『続落リスクに要警戒。オミクロン株の感染拡大が南アランドの重石』
〇今週の南ア円、週間安値となる6.94で寄り付いた後、週央にかけて7.20まで上昇
〇オミクロン株の過度の悲観の後退、南アPMIの好調が背景
〇その後オミクロン株の感染急拡大懸念と南ア経済先行き懸念で6.98まで反落
〇南ア円テクニカルには主要チャートポイントを軒並み下抜け地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南ア円のダウンサイドリスクを意識させる材料が増えつつある
〇南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):6.80ー7.15
今週のレビュー(11/29−12/3)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週間安値となる6.94円で寄り付いた後、@新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)を巡る過度な悲観論の後退や、A短期筋のショートカバー(短期間で売り込まれた相場の反動)、B南ア公衆衛生当局者や製薬会社幹部による「ワクチン接種でオミクロン株による重症化を防げる可能性が高い」とのポジティブ発言、C南ア11月製造業PMI(結果57.2、予想53.3)の力強い結果が支援材料となり、週央にかけて、週間高値7.20円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、D新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)の感染急拡大懸念(欧州圏のみらならず、日本や米国でも発見。南アフリカにおける新型コロナウイルス感染者数が4日間でほぼ4倍との一部報道)や、E上記Dを背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/4午前5時00分現在)では6.98円前後まで反落する動きとなっております。
来週の見通し(12/6−12/10)
南アフリカランド円相場は10/20に記録した直近高値7.95円をトップに反落に転じると、先週末金曜日にかけて一時6.93円(2/1以来、約10ヶ月ぶり安値圏)まで急落しました。この間、ローソク足が主要チャートポイント(一目均衡表転換線や基準線、雲上限および雲下限、200日移動平均線や90日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線など)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(今週は短期間で下落した反動で持ち直すも戻りは鈍い。来週は11/26安値6.93円を下抜ける展開に要注意)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカにおける新型コロナウイルス変異株の感染拡大懸念や、A上記@を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感(世界各国はオミクロン株の発生地である南アフリカに対する渡航禁止措置)、B国営電力会社エスコムによる計画停電の長期化リスク、C与党・アフリカ民族会議の求心力低下(今週発表された南ア第3四半期失業率は34.9%と前回の34.4%から一段と悪化。2008年の統計開始以降で最悪の数字→南アフリカにおける暴動など政情不安に繋がる恐れ)、D米当局者による相次ぐタカ派発言(新興国から米国への資本流出懸念)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は12/7に予定されている南ア7ー9月期実質GDPや、12/8の南ア11月SACCI景況感指数、南ア10月小売売上高、12/9の南ア第3四半期経常収支、南ア10月製造業生産高に注目が集まります。市場予想を下回る結果となれば、南ア経済の先行き不透明感を背景に、南アランドに強い下押し圧力が加わるものと推察されます。南アフリカで発生した新型コロナウイルス変異株を巡るヘッドラインや、それに伴う南ア経済への影響を睨みながらも、来週もダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.80ー7.15
南アフリカランド円日足
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