ドル円見通し 株高でリスクオン優勢、11月30日以降の高値更新(21/12/23)

ドル円は12月22日深夜高値で114.36円を付けて12月16日早朝のFOMC直後に付けた高値114.26円を上抜いた。

ドル円見通し 株高でリスクオン優勢、11月30日以降の高値更新(21/12/23)

株高でリスクオン優勢、11月30日以降の高値更新

〇ドル円、22日深夜高値114.36をつけ12/16FOMC直後の高値114.26を上抜く
〇コロナ感染関連情報は強弱入り混じるも楽観優勢、ユーロやポンド、豪ドル等買われる
〇NYダウは前日比261.19ドル高、ナスダック総合指数も180.80ポイント高で共に連騰
〇22日発表の米7-9月期実質GDP確定値は上方修正され5期連続プラス、市場反応は限定的
〇113.90割れからは113.75前後への下落を想定、113.75以下は反騰注意圏
〇22日深夜高値114.36超えからは114.50、次いで114.75前後試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は12月22日深夜高値で114.36円を付けて12月16日早朝のFOMC直後に付けた高値114.26円を上抜いた。11月30日深夜安値112.52円以降の高値更新であり、11月30日深夜と12月4日早朝の両安値をダブル底とした上昇基調を維持している。
12月22日はNYダウが前日から連騰、感染拡大報道と治療薬承認報道等で感染関連情報は強弱入り混じりだが景気後退を招くことはないだろうとの楽観優勢となり、為替市場もユーロやポンド、豪ドル等が買われたためにドル円も深夜にかけてはクロス円全般の上昇に押し上げられてこの間の高値更新へと進んだが、深夜以降はドル安感が一段と強まったことでドル円も失速、23日早朝には114.05円まで下げて114円台を維持できるかどうかを試している。

【NYダウ連騰、米長期債利回りは連騰一服で低下】

12月22日のNYダウは前日比261.19ドル高と上昇、21日の560.54ドル高からの連騰となった。12月16日から20日までは感染関連報道での悲観が先行して千ドルを超える下落となったが、20日安値から持ち直して連騰入りしており株式市場としては再び楽観優勢の動きとなっている。ナスダック総合指数も21日の360.15ポイント高から22日は180.80ポイント高と連騰した。
株高債券安なら米長期債利回りが上昇してもよいところだったが、前日までの連騰一服感と感染拡大問題に対する債券へのリスクヘッジ買いもあり米長期債利回りは概ね低下した。10年債利回りは前日比0.02%低下の1.45%。30年債利回りも0.02%低下の1.85%、2年債利回りは変わらずで0.67%だった。

【感染拡大への懸念と楽観、米経済指標は概ね良好】

米食品医薬品局(FDA)は12月22日にファイザー社の新型コロナの経口治療薬「パクスロビド」に緊急使用許可を出した。モデルナ社ワクチンのブースター接種による有効性や治療薬への期待がある一方でオミクロン株の感染は世界100か国を超える規模で拡散している。英国では1日の新規感染者が10万人を超えて規制強化の動きも出ているが米国でも新規感染者数が20万人を超えている。

12月22日に米商務省が発表した7-9月期の実質GDP確定値は年率換算で前期比2.3%増となり市場予想の2.1%を上回り改定値2.1%増から上方修正されて5期連続でのプラスが確定した。7-9月期個人消費は2.0%増で改定値の1.7%増から上方修正、設備投資も改定値の1.5%増から1.7%増へ上方修正された。発表後の市場反応は限定的でリスク選好感を優先したドル安の流れが継続した。4-6月期の6.7%増からは伸びが大幅に鈍化しているため上方修正としての市場反応も鈍かった印象だ。
米コンファレンス・ボードによる12月の消費者景気信頼感指数は115.8で11月の111.9から上昇、市場予想の110.8を上回った。同現況指数は11月の144.4から144.1へ悪化、期待指数は11月の90.2から96.9へ改善した。
米不動産業者協会(NAR)による11月の中古住宅販売件数は年換算で前月比1.9%増の646万戸となり市場予想の652万戸を下回ったものの10月の634万戸を上回って3か月連続の増加となった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、12月16日早朝高値をサイクルトップとして下落したが、12月11日未明安値から5日目となる17日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクルに入ったとして高値形成期を12月21日早朝から23日早朝にかけての間と想定した。
12月22日深夜へ高値を切り上げてから反落して16日早朝高値から5日を経過したので、22日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は22日夜から24日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるため、高値更新へ進めないうちは一段安余地ありとするが、22日深夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとして27日夜から29日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では21日夜の一段高で先行スパンを突破、遅行スパンの好転も続いているが、22日深夜高値からの反落で遅行スパンは悪化しやすい位置に来ている。このため遅行スパン悪化からは安値試し優先とするが、悪化した後に再び好転するところからは上昇再開とみる。先行スパンに潜り込む場合はその下限試しとするが、いったん潜り込んだ後に上抜き返すところからは上昇再開感が強まるとみる。

60分足の相対力指数は22日未明から22日深夜にかけての高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生して50ポイント割れへ低下している。このため30ポイント前後への低下を想定するが、60ポイント超えからは上昇再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.90円を下値支持線、12月22日深夜高値114.36円を上値抵抗線とする。
(2)113.90円割れからは113円.75円前後への下落を想定する。113.75円以下は反騰注意圏とするが、下げ足が速まる場合は113.50円前後へ下値目途を引き下げる。また114円以下での推移なら24日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)114円以上での推移中は上昇再開余地ありとし、114.36円超えからは114.50円、次いで114.75円前後試しへ向かうとみる。114.75円以上は反落注意とするが、114.20円以上での推移なら24日も高値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/23(木)
米国、債券市場は短縮取引
13:10 (日) 黒田日銀総裁、経団連審議員会で講演
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI改定値 (速報 102.1)
14:00 (日) 10月 景気一致指数CI改定値 (速報 89.9)
16:00 (独) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 3.8%、予想 1.1%)
16:00 (独) 11月 輸入物価指数 前年同月比 (10月 21.7%、予想 22.3%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.6万件、予想 20.5万人)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 184.5万人、予想 182.0万人)
22:30 (米) 11月 個人所得 前月比 (10月 0.5%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 個人消費支出(PCE) 前月比 (10月 1.3%、予想 0.6%)

22:30 (米) 11月 PCEデフレーター 前年同月比 (10月 5.0%、予想 5.7%)
22:30 (米) 11月 PCEコアデフレーター 前月比 (10月 0.4%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (10月 4.1%、予想 4.5%)
22:30 (米) 11月 耐久財受注 前月比 (10月 -0.5%、予想 1.6%)
22:30 (米) 11月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (10月 0.5%、予想 0.6%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 70.4、予想 70.4)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (10月 74.5万件、予想 77.0万件)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売件数 前月比 (10月 0.4%、予想 3.4%)

12/24(金)
休場、独、スイス、英仏は短縮取引、米国の株式・債券市場は休場
08:30 (日) 11月 全国消費者物価指数 前年同月比 (10月 0.1%、予想 0.5%)
08:30 (日) 11月 全国消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (10月 0.1%、予想 0.4%)
08:30 (日) 11月 全国消費者物価指数・生鮮食品・エネルギー除く 前年同月比 (10月 -0.7%、予想 -0.7%)
08:50 (日) 11月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (10月 1.0%、予想 1.0%)
14:00 (日) 11月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (10月 10.4%、予想 7.5%)

注:ポイント要約は編集部

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