ドル円 上値トライと当局発言とのせめぎあい(週報4月第2週)

先週のドル円は金曜には124.67レベルまで上昇と、ほぼ週を通して買い戻しが続きました。

ドル円 上値トライと当局発言とのせめぎあい(週報4月第2週)

上値トライと当局発言とのせめぎあい

〇先週のドル円、米金利上昇とともに金曜に124.67レベルまで上昇、週を通して買い戻し続く
〇米金利、金曜には10年債利回りが2.728%と2019年3月以来の2.7%台乗せに
〇市場参加者にとってはドル円、クロス円で円を売りやすいという見方が定着
〇今週は反落しても先週安値下回らず、上値も2015年高値更新にまでは行かない
〇今週は122.90レベルをサポートに125.60レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円は前週に目先の高値をつけた後の調整で121.27レベルの安値をつけたものの、121円台では根強い押し目買い、またブレイナードFRB理事のタカ派発言、FOMC議事録でも同様にタカ派な内容であったことから米金利上昇とともにドル円は買い戻され、金曜には124.67レベルまで上昇と、ほぼ週を通してドル円は買い戻しが続きました。

米金利の上昇は金曜には10年債利回りが2.728%と2019年3月以来の2.7%台乗せとなり2年債との金利差逆転も現在は解消されています。しかし、先週のコラムにも書いた通りで、現時点で2022年末の米国政策金利は2.5%を織り込み始めています。0.25%を1回とすると、あと9回となりますので、1回で0.5%の利上げを複数回実施しないと追いつきません。

また先週のFOMC議事録から判断すると5月に0.5%の利上げを行いバランスシートの縮小にも着手という流れが既にコンセンサスとなっているため、利上げ思惑によるドル買いとそれによって株式市場が下げに転じないかどうか、ドルの材料としては今は金利と株価の状況を見ていると言えます。

いっぽうで円の材料としては、当局(財務省)から市場を注視、円安のペースが速いといった発言は出ているものの、積極的に現行水準の円安をけん制する発言にまではなっていないため、市場参加者にとってはドル円、クロス円で円を売りやすいという見方が定着しています。調整につながるような発言(先週の元日銀理事の発言など)は絶好の押し目買いとされているため、今週は先々週の高値125.09レベルを上抜け、125円台をどこまで上昇できるかという流れになってきました。

テクニカルにも見てみましょう。日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

上の赤の太線は2015年高値125.67レベルですが、ここを上抜けると先週長期チャートで見たように130円の大台へと更なる円安へと進む可能性が出てきます。テクニカルに値幅観測を考えても2015年高値よりも円安となりますので。今週は2015年高値をレジスタンス兼ターゲットという見方になります。

これまでの財務省筋(財務大臣、財務官)が繰り返し注視発言を繰り返してきたため、同じことが繰り返されるのか、あるいは円安けん制発言へとトーンを強めるのか、今週の最大の注目は当局からの発言になりそうです。ただ、その場合でも下がったところでは買いが出てくるというこれまでの状況には変化は無いと考えています。

今週は上値トライと当局発言とのせめぎあいとなると見ていますが、反落しても先週の安値を下回ることは無いでしょうし、上値も2015年高値更新にまでは行かないと思います。今週は122.90レベルをサポートに125.60レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

4月11日(月)
10:00 黒田日銀総裁発言(支店長会議)
10:30 中国3月CPI・PPI ☆
15:00 英国2月鉱工業生産、貿易収支
16:00 トルコ2月失業率
22:30 ボウマンFRB理事、ウォラーFRB理事、(アトランタ連銀総裁)講演
25:40 (シカゴ連銀総裁講演)

4月12日(火)
08:01 英国3月小売売上高
10:30 豪州3月企業景況感 ☆
15:00 ドイツ3月CPI
15:00 英国3月失業率
15:45 フランス2月貿易収支
16:00 トルコ2月鉱工業生産
18:00 ドイツ4月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏4月ZEW景況感
21:30 米国3月CPI ☆

4月13日(水)
07:45 (リッチモンド連銀総裁講演)
09:30 豪州4月消費者信頼感
11:00 NZ中銀政策金利発表 ☆
**:** 中国3月貿易収支
15:00 英国3月CPI ☆
15:15 黒田日銀総裁講演
20:00 南ア2月小売売上高
21:30 米国3月PPI ☆
23:00 カナダ中銀政策金利発表 ☆
23:30 週間原油在庫統計
24:00 カナダ中銀総裁会見 ☆

4月14日(木)
08:01 英国3月住宅価格
10:30 豪州3月失業率
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:45 ECB理事会 ☆
21:30 ラガルドECB総裁会見 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国3月小売売上高、輸入物価
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
23:00 米国2月企業在庫
28:50 クリーブランド連銀総裁講演

4月15日(金)
**:** 東京を除く主要市場休場(グッドフライデー)☆
07:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
08:50 本邦2月貿易収支(国際収支)
15:45 フランス3月CPI
21:30 米国4月NY連銀製造業景況指数
22:15 米国3月鉱工業生産、設備稼働率

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月4日(月)
週明けのドル円は一時的上昇を除くとほとんどの時間帯での取引が122.50〜80レンジに収まり動意薄の一日となりました。材料的にはドル買い+円売り材料が多いものの以前よりも頻繁に財務省筋から為替市場についての発言があることから、短期的には利食いのドル売りが入りやすい流れとなりました。

4月5日(火)
ドル円は東京朝方にやや下げて海外市場に移るまでは動きが鈍かったのですが、欧州市場序盤に米金利が上昇する動きとともにドル買いが入り、前日高値をわずかに上回りました。NY市場までは再びもみあいが続きましたが、ブレイナードFRB理事が利上げを進める、5月にもバランスシート縮小とタカ派発言を行ったことで米金利が急上昇、ドル円も123.67レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。

4月6日(水)
ドル円は前夜ブレイナードFRB理事のタカ派発言後のドル買いの流れを継続してスタート、仲値前後には実需買いも出たことから前場に124.05レベルの高値をつけました。その後はほぼ終日123円台後半でのもみあいに終始しましたが、FOMC議事録発表直後には123.45レベルまで下押しし、引けにかけてはもみあい水準に戻して引けました。

4月7日(木)
前日124円超えではドル売りオーダーが出ていたこともあり、東京朝方には売りが先行し123.47レベルの安値をつけました。しかし押し目買いも根強く買い戻しが進む中、海外市場に移ってからは米金利が改めて上昇したことも重なって124.00レベルの高値をつけ、高値引けとなりました。

4月8日(金)
東京市場前場に元日銀理事による夏にもイールドーカーブコントロールの弾力化(金利上昇容認)、国民は円安に不満といった発言をきっかけに123.66レベルまで水準を下げました。しかし根強い押し目買いが見られる中で米金利が上昇し、NY市場前場には2.728%にまでの上昇を受け124.68レベルまで上昇。引けにかけては124円台前半へと押して引けました。

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