ドル円見通し 1月28日高値に迫ってやや足踏みするも上昇基調を維持(22/2/10)

ドル円は2月9日午前高値で115.67円を付けて1月28日高値115.68円に迫ったものの高値更新には至らず。

ドル円見通し 1月28日高値に迫ってやや足踏みするも上昇基調を維持(22/2/10)

1月28日高値に迫ってやや足踏みするも上昇基調を維持

〇昨日のドル円、午前高値115.67をつけ1/28高値に迫るも高値更新には至らず
〇主要国中銀の金融引き締め姿勢と日銀の緩和継続姿勢の対比から円の弱さがやや目立つ展開
〇米10年債利回りは前日比0.03%低下だが、1.91%まで下げたところからは戻す一段高状態の範囲
〇115.30以上での推移中は上向き、115.68超えからは116円台序盤を目指すとみる
〇115.30割れから続落に入る場合は115.00及び2/7夜安値114.90試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は2月9日午前高値で115.67円を付けて1月28日高値115.68円に迫ったものの高値更新には至らず、日中に115.30円まで下げたところは買われて確りし、10日早朝は115.50円前後の水準を維持している。
2月9日は米国の重要指標の発表もなく手掛かり難だったが、米長期債利回りは10年債が上げ渋ったものの2年債利回りが昨年来高値を更新して上昇基調を維持、NYダウが連騰でリスク選好感が回復、為替市場ではユーロドルがほぼ横ばいの動きだったが豪ドルや南アランド等の資源輸出国通貨の上昇が目立つ展開となりドルの強弱はまちまちで、主要国中銀の金融引き締め姿勢に対する日銀の金融緩和継続姿勢の対比から円の弱さがやや目立つ展開となっている印象だ。今晩は米1月消費者物価上昇率の発表、動意が高まるか注目されている。

【米長期債利回りは上昇基調を継続】

2月9日の米10年債利回りは前日比0.03%低下の1.94%となったが、2月8日に1.97%を付けて2019年11月以来の高水準に達したところからの上昇一服の動きで、1.91%まで下げたところからは戻しており一段高状態の範囲にある。2年債利回りは2月8日に1.35%を付けて2020年2月以来の高水準に達していたが、9日も0.02%上昇で1.37%まで水準を切り上げている。

1月27日早朝の米FOMC直後に3月の利上げが0.25%ではなく0.50%の引き上げになるのではないかとの見方や利上げ回数も5回以上になるのではないかと市場が受け止めたことでドル全面高となったが、その後に複数の米連銀高官が0.50%の引き上げには否定的な見方を示したことでFOMCに対する反応がやや過剰だったとしてドル安へと風向きが変わった。さらに英中銀の12月に続く2会合連続の利上げやECBが従前よりもインフレ警戒感を強めてタカ派へシフトしつつある姿勢を示したことでドル安が継続したが、2月4日の米雇用統計における就業者増加数や平均時給の伸びが予想を上回ったことで0.50%の利上げ可能性が再燃したためにドル安にもブレーキがかかっている。
ただ、金融緩和継続姿勢にある日銀と金融引き締めへ動く欧米との中銀スタンスの差が円安感を助長しており、ドルストレートでのドル高感が鈍くてもクロス円全般の上昇基調が継続、ドル円も日米長期金利差を意識した上昇基調を継続している印象だ。

【欧米の金融引き締め姿勢】

米アトランタ連銀のボスティック総裁は2月9日に今年の利上げ回数については「今のところ3回を想定しているが、若干4回に傾いている」、「金融政策の正常化が人々の行動に影響を及ぼす(=インフレを落ち着かせる)」と述べた。また3月の利上げに関しては0.50%の引き上げの可能性は経済指標次第として否定しなかった。
米クリーブランド連銀のメスター総裁は9日の講演で「3月の利上げを支持する」とし、「向こう数か月で複数回の利上げが必要」と述べたが、利上げ回数とペースについては経済動向次第とし、3月に0.50%の引き上げを行う可能性については、「0.50%の引き上げで利上げを始めるというやむをえない状況とは考えていない」と否定的な見方を示した。
米連銀高官は前回FOMCを前後したやや過剰なドル高反応を落ち着かせるような発言を続けているが、今後の指標次第では3回以上の利上げや0.50%の利上げによるペースアップの可能性についても否定しているわけではないと思われる。

2月3日にECBのラガルド総裁がインフレ進行について驚いていると述べて当面して利上げする可能性はないとの見方を引っ込めたことで市場はECBの利上げも近づいてきたと受け止めているが、ECBのシュナーベル専務理事は9日に「インフレ期待がECBの目標である2%を超えて上昇するリスクが生じれば利上げが必要となる可能性がある」と述べ、エネルギー価格高騰によるインフレ進行への懸念を示した。
英中銀のチーフエコノミストであるピル委員は9日に「金利をどこまで引き上げるべきか不透明」とし、今後の利上げについては「安定的」に実施していくことが望ましいと述べた。2月3日の英中銀MPCでは委員9名のうち4名が0.50%の引き上げ、5名が0.25%の引き上げを主張して0.25%の引き上げが決定されているが、ピル委員は0.25%の引き上げに賛成しており、市場を過剰に刺激しない速度での利上げ継続姿勢と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、2月4日夜高値から7日夜安値にかけていったん下げてから4日夜高値を上抜き返したため、2月9日午前時点では2月7日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして9日夜から11日深夜にかけての間への上昇を想定した。9日午前高値の後は新たな高値更新へ進んでいないものの115.50円を挟んで確りしているのでまだ一段高余地ありとみる。ただし、9日昼安値115.30円を割り込む場合は弱気転換注意とし、115円割れからは弱気サイクル入りとして10日夜から14日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月9日午前高値以降の上げ渋りで遅行スパンは実線と交錯しているが先行スパンを上抜いた状況は維持されている。このため先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落の場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9日午前からの反落で50ポイントを割り込んだところは買い戻されて10日午前序盤には60ポイントを超えてきているので上昇継続とみるが、45ポイントを割り込む場合はいったん下げに入るとみて30ポイント割れを試す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、115.30円を下値支持線、115.68円を上値抵抗線とする。
(2)115.30円以上での推移中は上向きとし、115.68円超えからは116円台序盤(116.00円から116.25円)を目指すとみる。116円到達ではいったん売られやすいと注意するが、115.50円以上での推移なら11日の日中も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)115.30円を割り込んでもその後に115.50円を超えるところからは上昇再開とするが、115.30円割れから続落に入る場合は115.00円及び2月7日夜安値114.90円試しへ向かうとみる。ただし115円以下は押し目買いされやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/10(木)
ロシアとベラルーシの合同軍事演習(2/20まで)
22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 0.5%、予想 0.5%)
22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 7.0%、予想 7.3%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 0.6%、予想 0.5%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前年同月比 (12月 5.5%、予想 5.9%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.8万件、予想 23.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 162.8万人、予想 162.5万人)
27:00 (米) 財務省30年債入札
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 5.50%、予想 6.00%)
28:00 (米) 1月 月次財政収支 (12月 -213億ドル、予想 250億ドル)
29:15 (英) ベイリー英中銀総裁、講演

2/11(金)
休場、日本
16:00 (独) 1月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 4.9%、予想 4.9%)
16:00 (英) 12月 月次GDP 前月比 (11月 0.9%、予想 -0.5%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP速報値 前期比 (7-9月 1.1%、予想 1.1%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP速報値 前年同期比 (7-9月 6.8%、予想 6.4%)
16:00 (英) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 1.0%、予想 0.1%)
16:00 (英) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 0.1%、予想 0.6%)
16:00 (英) 12月 貿易収支・物品 (11月 -113.37億ポンド、予想 -125.00億ポンド)
16:00 (英) 12月 貿易収支・全体 (11月 6.26億ポンド、予想 -4.00億ポンド)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (1月 67.2、予想 67.5)

注:ポイント要約は編集部

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