トルコリラ円見通し ドル円の急伸とリラ安一服で8円到達まで戻す(22/3/15)

トルコリラ円の3月14日は8.01円から7.90円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.99円で先週末終値の7.91円からは0.08円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し ドル円の急伸とリラ安一服で8円到達まで戻す(22/3/15)

トルコリラ円見通し ドル円の急伸とリラ安一服で8円到達まで戻す

〇トルコリラ円、3/14にドル円が118円台へ大幅続伸したことに押し上げられ、8円台到達まで戻す
〇対ドル、3/11に14.99まで安値を切り下げた後リラ売り一服、3/14終値は14.77、新たな安値更新回避
〇3/17にはトルコ中銀の金融政策決定会合、市場は今回も現状維持と予想
〇ウクライナ停戦協議の進展見守る、国際商品高騰はトルコのインフレをさらに深刻化させる可能性
〇7.93以上での推移中は一段高余地ありとし、8.02超えからは8.05前後への上昇を想定する
〇7.93割れからは弱気転換注意とし、7.90割れからは下落再開とみて7.80台前半を目指す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月14日は8.01円から7.90円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.99円で先週末終値の7.91円からは0.08円の円安リラ高となった。
ウクライナ情勢に圧迫される形で2月16日から2月24日にかけて7日続落、2月25日に下げ一服した後の2月28日から3月10日まで9日続落となり3月10日夜には7.77円まで安値を切り下げてきたが、ドル円が116円を超えてから急伸に入り、ドル/トルコリラも3月11日安値で下げ一服となったことで3月11日夜には7.90円台を回復、14日もドル円が118円台到達へと大幅続伸したことに押し上げられて8円台到達まで戻した。3月14日夜にこの日の高値を付けた後は8円台到達による高値警戒感から上げ渋って8円を割り込んでいる。

【ドル/トルコリラ動向 地政学的リスクによるリラ安にやや一服感】

ドル/トルコリラの3月14日は14.89リラから14.68リラの取引レンジ、15日早朝の終値は14.77リラで先週末終値の14.76リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
ウクライナ情勢による地政学的リスクが高まったとしてドル高リラ安が進行、2月24日のロシア軍侵攻時に14.63リラへ急落したところからいったん戻したものの、2月28日の戻り高値から再び売られて3月1日から3月10日まで8日続落となり3月11日には14.99リラまで安値を切り下げたが、その後はリラ売り一服となり、14日も終値ベースではわずかに下落したものの新たな安値更新を回避している。

【米長期債利回り上昇によるドル高圧力は継続】

欧米がロシア産原油禁輸方針を決定したところで当面の制裁拡大リスクもピークとなったとして高騰していた原油や金が急落調整に入ったことで、トルコリラも対ドルでの下落に一服感が出ているところだが、インフレ進行懸念と3月17日未明に声明発表が予定される米連銀FOMCの引き締め姿勢を意識して3月7日から14日にかけて米10年債利回りなどが高騰しており、実質的に大幅なマイナス金利状態にあるトルコリラへの売り圧力は解消されていない。
3月17日にはトルコ中銀の金融政策決定会合があるが、9月から12月まで4会合連続利下げの後は1-3月期を様子見とするとして1月と2月は利下げを見送ってきたため、今回も現状維持と市場は予想している。自国内インフレ進行が止まず、世界規模のインフレも進行継続中のため、4月以降も利下げに踏み切るのは難しい状況と思われる。

【ウクライナ停戦協議の進展を見守る】

3月16日にはNATO(北大西洋条約機構)の臨時理事会がブリュッセルで開催される。NATO加盟国であるトルコもアカル国防相が出席する。
ロシアとウクライナによる戦争状態への突入と欧米によるロシア制裁により金融市場全般が動揺しているが、両国との外交通商関係の深いトルコにとっても戦争と制裁の長期化は大きな打撃となる。特にウクライナ情勢の発生前から高インフレに見舞われてきたトルコとしては原油や穀物飼料などの国際商品高騰は自国のインフレをさらに深刻化させかねない問題だ。

地政学的にも隣接地での戦争勃発としてリスク通貨としてのトルコリラへの売り圧力も強まりやすい状況にある。歴史的にはオスマントルコ帝国時代のロシア帝国とのクリミアを巡る数次の戦争経験もあり、現状ではNATO加盟国としてウクライナに軍事ドローン供給をする一方でロシア製ミサイルシステムを導入したことやギリシャ沖ガス田開発強行やキプロス問題等でEUによる経済制裁を受ける複雑な外交的立ち位置にある。
ウクライナ情勢緊張化からエルドアン大統領はゼレンスキー大統領と会談し、プーチン大統領とも電話会談を行ってきた。3月10日にはトルコ内でウクライナ・ロシアの外相会談を実現して停戦協議を仲介している。また自国を取り巻く地政学的リスク拡大への緩和対処としてイスラエル首相、ギリシャ首相との会談も行っている。ギリシャ首相がエルドアン大統領との会談から帰国後に新型コロナ陽性となったが、エルドアン大統領はウクライナ訪問直後にもコロナ感染しており健康状態に対する気がかりなところもある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月9日夜に8日深夜安値を割り込んだため、10日午前時点では9日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして11日夜から15日深夜にかけての間への下落を想定した。10日夜へ一段安してからやや戻していたために11日午前時点では7.87円を上値抵抗線としたが、11日夜に7.87円を超えて14日には8円到達まで続伸しているので、現状は10日夜安値を直近のサイクルボトムして強気サイクル入りしているところと思われる。サイクルトップ形成期は14日から16日朝にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるため、7.90円を上回るうちは上昇余地ありとするが、7.90円割れからは弱気サイクル入りとして15日夜から17日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月11日夜の反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下落期入りとみて安値試し優先へ切り替える。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが悪化した後に好転するところからは上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は3月11日の反騰から14日夜への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる。このため50ポイント割れからは下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント前後への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.90円を下値支持線、8.02円を上値抵抗線とする。
(2)7.93円以上での推移中は一段高余地ありとし、8.02円超えからは8.05円前後への上昇を想定する。8.05円以上は反落警戒とするが、7.95円以上での推移なら16日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.93円割れからは弱気転換注意とし、7.90円割れからは下落再開とみて7.80円台前半(7.85円から7.80円)を目指す下落を想定する。7.90円以下での推移が続く場合は16日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月15日
 17:00 2月 財政収支 (1月 +300億リラ)
3月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現状 14.00%、予想 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高 3/11時点 グロス (3/4時点 681.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3/11時点 ネット (3/4時点 181.5億ドル)
3月21日
 17:00 2月 観光客数 前年同月比 (1月 151.4%)
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 284.4億リラ)
3月23日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 71.2)



注:ポイント要約は編集部

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