『週央にかけて約1ヵ月ぶり安値を記録。チャイナショックに要警戒』
〇今週の南ア円、米金利上昇、中国の景気失速懸念等に週央にかけ週間安値8.00まで下落
〇その後南アPPIの上昇加速、円独歩安に週末にかけ8.27まで反発するも引けにかけ8.21に下落
〇南ア円、主要サポートラインを下抜けテクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつある
〇来週は南アランド円相場の下落リスクに注意を要する1週間
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.95ー8.35
今週のレビュー(4/25−4/29)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.24円で寄り付いた後、@米FRBによるタカ派傾斜観測(米金利上昇→南アフリカから米国への資本流出圧力)や、A南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気失速懸念(中国における新型コロナウイルス感染再拡大→ロックダウンの長期化懸念→対中依存度の高い南アフリカ経済への下押し圧力)、B貴金属市場の軟調推移(南アフリカの交易条件悪化懸念)、C南ア東部クワズールー・ナタール州で発生した大規模洪水の被害継続、D国営電力会社エスコムによる計画停電強化、E上記CDを背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感が重石となり、週央にかけて、週間安値8.00円(3/22以来、約1ヵ月ぶり安値圏)まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、F南ア3月生産者物価指数(結果+11.9%、予想+10.7%、※前年比)の伸び率加速や、G上記Fを背景とした南ア中銀の追加利上げ観測、Hハト派な日銀金融政策決定会合を受けた円独歩安の流れ(ドル円は約20年ぶり高値131.25まで急上昇→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値8.27円まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落に転じ、本稿執筆時点(日本時間4/30午前4時45分現在)では8.21円前後で推移しております(週足ベースで2週連続陰線)。
来週の見通し(5/2−5/7)
南アランド円相場は4/19に記録した約3年10ヵ月ぶり高値8.74円をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、約1ヵ月ぶり安値となる8.00円まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、8.20円前後での上値の重い展開が続いております。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線といった主要サポートラインを下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(昨年11/26に記録した直近安値6.93円をボトムに始まった中期上昇トレンドの終焉を示唆)。目先は7.98ー8.14円のレンジで形成されている一目均衡表「雲」を下抜けられるか否かに注目が集まりそうです。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(米長期金利上昇→過剰流動性相場逆流→新興国から米国への資本流出)や、A中国における新型コロナウイルス感染拡大(南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気失速懸念→チャイナショック再燃に伴う市場心理悪化)、B南ア経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムによる計画停電や、ナタール州で発生した大規模洪水の甚大な被害など)、Cラマポーザ政権の求心力低下(失業率高止まりに伴う南アフリカ国内の政情不安リスク)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は5/3ー5/4に開催される米FOMCに加えて、中国の新型コロナウイルスに関するヘッドラインに注目が集まります。米FOMCが予想以上にタカ派的な結果となる場合や、中国経済を巡る悲観論がもう一段深刻化する場合などには、過剰流動性相場逆流に伴う南アランド売り(米金利上昇→新興国から米国への資本流出圧力)と、南ア経済見通しの悪化を織り込む南アランド売り(中国経済悪化→中国と経済的な結びつきの強い南ア経済の連鎖的ダメージ)が重なることから、来週は南アランド円相場の下落リスクに注意を要する1週間となりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.95ー8.35
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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