トルコリラ円見通し 利上げ催促のリラ売り続き4月28日高値以降の安値を更新、1ドル16リラに迫る(22/5/18)

17日夜はドル高リラ安に押されてトルコリラ円も4月28日高値8.88円以降の安値を更新した。

トルコリラ円見通し 利上げ催促のリラ売り続き4月28日高値以降の安値を更新、1ドル16リラに迫る(22/5/18)

利上げ催促のリラ売り続き4月28日高値以降の安値を更新、1ドル16リラに迫る

〇トルコリラ円、5/17安値8.12、ドル高リラ安に押され4/28高値8.88以降安値更新
〇対ドル、5/17安値15.60で下落規模加速、16リラ新たな中銀防衛ラインとなるか
〇3/11安値7.76割り込む場合、昨年11〜12月暴落時の再現、史上最安値試す可能性を懸念
〇8.10割れからは8.00前後への下落を想定する
〇8.24を超える場合は8.30前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の5月17日は8.30円から8.12円の取引レンジ、18日早朝の終値は8.14円で前日終値の8.30円から0.16円の円高リラ安となった。
ドル円は5月12日夜安値127.50円まで急落調整の入ったところからの持ち直しを継続して17日夜には129.77円まで戻したが130円には届かずに129円台中心で揉み合いとなっているが、ドル/トルコリラでは5月5日のトルコ4月CPIの上ブレからリラ売りが勢い付いて連日の下落となり、1ドル15リラの壁を超えてからも続落しており、17日夜はドル高リラ安に押されてトルコリラ円も4月28日高値8.88円以降の安値を更新した。

【ドル高リラ安が一段と加速、16リラに迫る】

ドル/トルコリラの5月17日は15.94リラから15.60リラの取引レンジ、18日早朝の終値は15.90リラで前日終値の15.54リラからは0.36リラのドル高リラ安となった。
5月5日に発表されたトルコの4月CPIが前年同月比で69.97%へ高進したことをきっかけにリラ安が勢い付き、5月9日には3月11日高値でトルコ中銀による防衛ラインとみられていた15リラを超えたことでリラ売りが加速、5月5日から16日まで8営業日の続落となっていたが、17日はさらに勢いを増して暴落商状ともいえる下げで9日続落となっている。

1日の下落規模としてはトルコ政府によるリラ預金の為替差損補填政策発表による上昇でつけた12月23日高値からの反落開始時にも近く、昨年12月20日の史上最安値18.36リラへと暴落していった11月中盤からのリラ安加速時にも近い印象だ。
1ドル16リラに迫った状況にあり、市場もいったんは売られ過ぎ警戒感を示す可能性もあるだろうが、トルコ中銀が公然非公然での介入で16リラを新たな防衛ラインとして動くのかどうか試されるところであり、特段の動きが無ければ5月26日の次回トルコ中銀金融政策決定会合へ向けて17リラを目指してリラ売り攻勢が続きかねないところだ。

【持ち合い形成からの下放れの連続で下げ足早まる】

トルコリラ円は4月28日に8.88円をつけて3月11日安値7.76円からの上昇幅は1.12円となったが、5月13日への下落で8.28円をつけて4月28日高値からの下げ幅が0.60円に拡大して上昇幅の半値を削った。3分の2押しラインは8.13円にあったが5月17日の下落で到達しており、3月11日安値へ向けて「往って来い」の状況で進みつつある。
4月30日未明に8.70円まで下げたところから下げ渋りの持ち合いを形成していたところ、5月9日に持ち合い下放れに入って下げが加速、5月12日安値で8.28円まで下げたところからはレンジ縮小型の三角持ち合いの様相となっていたが5月16日にこの三角持ち合いから下放れた。
5月18日午前もさらに安値を切り下げて8.10円割れを試しにかかっており、8.10円割れから8.00円、さらに7円台へと向かいかねない状況にある。

【3月11日安値を割り込む場合は昨年11月から12月への暴落時の再現となる懸念も】

4月28日高値からの下落速度は2月末から3月11日安値にかけてウクライナ戦争勃発をきっかけとした下落時を超えている。3月11日安値7.76円を割り込む場合、昨年12月23日高値11.14円を起点とした下落が二段目に入ることとなり、下落ペースが昨年11月から12月20日の史上最安値へ向けて加速度的に早まった時に近い展開となりかねず、史上最安値を再び試す可能性も浮上してくるのではないかと懸念する。
主要国が金融引き締めに走り、新興国や投機通貨へ向かっていた投資マネーが逆流し始めていることに対して新興国では通貨防衛とインフレ抑制のために利上げを繰り返している。しかし高インフレの中で利下げによるインフレ抑制をもくろんだエルドアン政権とその意を汲むトルコ中銀の思惑は破綻して昨年末のリラ暴落を招いた。その後もインフレは止まず、リラ預金の為替差損を国家が補填するという無理筋の政策でいったんは落ち着いたもののその政策の継続性について市場は懐疑的であり、エルドアン政権及び中銀に対する利上げ催促的なリラ売り状況に陥ったという印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月12日夜安値を起点とした三角持ち合いから下放れて弱気サイクル入りした。ボトム形成期は17日夜から19日夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとみるが、17日夜にいったん戻してから一段安しているため17日夕安値でボトムを付けて既に底割れから新たな弱気サイクル入りしている可能性も検討される。17日夜高値8.24円を超えないうちは一段安警戒とし、ボトム形成期が延びる可能性に注意する。

60分足の一目均衡表では、5月16日の持ち合い下放れにより遅行スパンが再び悪化、先行スパンからの転落も継続しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は5月17日夕刻に20ポイント割れへ低下してから40ポイント超えへ戻したものの再び30ポイント近辺へ低下しているのでまだ一段安余地ありとみるが、17日夕安値からの一段安に対して指数のボトムが切りあがって50ポイントを超える反騰を見せる場合はいったん戻しに入るとみて60ポイント前後を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.10円を下値支持線、8.20円を上値抵抗線とみる。
(2)8.20円から8.24円手前にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。8.10円割れからは8.00円前後への下落を想定する。8.05円以下は反騰注意とするが、8.20円以下での推移が続く場合及び直近の安値から0.10円を超える反騰が見られない場合は19日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.24円を超える場合は8.30円前後への上昇を想定するが、8.30円以上は反落警戒としてその後に8.20円を割り込むところからは下げ再開みる。

【当面の主な予定】

5月20日
 16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 67.3)
 20:30 週次 外貨準備高 5/13時点 グロス (5/6時点 660.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 5/13時点 ネット (5/6時点 149.9億ドル)
 23:30 4月 中央政府債務 (3月 310.9億リラ)
5月23日
 16:00 5月 製造業景況感 (4月 109.7)
 16:00 5月 設備稼働率 (4月 77.8%)
 17:00 4月 観光客数 前年比 (3月 129.7%)
5月26日
 16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 94.7)
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 14.00%、予想 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高


注:ポイント要約は編集部

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