トルコリラ円レポート月曜版(22/5/16)
先週のトルコリラ円は安値8.08レベル、高値が8.74レベルと、もみあいを下抜け後の下げが思った以上の大きさとなりました。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。