ドル円見通し IMFも円安容認、円安へのけん制鈍く128円台回復(22/4/22)

21日夜に127.79円まで下げる場面もあったが押し目買いから21日深夜には128.70円まで戻り高値を切り上げ、その後も128円台を維持している。

ドル円見通し IMFも円安容認、円安へのけん制鈍く128円台回復(22/4/22)

ドル円見通し IMFも円安容認、円安へのけん制鈍く128円台回復

〇ドル円、4/21夜127.79まで下げたが押し目買いから深夜128.70まで戻し、その後も128円台を維持
〇G7での円安けん制なく、日米財務相会談でも米国側のコメント出ず、IMF高官は円安容認発言も
〇米10年債利回り再上昇、2年債利回りは一時2.72%まで上昇し昨年来高値更新
〇米経済指標はやや弱く、米株価は下落
〇128円台を維持するうちは上向きとし、129円超えからは4/20午前高値129.40試しへ向かうとみる
〇127.44割れからは、126円台前半への下落を想定する

【概況】

ドル円は4月20日午前に129.40円を付けたところから高値警戒感による売り優勢となり20日深夜安値127.44円まで2円近い急落となったが、その後は昨年来の上昇基調は変わらずとみて買い戻され128円台へ持ち直している。
4月20日午前に日銀が連続指値オペの通告を行ったが市場もすでに経験済であり日銀の長期金利抑制姿勢については新たな動きではないとしてドル円の上昇材料にはならず、129円台到達に対する高値警戒感からのポジション調整で売られた。しかし昨年1月以降の上昇基調は変わらずとみて突っ込んだところは買われ、21日夜に127.79円まで下げる場面もあったが押し目買いから21日深夜には128.70円まで戻り高値を切り上げ、その後も128円台を維持している。

【G7での円安けん制無し、IMFは円安容認】

4月21日のワシントンにおけるG7財務相・中銀総裁会合において鈴木財務相は「最近のやや急激な円安の進行について説明した」とし、「緊張感をもって注視していくこととG7の合意に沿って緊密な意思疎通を図っていくことを申し上げた」と述べたが、為替水準に関する質問には「コメントしない」とした。また日銀の黒田総裁も「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい」と述べるにとどまった。日米財務相会談においても円安についての意見交換が行われたとしたが、米国側から特段のコメントは出ていない。

IMF(国際通貨基金)のアジア太平洋局副局長は「最近の円安はファンダメンタルズ主導であり、日銀の超低金利政策を含む日本の経済政策を変更する理由にはならない」とし、「現在の動向はファンダメンタルズを反映しており経済政策を変更する理由は見当たらない」、「現時点で為替市場に無秩序な状況は見られず、市場が無秩序でない限り為替政策スタンスは適切というのが我々の通常のアプローチ」と述べた。また「日本のインフレ圧力は依然落ち着いているため日銀が超緩和策を変更する必要性はない」とも述べた。
貿易摩擦が激しかった時代においては円安誘導=日本の輸出拡大としてけん制圧力がかかったが、現状は主要国がインフレ対策で引き締め姿勢を強化する中で金融緩和政策維持にとどまっている日本の円が弱いことによる円安というのが市場の認識であり、米国やIMF等による円安けん制姿勢は見られない。悪い円安、弱い円という認識で円安を止める必要に迫られていないということだろう。

【米10年債利回り再上昇、2年債利回りは昨年来高値更新】

4月21日の米10年債利回りは前日比0.08%上昇の2.91%へ戻した。4月20日に2.98%を付けたところからいったん調整的な下落となり2.81%まで下げたものの、米連銀のパウエル議長発言等から5月の0.50%利上げ感が意識されて一時は2.95%へ上昇した。30年債利回りは0.06%上昇の2.93%。2年債利回りは0.11%上昇の2.69%となり一時は2.72%まで上昇して昨年来の最高値を更新、2018年12月以来の高水準となった。
米連銀高官による5月FOMCにおける大幅利上げ支持発言も続いており、21日はパウエル米連銀議長が5月3-4日開催の次回FOMCにおける0.50%利上げを市場が予想していることに対して「妥当だ」とし、ウクライナ戦争とロシア制裁による米国への影響は欧州と比べてさほど受けておらず米経済は非常に強いとし、「速やかな利上げが適切」とした。

【米経済指標はやや弱め、NYダウが反落、ナスダックは続落】

4月21日のNYダウは前日比368.03ドル安と下落、ナスダック総合指数は同278.42ポイント安で前日からの続落だった。米連銀による大幅利上げの可能性や中国の感染拡大と中国株安、21日の米経済指標がさえなかったことが影響したようだ。
米労働省による新規失業保険申請件数は4月16日までの週間で前週比2000件減の18万4000件で2週ぶりの改善だったが市場予想の18万件を上回った。失業保険受給者総数は4月9日までの週間で141万7000人となり、前週比5万8000人減少して市場予想の145万5000人を下回った。
米フィラデルフィア連銀による4月製造業景況指数は17.6となり3月の27.4から低下、2か月振りの悪化で市場予想の21.0を下回った。また6か月後の見通しは3月の22.7から8.2へ低下した。
米コンファレンス・ボードによる3月の景気先行指数は前月比0.3%上昇で市場予想と一致した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、4月14日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして18日から20日夕にかけての間への上昇を想定してきたが、20日の急落により21日朝時点では20日午前高値で直近のサイクルトップとした。またボトム形成期は14日夕安値を基準として19日夕から21日夕にかけての間と想定されるのですでに20日深夜安値でボトムを付けた可能性があるとし、128.65円超えからは強気サイクル入りとした。
4月21日深夜に128.70円まで戻したため、現状は20日深夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたところと思われる。トップ形成期は25日午前から27日午前にかけての間と想定されるが、20日深夜安値を割り込む場合は底割れによる新たな弱気サイクル入りとして25日夜から27日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月20日深夜安値からややジリ高気味の推移となっているが、遅行スパン及び先行スパンは実線と交錯を繰り返して方向感に欠ける。20日深夜安値割れ回避のうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、129円台回復からは上昇が勢い付く可能性もあるとみるが、20日深夜安値割れからは20日午前高値からの調整安が長引くとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は20日夜に30ポイント台へ低下したところから持ち直しているが、60ポイント到達で売られて50ポイント割れは買い戻される小動きにとどまっている。65ポイント超えからは上昇も勢い付くとみるが、40ポイント割れからは下げ足が早まる可能性もあるところと注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月20日深夜安値127.44円を下値支持線、129.00円を上値抵抗線とする。
(2)128円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、129円超えからは20日午前高値129.40円試しへ向かうとみる。20日深夜安値割れを回避しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。また20日午前高値を超えるところからは130円台を目指す流れとみる。
(3)127.44円割れからは126円台前半への下落を想定する。126.30円以下は反騰注意とするが、127.44円を割り込んだ後も128円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/22(金)
15:00 (英) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -0.3%、予想 -0.3%)
15:00 (英) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 7.0%、予想 2.8%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・徐自動車 前月比 (2月 -0.7%、予想 -0.4%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (2月 4.6%、予想 0.7%)
16:30 (独) 4月 製造業PMI速報値 (3月 56.9、予想 54.5)
16:30 (独) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 56.1、予想 55.5)
17:00 (欧) 2月 経常収支・季調済 (1月 226億ユーロ)
17:00 (欧) 4月 製造業PMI速報値 (3月 56.5、予想 54.7)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 55.6、予想 55.0)
17:30 (英) 4月 製造業PMI速報値 (3月 55.2、予想 54.0)
17:30 (英) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 62.6、予想 60.0)

22:00 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
22:45 (米) 4月 製造業PMI速報値 (3月 58.8、予想 58.2)
22:45 (米) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 58.0、予想 58.0)



注:ポイント要約は編集部

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