トルコリラ円見通し ドル円の急落一服と持ち直しに合わせて戻す(22/4/22)

4月21日はドル円が持ち直しに入ったことでトルコリラ円も21日昼にはこの日の高値となる8.77円まで反発した。

トルコリラ円見通し ドル円の急落一服と持ち直しに合わせて戻す(22/4/22)

トルコリラ円見通し ドル円の急落一服と持ち直しに合わせて戻す

〇トルコリラ円、ドル円が持ち直しに入ったことにより、4/21昼に高値8.77まで反発
〇対ドル、為替市場は総じてドル高となり、深夜14.73へ安値更新
〇昨日発表のトルコ4月消費者信頼感指数、大幅に悪化するも市場の反応鈍い
〇8.70以上での推移中は上昇余地ありとして、8.77超えからは8.80台序盤を試すとみる
〇8.70割れを弱気転換注意とし、8.68割れからは8.65前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の4月21日は8.77円から8.70円の取引レンジ、22日早朝の終値は8.72円で前日終値の8.71円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル円の上昇と同調してトルコリラ円は3月11日安値7.76円からの上昇基調を継続し、ドル円が129円台に到達した4月20日には8.83円へ高値を伸ばしてきたが、ドル円が20日深夜にかけて2円近い急落調整となったためにトルコリラ円も8.68円まで失速した。4月21日はドル円が持ち直しに入ったことでトルコリラ円も21日昼にはこの日の高値となる8.77円まで反発した。

ドル円は21日深夜に戻り高値を若干切り上げたものの、米長期債利回り上昇によるドル高リラ安が継続したためにトルコリラ円は20日深夜安値割れを回避しつつ21日昼高値の後は新たな高値更新へ進めずに三角持ち合いの様相となっている。
4月21日にはG7財務相・中銀総裁会合及び日米財務相会談もあったが、特段の円安けん制はなく、IMF高官は現在の円安についてはファンダメンタルズを反映したものであり日銀の金融政策を変更する必要はないとの旨を述べており、政策的な円安誘導による輸出促進を批判するようなことはなく、IMFも米国も現状の円安は実情を反映した円安とみている印象だ。

【対ドル、ドル高の影響で安値更新】

ドル/トルコリラの4月21日は14.73リラから14.66リラの取引レンジ、22日早朝の終値は14.70リラで前日終値の14.67リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
ウクライナ戦争とロシア制裁の長期化により昨年来のインフレ進行が深刻化する中で米連銀による金融引き締め姿勢が強まっており、米長期債利回りは1昨年のパンデミック発生で急落したところからの反騰を継続している。4月21日もパウエル米連銀議長が5月FOMCにおける0.50%利上げへの支持姿勢を示したことで米10年債利回りは前日比0.08%上昇の2.91%、2年債利回りは0.11%上昇の2.69%となり一時は2.72%まで上昇して昨年来の最高値を更新している。
4月20日に米長期債利回りが上昇一服で低下したことでユーロドル等が戻していたものの、米長期債利回り再上昇により21日夜は反落し、為替市場は総じてドル高となり、ドル/トルコリラも深夜のドル高局面で14.73リラへ安値を更新している。

【トルコの4月消費者信頼感指数が大幅に悪化】

4月21日夕刻発表のトルコ4月消費者信頼感指数は67.3となり3月の72.5から大幅に悪化した。市場の事前予想では若干のプラスとの見方もあったためにややサプライズ的な悪さだったものの市場の反応は鈍く、ドル円の動向を見ながらの推移にとどまった。
消費者信頼感指数はパンデミック発生時もさほど悪化せずにいたが、昨年後半からのトルコリラ安とインフレの深刻化から悪化基調に入っており、リラ暴落商状となった昨年12月には68.9まで低下し、いったんは70ポイント台前半へ戻したもののインフレが一段と深刻化したことやウクライナ戦争とロシア制裁による悪影響を意識して4月は再び70を割り込み12月の水準も下回った。

トルコリラ円見通し ドル円の急落一服と持ち直しに合わせて戻す

エルドアン政権とトルコ中銀は12月の利下げ後に政策金利の現状維持を続けているもののインフレは収まらない中で利上げには踏み切らず、リラ防衛のためにリラ預金の保護政策や物価高騰対策として付加価値税を8%から1%へ大幅に引き下げたり、最低賃金の倍増等を打ち出してきたが、消費者心理は冷え込みが一段と鮮明になっている。来年の大統領選挙での再選へ向けてエルドアン政権としては何とか物価上昇を抑え込みたいところだが、インフレは世界全体での推移のためにトルコ独自には解決できない問題だ。

【週次の外貨準備高は拡大】

4月21日夜には週次の外貨準備高の発表があり、4月15日時点のグロスは690.4億ドルで前週の677.2億ドルから拡大、ネットでは191.3億ドルとなり前週の183.0億ドルから拡大した。
トルコ中銀は国内の輸出企業に対して売り上げによる獲得外貨を中銀へ売却させるなど外貨準備高の拡大に努めており、ネットでは昨年11月に326.4億ドルでピークをつけて今年1月に75.5億ドルまで激減した後は持ち直し基調にある。グロスでも昨年11月のピーク時に879.2億ドルあったところから今年3月に653.4億ドルまで低下した後はやや持ち直している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月14日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして18日午後から20日夕にかけての間への上昇を想定してきた。
4月20日午前に一段高したところから20日夜に急落して再び戻したため、21日午前時点では20日午前高値で直近のサイクルトップを付けていったん弱気サイクル入りしたが既に20日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしているとし、高値形成期を25日午前から27日午前にかけての間と想定した。
21日昼へ戻してからは新たな高値更新へ進めずに20日深夜安値割れも回避して三角持ち合いの様相のため、20日深夜安値割れを回避するうちは上昇余地ありとし、8.70円割れを弱気転換注意、20日深夜安値8.68円割れからは弱気サイクル入りとして25日夜から27日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月21日昼へ戻した後は持ち合いの様相となり遅行スパンは実線との交錯を繰り返し、先行スパンからは転落しているもののその下限に張り付いた状況となっている。このため21日昼高値を超えるところからは持ち合い上放れとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、20日深夜安値割れからは持ち合い下放れとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月20日夜の30ポイント台からもどしたものの50ポイントを挟んだ持ち合いで方向感に欠ける。60ポイント超えからは上昇感が強まるとみるが、再び40ポイントを割り込む場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.70円を下値支持線、8.77円を上値抵抗線とする。
(2)8.70円以上での推移中は上昇余地ありとして8.77円超えからは8.80円台序盤(8.80円から8.83円)を試すとみる。8.83円前後は売られやすいと注意するが、上昇が勢い付く場合は8.85円前後へ上値目途を引き上げる。また8.75円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.70円割れを弱気転換注意とし、8.68円割れからは8.65円前後への下落を想定する。8.65円前後ではいったん買われやすいとみるが、週明けも続落しやすいとみて戻り売り有利とし、下げ足が早まる場合は8.60円台序盤(8.62円から8.60円)へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

4月25日
 16:00 4月 製造業景況感 (3月 108.5)
 16:00 4月 設備稼働率 (3月 95.7)
4月28日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 95.7)
 20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (1/27時点 23.2%)
 20:00 週次 外貨準備高 4/22時点
4月29日
 16:00 3月 貿易収支 (2月 -78.8億ドル)
 16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 49.4)
 16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 76.3億ドル)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 186.5%)



注:ポイント要約は編集部

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