ドル円見通し ドル全面安でドル円も114円台序盤へ一段安(22/1/13)

ドル円は1月12日夜の米消費者物価上昇率発表をきっかけに急落、10日深夜安値115.03円を割り込んで一段安に入り13日未明には114.36円まで安値を切り下げた。

ドル円見通し ドル全面安でドル円も114円台序盤へ一段安(22/1/13)

ドル全面安でドル円も114円台序盤へ一段安

〇ドル円、12日夜の米消費者物価発表後に急落、未明に114.36まで安値切り下げ
〇米CPI上昇率は全体の前年同月比7.0%で伸び加速、1982年6月以来39年半ぶりの高水準に
〇エネルギー価格は前年比29.3%上昇、半導体不足で新車生産落ち込み中古車が37.3%上昇
〇米政府がインフレ進行に対して後手に回っている印象もあって市場はドル安反応に
〇115.00以下での推移中は一段安警戒、114.36割れからは113円台後半を試す可能性も
〇115.00超えから続伸なら115.25から115.50手前への上昇を想定

【概況】

ドル円は1月12日夜の米消費者物価上昇率発表をきっかけに急落、10日深夜安値115.03円を割り込んで一段安に入り13日未明には114.36円まで安値を切り下げた。
1月4日夜高値で116.34円を付けて5年ぶりの116円台到達となったが、その後は上昇一巡感から上値が重くなり、1月6日早朝の米FOMC議事録公開と7日夜の米12月失業率改善発表にかけてはドル高圧力もかかったもののドル円は戻り高値切り下がり基調にとどまり、10日に115.50円割れから一段安、11日夜へいったん戻したものの12日深夜にさらに一段安となり、1月4日夜高値からの下げ幅は2円近くとなった。

【米CPI上昇率は39年ぶり高水準】

1月12日夜に米労働省が発表した12月の消費者物価指数上昇率は全体の前年同月比が7.0%となり市場予想と一致したが11月の6.8%から伸びが加速して1982年6月以来39年半ぶりの高水準に達した。食品とエネルギーを除いたコア指数の前年同月比は5.5%となり11月の4.9%から伸びが加速、市場予想の5.4%を上回って1991年2月以来凡そ30年ぶりの高水準となった。

パンデミック初期の混乱から景気回復が進んだことでの需給ギャップがコロナ渦でのサプライチェーン停滞の影響や雇用回復による賃金上昇、数次の波を繰り返す感染拡大状況の中での物資不足感からインフレが進行している状況にあり、オミクロン株による新たな感染急増によっても景気回復ペースの鈍化への懸念があるものの物資と人出不足によるインフレ高進、特にエネルギー価格高騰が収まらない印象を深めている。12月消費者物価においてエネルギー価格は前年比29.3%上昇、半導体不足等で新車生産が落ち込んでいることで中古車が37.3%上昇と目立っている。
米連銀は早ければ3月のFOMCで利上げに踏み切る可能性があるが、インフレ進行に対して後手に回っている印象も踏まえて市場はドル安反応を見せている。

【米長期債利回り高止まり、NYダウは小幅続伸、ドル安感強まる】

1月12日の米10年債利回りは前日比変わらずの1.74%で終了。米消費者物価の発表があったが予想の範囲として1月10日に付けた1.80%からの低下傾向が続いて1.71%まで低下したが、その後は持ち直した。2年債利回りは前日比0.03%上昇の0.92%で高止まりしている。
NYダウは前日比38.30ドル高と11日の183.15ドルから続伸、ナスダック総合指数も34.94ポイント高と上昇して10日から3連騰している。米連銀の引き締め姿勢を意識してNYダウは1月5日から10日まで4日間の続落だったが下げ一服で持ち直している。米連銀の引き締め姿勢については市場も織り込んできた印象で新たなサプライズにより一段と引き締め度合いが強まったり感染拡大の影響で経済指標が悪化してくるような状況にならなければインフレを伴った景気回復は継続との株式市場における楽観的な中長期観が維持されやすいのだろうと思われる。

米長期債利回りの上昇基調は継続しているものの、欧州、英、豪などの主要国の長期債利回りも上昇しているため米長期債利回り上昇=ドル全面高とはならず、逆に米連銀のインフレ対策が後手に回っているとの印象、インフレ進行によるドル価値の低下感も踏まえて為替市場はドル安反応に傾斜している。
1月12日にはユーロドルが1.145ドルまで上昇したが、昨年の1月6日と5月25日の両高値をダブル天井として下落基調が続き、11月以降は1.130ドルを挟んでのボックス型持ち合いの様相で推移していたが、この持ち合いから上抜けてきた。ユーロドルと逆相関となるドル指数も11月以降の高値圏持ち合いから転落している。ドル円が115円割れから急落したこともドル全面安の様相を意識したものであり、昨年末から年明けまで続いてきたドル高基調に変化がみられる印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月4日夜高値を起点とした下落基調が続いてきたが、1月10日深夜に115.03円を付けたところから11日夜に115.67円までいったん戻したために11日午前時点では10日深夜安値で目先のボトムを付けて戻しているところとした。また高値形成期は11日夜から13日の日中にかけての間と想定されるので既に11日夜高値でサイクルトップを付けてしまった可能性があるとして底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
1月12日夜に10日深夜安値を割り込んで一段安したため、現状は11日深夜高値を直近のサイクルトップとして底割れから弱気サイクル入りしたところと思われる。ボトム形成期は13日夜から17日深夜にかけての間と想定されるので、115円台回復からさらに続伸するような反騰に入れないうちは安値試しを続けやすいとみる。

60分足の一目均衡表では1月12日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも大きく下方に乖離している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、先行スパンからの転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は1月12日夜からの急落で20ポイントまで低下してからやや戻しているが50ポイント以下での推移中はさらに一段安余地ありとみる。相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反発注意とし、50ポイント超えからは60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、114.36円を下値支持線、115.00を上値抵抗線とする。
(2)115.00円以下での推移中は一段安警戒とし、114.36円割れからは113円台後半(114.00円から113.50円)を試す可能性があるとみる。113.85円以下は反発注意とみるが115.00円以下での推移なら14日も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)114.85円から115.00円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみるが、115.00円超えから続伸に入る場合は115.25円から115.50円手前への上昇を想定する。また115.00円以上を維持しての推移なら14日は高値試しへ向かいやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

1/13(木)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 0.8%、予想 0.4%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数 前年同月比 (11月 9.6%、予想 9.8%)
22:30 (米) 12月 生産者物価コア指数 前月比 (11月 0.7%、予想 0.5%)
22:30 (米) 12月 生産者物価コア指数 前年同月比 (11月 7.7%、予想 8.0%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.7万件、予想 20.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 175.4万人、予想 173.3万人)
24:00 (米) 上院銀行委員会、ブレイナード理事の米連銀副議長指名承認公聴会
26:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
27:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
27:00 (米) 財務省30年債入札

1/14(金)
未 定 (中) 12月 貿易収支・米ドル建て (11月 717.2億ドル、予想 730.0億ドル)
未 定 (中) 12月 貿易収支・人民元建て (11月 4606.8億元、予想 4537.0億元)
08:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、、タウンホール会議主催
08:50 (日) 12月 国内企業物価指数 前月比 (11月 0.6%、予想 0.3%)
08:50 (日) 12月 国内企業物価指数 前年同月比 (11月 9.0%、予想 8.8%)
16:00 (英) 11月 月次GDP 前月比 (10月 0.1%、予想 0.4%)
16:00 (英) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.6%、予想 0.2%)
16:00 (英) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 1.4%、予想 0.8%)
16:00 (英) 11月 貿易収支・物品 (10月 -139.34億ポンド、予想 -142.54億ポンド)
16:00 (英) 11月 貿易収支・全体 (10月 -20.27億ポンド、予想 -24.00億ポンド)

19:00 (欧) 11月 貿易収支・季調済 (10月 24億ユーロ、予想 15億ユーロ)
19:00 (欧) 11月 貿易収支・季調前 (10月 36億ユーロ)
22:30 (米) 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.3%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 輸入物価指数 前月比 (11月 0.7%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 輸出物価指数 前月比 (11月 1.0%、予想 0.3%)
23:15 (米) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 0.5%、予想 0.2%)
23:15 (米) 12月 設備稼働率 (11月 76.8%、予想 77.0%)
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (12月 70.6、予想 70.0)
24:00 (米) 11月 企業在庫 前月比 (10月 1.2%、予想 1.2%)
25:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演

注:ポイント要約は編集部

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