トルコリラ円見通し 乱高下一服で8円台での揉み合い続くが上値重い(22/1/6)

トルコリラ円の1月5日は8.71円から8.35円の取引レンジ、6日早朝の終値は8.46円で前日終値の8.61円からは0.15円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 乱高下一服で8円台での揉み合い続くが上値重い(22/1/6)

乱高下一服で8円台での揉み合い続くが上値重い

〇トルコリラ円、3日安値後は新たな安値更新を回避し3日の高安レンジ内に収まっての推移
〇戻り高値は切り下がり、上値が重く8円台を維持しきれるかどうかの攻防続く
〇対ドルも戻り高値切り下がり基調、3日のレンジ超えリラ安進行なら下げ足速まる可能性も
〇5日トルコ財務相のインフレ対策「独自の道を歩んでいく」発言に市場はリラ売りで反応
〇8.50以下での推移中は下向きとし、8.30割れからは8.00前後への下落を想定
〇8.70超えから続伸に入る場合は8.90前後への上昇とその後の反落を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月5日は8.71円から8.35円の取引レンジ、6日早朝の終値は8.46円で前日終値の8.61円からは0.15円の円高リラ安となった。
高インフレ下での連続利下げ強行により12月20日に6.17円まで史上最安値を更新したものの、12月20日夜にエルドアン大統領がリラ預金の為替差損を補填するとしたことでリラ買い戻しが殺到して12月23日高値11.14円まで急反騰した。しかしその戻りも一巡となり1月3日には安値で8.13円まで失速して12月20日からの反騰幅の半値以上を解消した。
1月3日安値の後は新たな安値更新を回避し、1月4日と5日はともに1月3日の高安レンジ内に収まっての推移だが、戻り高値は3日の9.00円から4日の8.87円、5日の8.71円へと切り下がっており、安値も4日の8.42円から5日の8.35円へと切り下がっているため、上値が重く8円台を維持しきれるかどうかの攻防が続いている。

【対ドルでは13リラを挟んだ揉み合い】

ドル/トルコリラの1月5日は13.68リラから13.02リラの取引レンジ、6日早朝の終値は13.64リラで前日終値の13.33リラからは0.31リラのドル高リラ安となった。
利下げ強行による暴落で12月20日に18.36リラまで史上最安値を更新し、リラ預金の為替差損補填政策発表からのリラの買い戻し殺到で12月23日高値10.05リラまで急反騰したが、先行き不安は変わらないとして戻りも一巡となり、1月3日には13.91リラまで下落した。
1月4日と5日は1月3日の高安範囲にとどまってリラの反落も一服しているものの、1月3日から5日にかけては戻り高値が切り下がり基調にあり、1月3日のレンジを超えてリラ安が進行し始めると下げ足が速まる可能性もあると思われる。

1月6日早朝には米FOMC議事録公開があったが、3月会合でのテーパリング終了と同時に利下げを開始し、さらに米連銀の資産圧縮も早期に開始すべきとの意見がみられたことで金融引き締め姿勢が一段と強まった印象を与え、史上最高値で年を明けていたNYダウが一時500ドルを超える下落となるなど、金融市場全般も過剰な楽観的な心理にブレーキがかかったようだが、主要中銀が引き締めへ動くとトルコ中銀の緩和姿勢が一層目立つことにもなる。

【トルコ財務相の「独自の道」発言で売られる】

1月5日にトルコのネバティ財務相はインフレ対策について「正統派の政策を無視して独自の道を歩んでいく」と述べた。財務相のいう正統派の政策とはインフレ進行下での金融引き締め政策を示すものと思われるが、財務相はエルドアン大統領と同じくそうした正統派の政策は異端でイスラム教に反すると主張しているようだ。インフレ対策としては財政規律で妥協せずに調和のとれた金融・財政政策を実施するとし、製造業・輸出企業を支援する新たな対策を導入するとも述べた。
この発言が伝わると市場はリラ売りで反応した。利下げによる景気刺激と預金の為替差損損失補填でのリラ防衛という市場の通説からすれば異説の政策継続姿勢は先行きのリラ防衛力が破綻した際のリラ安不安を助長すると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日へ続落したところから9.00円まで戻したために1月4日午前時点では1月3日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、高値形成期を1月4日から6日夕にかけての間として戻りは短命の可能性があるとし、8.50円割れを弱気転換注意とした。
1月3日夜高値からのジリ安が続いて8.50円を割り込んできているため、1月3日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6日午後から10日午後にかけての間への下落を想定する。強気転換には3日夜高値を上抜く必要があると思われる。

60分足の一目均衡表では1月3日夜高値からの下落が続いて遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところから反騰入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は1月6日早朝に30ポイントを割り込んでからやや戻している。50ポイント以下での推移中はさらに安値試しを続けやすいとみて強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.00円を下値支持線、8.70円を上値抵抗線とする。
(2)8.50円以下での推移中は下向きとし、8.30円割れからは8.00円前後への下落を想定する。8.00円以下は反騰注意とするが8.30円以下での推移が続くなら7日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.70円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.70円超えから続伸に入る場合は8.90円前後への上昇とその後の反落を想定する。

【当面の主な予定】

1月06日
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) 12/31時点 (12/24時点 725.6億ドル)
1月10日
 16:00 11月 失業率 (10月 11.2%)
 19:00 12月 自動車生産 前年比 (11月 -19.7%)
1月11日
 16:00 11月 経常収支 (10月 31.56億ドル)
1月13日
 16:00 11月 鉱工業生産 前年比 (10月 8.5%)
 16:00 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.9%)
 16:00 11月 小売売上高 前年比 (10月 16.2%)
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) 1/7時点 

注:ポイント要約は編集部

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