トルコリラ円見通し 中銀総裁が来年の利下げ見送りを示唆するも史上最安値更新(21/12/03)

トルコリラ円の12月2日は8.51円から8.13円の取引レンジ、3日早朝の終値は8.22円で前日終値の8.49円からは0.27円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 中銀総裁が来年の利下げ見送りを示唆するも史上最安値更新(21/12/03)

トルコリラ円見通し 中銀総裁が来年の利下げ見送りを示唆するも史上最安値更新

〇トルコリラ円、12/2は8.51から8.13の取引レンジ、3日連続の史上最安値更新
〇中銀総裁、12月追加利下げ後しばらく様子を見るという発言するも、先行き不透明で売り強まる
〇対ドル、12/2は13.82から13.19の取引レンジ、11/30に続き終値ベースでの最安値更新
〇2日の中銀総裁発言では12月追加利下げ濃厚、本日消費者物価指数の結果次第でリラ売り加速も
〇8.50以下での推移中は下向きとし、8.13割れからは8.05、7.90等を順次試す流れとみる
〇8.35から8.50にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.55超えからは反騰入りとみる

【概況】

トルコリラ円の12月2日は8.51円から8.13円の取引レンジ、3日早朝の終値は8.22円で前日終値の8.49円からは0.27円の円高リラ安となった。
11月23日に8.47リラへ史上最安値を更新し、24日夜へいったん戻したところから再び売られて11月30日に8.21円、12月1日に8.15円、2日も8.13円と3日連続の史上最安値更新となった。
トルコ中銀のカブジュオール総裁が12月に追加利下げした後はしばらく様子を見るという旨の発言を行ったとの報道があったことは下支え要因となったもののエルドアン大統領の強硬な利下げ継続姿勢を見る限りは利下げ継続要求も厳しく先行きは不透明として最安値を更新した印象だ。

【対ドルでも最安値を更新】

ドル/トルコリラの12月2日は13.82リラから13.19リラの取引レンジ、3日早朝の終値は13.68リラで前日終値の13.26リラからは0.42リラのドル高リラ安となった。取引時間中の史上最安値を12月1日に13.87リラへ更新したばかりであり、12月1日夕刻にいったん反騰したところから再び売られており、終値ベースでは11月30日終値13.47リラを超えて史上最安値更新となった。
12月1日はトルコ中銀がリラ防衛によるリラ買い介入を実施したと報じられたものの、エルドアン大統領が利下げの正当性を強調、さらにエルバン財務相辞任が報じられたことで乱高下したが、先行き不透明感は拭えずリラ売り継続として最安値更新に至った印象だ。

【トルコの金融政策スタンスの迷走】

トルコ中銀のカブジュオール総裁が12月2日に投資家との電話会議において「12月に追加利下げを実施する余地は限られている。来年1月以降は積極的な金融緩和を休止する」旨の発言をしていたと報道された。
トルコ中銀は12月1日に凡そ10億ドル規模の市場介入を行ったと公式に表明したことでトルコリラは1日夕刻に一時急伸した。しかし、その直後にエルドアン大統領は「新たな政策方針に後戻りはない」「選挙前には金利が大幅に下がり為替レートも大幅に改善されるだろう」と発言している。
12月2日の中銀総裁発言は市場の混乱を少なくしようという目的で12月に小幅な追加利下げをした後はしばらく様子見に入るという姿勢を示して投資家の動揺を抑えようという思惑と思われる。しかし、カブジュオール総裁はアーバル前総裁が突然解任され就任した後に「インフレ率を下回る政策金利にはしない」と繰り返し強調してきたにもかかわらず9月に入ると判断目安とするインフレ指標を消費者物価指数の全体ではなくコア指数とする旨を発言したためにエルドアン大統領に押し切られて利下げ余地が発生したと市場は受け止めてリラ安へと流れが変わった経緯がある。

12月1日にはエルバン財務相が突然辞任しており、エルドアン大統領による強圧的で中銀の中立性を損なう姿勢は継続している。
12月3日夕刻にトルコの11月消費者物価指数の発表がある。12月2日の総裁発言を踏まえれば12月16日のトルコ中銀金融政策決定会合で若干の追加利下げが行われるとすれば、消費者物価上昇率が一段と上ブレする場合にリラ売りが勢い付く可能性もあるところとして注目したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月1日の中銀による市場介入と大統領発言により一時的に急騰してから反落したため、12月2日午前時点では12月1日夕安値を直近のサイクルボトム、1日夜の急騰時高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を12月6日午後から8日夕にかけての間と想定した。
12月2日深夜に安値を更新してからも反騰しきれずにいるので引き続きボトム形成中とみる。強気転換には8.50円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では12月1日夕刻に急伸した後の反落で遅行スパンが悪化、先行スパンからの転落も継続しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜くところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は2日夜に30ポイントを割り込んでからやや戻したものの50ポイントに届かずにいるのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上で推移するような反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.13円を下値支持線、8.50円を上値抵抗線とする。
(2)8.50円以下での推移中は下向きとし、8.13円割れからは8.05円、7.90円等を順次試す流れとみる。8.30円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.35円から8.50円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.55円超えからは反騰入りとみて8.80円前後への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

12月03日
 16:00 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 2.39%、予想 3.0%)
 16:00 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 19.89%、予想 20.70%)
 16:00 11月 消費者物価コア指数 前月比 (10月 1.8%)
 16:00 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 16.8%)
 16:00 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 5.24%)
 16:00 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 46.31%)
12月09日
 20;00 週次 外貨準備高(グロス) 12/3時点 (11/26時点 870.2億ドル)
12月10日
 16:00 10月 失業率 (9月 11.5%)

12月12日
 16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 8.9%)
 16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.5%)
 16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 15.9%)
 16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.2%)
 16:00 10月 経常収支 (9月 16.52億ドル
12月15日
 17:00 11月 財政収支 (10月 -174.1億リラ)
12月16日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.00%)


注:ポイント要約は編集部

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