ユーロ 高値圏でもみあい予想するも難しい局面(週報2月第1週)

先週のユーロは3日の英中銀MPCでの利上げは完全に想定通りでした。

ユーロ 高値圏でもみあい予想するも難しい局面(週報2月第1週)

高値圏でもみあい予想するも難しい局面

〇オリンピック閉幕まで動き出ず、現状はECBの緩和縮小思惑がほぼ唯一のユーロドル相場の材料
〇ECB理事会直後は現状維持で期待外れからユーロ売り、総裁会見から動きが出る
〇ラガルド総裁発言で一気にECBの緩和縮小思惑広がる、年内最後の四半期には利上げに動く可能性も
〇下値は底堅いが上昇スピードが速いため1月後半の戻り高値圏1.13台半ばを見ておくと良い
〇今週は1.1350レベルをサポートに、1.1500レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

最初にウクライナ問題ですが、状況は緊迫し先週はロシアがウクライナに侵攻した際にウクライナ政府は3日で陥落するといったシミュレーションを米国が発表しました。ロシアによる動画捏造疑惑をすっぱ抜くなど、既に情報戦の段階に入ってきているようにも思えますが、現在はオリンピック期間中でもあり、北京オリンピックが閉幕する20日まではロシアによる動きは出て来ないのではないかというのが現在の見方でしょうか。逆にオリンピック閉幕とともに改めて緊張が高まりそうですが、現状はECBの緩和縮小思惑がほぼ唯一のユーロドル相場の材料となっています。

先週のユーロは3日の英中銀MPCでの利上げは完全に想定通りでしたが、ECB理事会で緩和縮小議論がもたれるかどうかについては期待は高まっていたものの半信半疑であったという状況のままで理事会の結果発表を迎えました。理事会直後は現状維持で期待外れだったというユーロ売りが見られましたが、動きが出たのは総裁会見からでした。

理事会を前にドイツのCPIがEU基準で5.1%、ユーロ圏のCPIも5.1%と5%台に乗せてきたことから、ラガルドECB総裁は全理事がインフレの上振れに懸念していると発言、さらに年内の利上げについての質問にも条件が整えば利上げもあり得ることを示唆したことで、一気にECBの緩和縮小思惑が広がりました。現状では3月末にPEPPが終了し、その後の半年はAPPの増額が示されていますが、年内最後の四半期には利上げに動く可能性が出てきたと言えるでしょう。

ブンズ(ドイツ国債)10年債の利回りを日足チャートでご覧ください。

高値圏でもみあい予想するも難しい局面

赤の水平線が0%ですが、先週月曜の終値で2019年5月以来のプラス圏で引け、ラガルドECB総裁の会見後に急騰、金曜には0.229%と2019年1月以来の金利高水準となりました。今後は米国10年債利回り以上にブンズ利回りも要チェックとなってきたと言えそうです。

ユーロの日足チャートも見てみましょう。

高値圏でもみあい予想するも難しい局面 2枚目の画像

こちらは非常に難しいチャートの形状となってきました。ピンクのラインで示した拡散型のもみあいと言えますが、このパターンは本来であれば順張りで新値を試しに行く動きに対してカウンターで持って行かれるという悩ましい動きです。もっと大きな動きを捉えて9月高値と1月安値の半値戻しとなる1.1514にも近い大台1.15が上値の目途と見てよさそうです。

下値はしばらくは底堅いとは思うものの、上昇スピードが速過ぎることもあり、1月後半の戻り高値圏となっていた1.13台半ばを見ておくと良いと考えています。今週はこれらの両水準を参考に1.1350レベルをサポートに、1.1500レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見ます。

今週のコラム

ECB理事会後のユーロ円の急騰が目立ちますが、週末にかけても一段高となったことで年初来高値を更新しての週末クローズとなりました。米国の緩和縮小に続きECBもとなれば、緩和を継続する日銀が緩和縮小の可能性を示すまでユーロ円でも円売りという動きが一気に入り込んだ結果と言えます。

ただテクニカルには10月高値と12月安値の78.6%(61.8%の平方根)戻し132.17に近いことからいったん調整を挟みやすい水準でもあります。ユーロドル同様に今週はスピード調整を挟み、そこから再度上値を狙いに行くという流れになってきていると言えそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

2月7日(月)
**:** NZ市場休場
10:45 中国1月MarkItサービス業PMI
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
24:45 ラガルドECB総裁講演 ☆

2月8日(火)
08:50 本邦12月貿易収支(国際収支)
09:01 英国1月小売売上高
09:30 豪州1月企業景況感
11:15 NZ中銀総裁講演
16:45 フランス12月貿易収支
22:30 米国12月貿易収支
26:00 フランス中銀総裁講演 ☆

2月9日(水)
08:30 豪州2月消費者信頼感
16:00 ドイツ12月貿易収支
18:30 南ア1月企業信頼感
24:00 米国12月卸売売上高
24:30 ボウマンFRB理事講演 ☆
24:30 週間原油在庫統計
26:00 カナダ中銀総裁講演
26:00 クリーブランド連銀総裁講演 ☆

2月10日(木)
09:01 英国1月住宅価格
16:00 トルコ12月失業率
21:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
21:30 フランス中銀総裁講演
22:15 レーンECB理事講演 ☆
22:30 米国1月CPI ☆
22:30 米国新規失業保険申請件数
29:15 英中銀総裁講演 ☆

2月11日(金)
**:** 東京市場休場
07:30 豪中銀総裁議会証言
16:00 ドイツ1月CPI
16:00 英国10〜12月期GDP速報値 ☆
16:00 英国12月鉱工業生産、貿易収支
16:00 トルコ12月貿易収支
17:05 エルダーソンECB理事講演 ☆
24:00 米国2月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月31日(月)
ユーロドルは前週の下げに対するポジション調整の買い戻しから目立った材料が無い中でじり高の展開を辿りました。NY市場に入り発表されたドイツのCPIが予想よりも高く3日のECB理事会で早期に緩和を縮小する議論が持たれるのではないかとの思惑からユーロは対ドル、対円とも上昇し、ユーロドルは1.1248レベルまで買われた後にやや押して引けました。

2月1日(火)
ユーロドルはユーロ買い・ドル売りの流れが継続しましたが、ECB理事会に向けて緩和縮小が議論されるとの思惑がかなり根強く、欧州市場では前日高値を上抜け1.1279レベルまで上昇。その後上下は見られたものの底堅い地合いのままで1日を終えました。

2月2日(水)
ユーロドルは東京市場では動かず欧州市場に入り高いユーロ圏のCPIをきっかけに3日のECB理事会で緩和縮小議論が期待から一段高となりました。NY市場では弱いADP発表後に1.1330レベルの高値をつけましたが、引けにかけては調整も入り1.1300水準へと押して引けました。

2月3日(木)
ユーロはECB理事会を控えて若干売りが先行していたものの様子見が続きました。ECB理事会では現状維持でサプライズも無かったことから1.1267レベルと若干売られましたが、ラガルド総裁会見において全理事がインフレの上振れに懸念を示したこと、条件が整えば年内の利上げもありうることに言及したことからユーロは全通貨に対して急騰、ユーロドルは1.1451レベル、ユーロ円も131.54レベルまで上伸し高値圏での引けとなりました。

2月4日(金)
ユーロドルは前日のラガルドECB総裁会見で急騰した動きの余波が残っていたという感じでしたが、米国雇用統計発表まで底堅い展開を続け1.1484レベルの高値をつけました。雇用統計後のドル買いの動きから1.1411レベルの安値をつけましたが、引けにかけては1.14台半ばへと戻しての週末クローズとなりました。

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