トルコリラ円見通し 3月10日からの上昇継続で8.10円に到達(22/3/16)

トルコリラ円の3月15日は8.10円から7.95円の取引レンジ、16日早朝の終値は8.04円で前日終値の7.99円からは0.05円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 3月10日からの上昇継続で8.10円に到達(22/3/16)

トルコリラ円見通し 3月10日からの上昇継続で8.10円に到達

〇トルコリラ円、対ドルリラ急伸に伴い3/15高値8.10、3/10からの上昇継続
〇対ドル、3/15夜14.46まで一時急伸、再び売られ16日早朝終値14.70
〇エルドアン大統領、緊張緩和に向け積極的外交展開、停戦期待で原油価格急落
〇3/17米FOMC利上げ予想0.25%、同日夜トルコ中銀会合、政策金利14%据え置き予想
〇8.00以上での推移中は一段高余地ありとし、8.11超えからは8.10円台後半への上昇を想定する
〇8.00割れからは弱気転換注意とし、7.95割れからは7.80円台後半への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月15日は8.10円から7.95円の取引レンジ、16日早朝の終値は8.04円で前日終値の7.99円からは0.05円の円安リラ高となった。
ウクライナ情勢を背景に2月16日からの下落が続き、2月28日から3月10日まで9日間の続落で3月10日夜には7.77円まで安値を切り下げたが、その後はドル円の急伸とドル/トルコリラでのドル高リラ安一服で持ち直しに入り、3月14日は8.01円まで高値を切り上げた。
3月15日の日中は8.00円前後を抵抗として夕刻に7.95円まで下げる場面もあったが、20時台に対ドルでリラが急伸したところでトルコリラ円も8.01円を超えて急伸となり8.10円に到達した。その後は新たな高値更新へ進めずにいるものの8円台を維持している。

【ドル/トルコリラ動向 15日夜に一時急伸するも再び売られる】

ドル/トルコリラの3月15日は14.84リラから14.46リラの取引レンジ、16日早朝の終値は14.70リラで前日終値の14.77リラからは0.07リラのドル安リラ高だった。
ウクライナ情勢と原油高騰等を背景に3月1日から3月10日まで8日続落となり3月11日には14.99リラまで安値を切り下げたが、その後はリラ売り一服で買い戻し優勢となり11日夜には14.61リラへ反発、15日夜には一時14.46リラまで急伸する場面も見られた。
リラ急伸時には特段の買い材料となる報道も見られなかったが、リラ暴落阻止のために政府がリラ預金の為替差損を補填する政策を実施しており、13リラ台での持ち合いから下放れて15リラに迫った状況から反発しているところを見ると、リラ預金保護に関連したリラ買いの動きだったのではないかとも考えられる。原油急落によるインフレ深刻化が緩んだこともリラの買い戻しに寄与したともいえる。

【停戦期待と原油急落】

エルドアン大統領は3月15日にロシアとウクライナの停戦へ向けてチャブシオール外相をモスクワとキエフに派遣すると発表した。外相は16日にモスクワを訪問してから17日にはキエフに入るという。
3月10日にはロシアとウクライナの外相をトルコに招いて会談を実施、2月24日のロシア軍侵攻開始以降で初めてとなる高官レベルの協議となったが、近隣として地政学的リスクの高いウクライナ情勢の緊張緩和へ積極的な外交を展開している。

3月14日からはオンラインでの停戦協議が続いており、中断を入れながら16日も継続する予定とされている。市場は両国の歩み寄りもあり得るとみて3月15日はNY原油が100ドル割れへと大幅続落、NYダウが500ドル高を超える上昇となっており、新興国通貨に対してもリスク回避感がやや後退しているところだ。
しかし、停戦協議が破談する場合や一定の停戦合意が実現してもロシア制裁が解除されないうちは欧米によるロシア産原油禁輸方針によりロシア産以外の原油争奪戦が激化することも懸念される。やや過剰な原油高騰は落ち着いていったん仕切り直しに入っていることはトルコリラにはプラスではあるが、再び戦争拡大となる場合は第三次石油危機レベルの資源エネルギー価格の高騰やウクライナ及びロシアからの穀物供給に支障が出て食糧危機を招きかねないというリスクもまだ解消されていないと思われる。

【3月17日未明のFOMC声明発表も迫る】

3月17日未明には米連銀FOMCの声明発表、議長会見がある。市場は最近の原油急落もあり0.25%の利上げと予想しているが、インフレに対する米連銀の認識や引き締め姿勢の強弱を巡って米長期債利回りが一段と上昇するのかどうか注目される。
3月17日夜のトルコ中銀金融政策決定会合では政策金利の週間レポレートが14%で据え置かれるとの予想で一致しているところだが、主要国中銀がインフレ対策による金融引き締め姿勢を強化してゆくことは新興国投資マネーの逆流を招きかねないことであり、主要新興国が利下げを先行させているのに対して利下げを繰り返して昨年末のリラ暴落を招いたトルコ中銀及びエルドアン政権の異質さが浮き上がる可能性もあるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月10日夜安値からの下げ渋りにより11日午前時点では7.87円を超えるところからは強気サイクル入りとしていたが、11日夜に7.87円を超えて14日に8円到達まで続伸したために3月10日夜安値を直近のサイクルボトムした強気サイクル入りとした。
3月15日夕刻へいったん下落したところから一段高しているため、15日夕安値を直近のサイクルボトムとして既に新たな強気サイクル入りしている可能性と15日夜高値でサイクルトップを付けて下落期に入り始めた可能性が併存するところだ。このため15日夕安値7.95円を割り込まないうちは一段高余地ありとし、8円割れを弱気転換注意、7.95円割れからは弱気サイクル入りとして17日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月11日夜の反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下落期入りとみて安値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが悪化した後に好転するところからは上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は3月15日の上昇で70ポイントに到達してからは低下しているのですでに下落期入りしている可能性もあるが、50ポイントを割り込んでも切り返すうちは60ポイント超えからの上昇再開とし、45ポイント割れからはさらに下げるとみて30ポイント割れを目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.00円を下値支持線、8.11円を上値抵抗線とする。
(2)8.00円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、8.11円超えからは8.10円台後半(8.15円から8.20円)への上昇を想定する。8.17円以上は反落警戒とするが、8.00円以上での推移なら17日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.00円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、7.95円割れからは7.80円台後半(7.90円から7.85円)への下落を想定する。7.85円以下は反騰注意とするが、8.00円以下での推移が続くなら17日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現状 14.00%、予想 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高 3/11時点 グロス (3/4時点 681.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3/11時点 ネット (3/4時点 181.5億ドル)
3月21日
 17:00 2月 観光客数 前年同月比 (1月 151.4%)
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 284.4億リラ)
3月23日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 71.2)


注:ポイント要約は編集部

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