トルコリラ円レポート月曜版
〇先週のトルコリラ円、安値8.44レベル高値10.37レベル、トルコリラ安の流れ続く
〇ドル買い圧力でトルコリラ売り強まり、史上最安値8.44レベル更新
〇中銀大幅利下げがトルコリラ安最大要因、次回12/6会合で更なる利下げリスクも
〇今週12/3発表予定コアCPIは17.5%予想、政策金利との乖離拡大で最安値更新の可能性
〇新型コロナ変異株、CPI発表に向けた仕掛け的リラ売りなど、下げ要因に警戒
〇今週は8.50レベルをサポートに9.90レベルをレジスタンスとする流れとみる
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、「下降トレンドを継続しやすいと考え、(執筆時点から)50銭ほど下の9.60レベルをサポートに、中銀会合後に売りが出てきた10.60レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が8.44レベル、高値が10.37レベルとなり、予想レンジよりも更にトルコリラ安の流れが続きました。
先週のトルコリラは、週明けから前週に実施されたトルコ中銀による利下げが消化不良だったと見えトルコリラ売りが先行してのスタートとなりましたが、米金利が上昇し主要通貨においてもドル買い圧力が強まる中でトルコリラ売りも強まり、火曜には史上最安値を8.44レベルへと更新する動きとなりました。その後はドル円の動き同様にドル買いの動きに対する調整も入り、週後半は月曜高値と火曜安値の半値を中心としたもみあいが続きました。
また金曜にドル円で急速に円高が進行した際には他のクロス円同様にトルコリラ円でも売りが見られ、トルコリラ円は下げる流れとなったものの、安値更新には至らず9円台は維持しての週末クローズとなりました。
トルコリラは2週間前のトルコ中銀利下げによって政策金利が15.0%へと下げられ、中銀が指標とするコアインフレ率を2%程度下回る状況となり、このことがトルコリラ安の最大の要因となっているのですが、トルコ中銀はトルコリラの急落を受け木曜に銀行関係者との会合を持ちました。しかし、利下げをやめるといった話ではなく、理解を求めたようなニュアンスで報道されていますし、金曜にはエルドアン大統領は今後も金利は下がると暗に利下げ圧力を継続する発言を行っています。
こうした動きを考えると、次回12月16日のトルコ中銀会合では更なる利下げが行われるリスクがあると同時に、利上げを行うことはないでしょうから現状維持であってもインフレ率を考えると中長期的なトルコリラ安は続くと考えざるを得ません。今週3日にはトルコのCPIが発表されますが、コアCPIは前回から上昇し17.5%という予想になっています。15%の政策金利との乖離が一段と広がるようであれば、トルコリラは対ドル、対円で史上最安値を更新する可能性が高まります。
テクニカルには、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)を見ていただくのですが、今週は異なるチャートツールを使わせていただきます。
※到達確率チャートをご覧の方はご存じだと思いますが、ドルトルコリラのフィードが先週止まり、対ドルレートが修正されるまで使えないため。
トルコリラ円もドルトルコリラも先週のトルコリラ史上最安値に向かっている緩やかなトルコリラ安相場となっています。今週もトルコのCPIは金曜ですが、新型コロナのオミクロン変異株で悪いニュースが出てくることがあれば、クロス円での円高要因となりますし、CPI発表に向けて仕掛け的なトルコリラ売りが出て来ないとも限りません。引き続き下げに警戒せざるを得ないというところでしょう。
水準的には上値は先週後半の戻り高値がレジスタンスとなりますが、下値は既に先週示したテクニカルなターゲット9.05を割り込んだことから、次のテクニカルなターゲット7.37という水準はさすがに遠いため、50銭刻み程度で8円の大台といった節目のレートを考えることとなりそうです。
ただ、今週のところはそこまでの動きは考えず、先週安値に近い8.50レベルをサポートに先週後半の戻り高値に近い9.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
注:ポイント要約は編集部
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