円安再燃、当局者の口先介入に要注意(週報4月第2週)

先週のドル/円相場は、ドルが堅調裡。しかし、前週に示現した125.10円の年初来高値にはとどかず、若干上げ渋った感も。

円安再燃、当局者の口先介入に要注意(週報4月第2週)

円安再燃、当局者の口先介入に要注意

〇先週のドル円、金曜に週間高値124.67まで上昇、週間を通して概ねドル高円安の動き
〇前週に続き鈴木財務相や黒田総裁などから円安けん制発言出るも効果は限定的
〇価格調整一服し再びドル高方向、3月末の年初来高値125.10を更新する展開もあるか
〇しっかり超えれば125.86、さらに2002年以来の130円台乗せへ向けたドルの大幅続伸も
〇今週のドル/円予想レンジは、123.00-125.50、先週末高値124.67が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は123円半ばがサポート、しっかり割り込めば122円台再突入の可能性も

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが堅調裡。しかし、前週に示現した125.10円の年初来高値にはとどかず、若干上げ渋った感も。

前週末、ウクライナが初めて「ロシア国内の核燃料施設を攻撃した」と報じられ話題に。そうしたなか、珍しく韓国と北朝鮮の小競り合いが観測されると、こちらも思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は122.55-60円で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。122円半ばを挟んだ狭いレンジ取引をたどるも、上抜けすると週末にかけじり高。結果として、週間高値の124.67円まで2円程度の上昇となった。週間を通しておおむねドル高・円安の動きながら、一度も125円台に乗せられないなど、ドルの上値も重く上げ渋りの感も否めない。週末NYは124.25-30円で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ロシア情勢」と「円安けん制発言と米金融政策」について。
前者は、ウクライナの首都キーウ(キエフ)郊外ブチャで民間人とみられる、多くの遺体が見つかった事件に端を発した「ロシアの戦争犯罪」論が週間を通した話題に。ロシア国防省による「民間人虐殺への関与否定」や、ラブロフ外相からの「フェイクニュース」や「映像捏造」発言なども聞かれたが、欧米を中心としたロシア非難の大合唱にかき消され、逆に対露制裁の強化なども連日のように発表されていた。ただ、中国は依然としてロシア寄りのスタンスを崩しておらず、同国外務省の趙報道官は記者会見で「米国は一方的な対露制裁を絶えずエスカレートさせ、どちらの側に立つのかと世界を脅迫している」との擁護コメントを発していたことが明らかになっている。

対して後者は、前週に続き先週も鈴木財務相「為替の安定は重要、とくに急速な変化は一番注意しないといけない」、黒田総裁「今回の為替相場の変動はやや急激」−−などといった円安けん制発言が聞かれたものの、効果は限定的。むしろ、そののち利上げ慎重派と目されていた米国のブレイナードFRB理事から「バランスシートを5月にも急速なペースで縮小」との発言が聞かれたことが強烈なドルの支援要因となり、前述したような週末にかけてのドル高・円安進行をもたらしていた。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は3月末に125.10円の年初来高値を示現したのち、価格調整局面ともいえる動きをたどってきた。しかし先週の動きをみると、そんな調整は早くも一服。再びドル高方向へとバイアスを掛けた動きとなっている。予断を許さないが、今週のどこかで125.10円をトライあるいは更新する展開があっても不思議はなさそうだ。ちなみに、超えた場合のターゲットは2015年6月につけた125.86円となる。
以前から「次回5月のFOMCで0.5%の利上げ実施」との見方が取り沙汰されていたが、ハト派に分類されるブレイナードFRB理事まで積極的な利上げ見通しを語るなど、米利上げ観測はさらに高まっているようだ。一部からは、5月だけでなく「6月さらに7月も0.5%の利上げに踏み切る」といった見方も取り沙汰されるとドルの支援要因に。そうしたなか、レベル的にも本邦要人を中心とした「口先介入」には一応要注意。とくに「黒田ライン」と言われる124円後半以上のレベルにおいては、かなり執拗な円安けん制コメントが出てくる可能性も。

テクニカルに見た場合、ドル/円は125.10円を示現後、一時121円前半まで下落したものの、先週末のNYクローズは124円台。再び年初来高値を視界内に捉えるなど、調整の動きは1週間程度で早くも終了した感がある。
ちなみに、今週はドルの続伸、年初来高値をめぐる攻防にまずは注目か。しっかり超えれば125.86円、さらには2002年以来となる130円台乗せへ向けたドルの大幅続伸も否定できない。

材料的に見た場合、中長期的には、ロシアと北朝鮮に対し国際世論と一線を画す擁護コメントが依然として多い「中国情勢」、米国のレモンド商務長官やペロシ下院議長、欧州ではラガルドECB総裁の罹患が明らかになるなど、まだまだ予断を許さない「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「エネルギー・穀物相場への懸念」−−などに注目。
そうしたなか今週は、3月の消費者物価指数や同小売売上高などの米経済指標が発表されるほか、引き続き米地区連銀総裁らの講演など発言機会も数多く予定されている。また、米金融機関を中心とした決算発表や、一部からは「北朝鮮が核実験を行う」といった見方も取り沙汰されている週末の「故金日成生誕記念日」などにも一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、123.00-125.50円。ドル高・円安については先週末高値124.67円が最初の抵抗で、抜ければ125.10円、そして125.86円などを目指す展開となりそうだ。
対するドル安・円高方向は、短期的には123円半ばがサポートとして、じわりと寄与し始めている。まずはその攻防に注目だ。しっかり割り込めば、122円台再突入の可能性も。

円安再燃、当局者の口先介入に要注意

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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