トルコリラ週報:『トルコ中銀は為替介入に踏み切るも効果なし。史上最安値を更新』(12/4朝)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した直近高値13.34円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて史上最安値8.15円まで急落しました

トルコリラ週報:『トルコ中銀は為替介入に踏み切るも効果なし。史上最安値を更新』(12/4朝)

『トルコ中銀は為替介入に踏み切るも効果なし。史上最安値を更新』

〇トルコ円週明け早々9.22まで上昇するも週後半にかけ史上最安値8.15まで急落
〇エルドアン大統領の追加利下げ示唆、エルバン財務相の解任、フィッチのトルコ格下げ等重石
〇中銀のリラ買い介入、カブジェオール総裁のタカ派発言にも戻りは鈍く、8.20近辺で越週
〇トルコ円、わずか3ヵ月で38.9%の暴落、ローソク足が全てのチャートポイントを下方ブレイク
〇三役逆転、弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも、中銀利下げ観測、中銀の独立性への不信感、実質金利低下等売り材料多い
〇トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.50ー9.00

今週のレビュー(11/29−12/3)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初9.12円で寄り付いた後、早々に週間高値9.22円まで上昇しました。しかし、一巡後に伸び悩むと、@新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)に端を発した世界的なリスク回避ムードの再開や、Aエルドアン・トルコ大統領による追加利下げを示唆する発言(利下げが投資・雇用・生産・成長を後押しする)、Bトルコ第3四半期GDP(結果+7.4%、予想+7.5%)の冴えない結果、CパウエルFRB議長によるタカ派的な発言(米テーパリングペース加速の思惑→新興国から米国への資金流出圧力)、Dエルバン・トルコ財務相の解任報道(後任にネバティ副財務相を指名)、E格付け会社フィッチによるトルコの格付け「BB-」見通しの引き下げ(安定的からネガティブへ)などが重石となり、週後半にかけて、史上最安値8.15円まで急落しました。Fトルコ中銀によるリラ買い介入や、Gトルコ中銀カブジェオール総裁によるタカ派的な発言(来年1月以降は積極的な金融緩和を休止する考え)を受けて、一時的に持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/4午前5時00分現在)では8.20円前後で推移しております。

来週の見通し(12/6−12/10)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した直近高値13.34円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて史上最安値8.15円まで急落しました(わずか3ヵ月で38.9%の暴落劇)。ローソク足が全てのチャートポイントを下方ブレイクしている他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て地合いの弱さを決定づけるチャート形状となっております(対円・対ドル共に史上最安値を大幅更新)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による利下げ観測(次回12/16の会合での利下げ観測)や、Aエルドアン大統領による利下げ圧力(中銀の独立性への不信感)、B米当局者によるタカ派的なスタンス(今週は米当局者よりテーパリングペース加速の可能性を滲ませる発言が相次いだ→新興国から米国への資金流出懸念)、Cリラ安防衛手段の不十分さ(今週はトルコ中銀による為替介入が複数回見られたが外貨準備余力の乏しさからインパクトは限定的。IMFもトルコの外貨準備は適正範囲を大幅に下回っていると警鐘を鳴らしている状態)、Dトルコ経済の先行き不透明感、E実質金利のマイナス幅急拡大(トルコ11月消費者物価指数は前年同月比+21.31%と約3年ぶり高水準)など、トルコリラ円相場の更なる下落を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(尚、来週は12/10に予定されているトルコ10月雇用統計以外に目立った経済イベントが予定されていない為、エルドアン大統領の発言や、トルコ中銀による為替介入を巡るヘッドラインを睨みながらの神経質な展開を想定。心理的節目8.00円を割り込めば、更なる急落を招く恐れあり)。


来週の予想レンジ(TRYJPY):7.50ー9.00

『トルコ中銀は為替介入に踏み切るも効果なし。史上最安値を更新』

トルコ円日足

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