先週のレンジ内でのもみあい継続(週報11月第4週)

先週のドル円は、週初は米金利上昇やFRB関係者のタカ派発言も重なってドル買いが先行し、水曜東京早朝には2017年3月以来の高値となる114.97レベルの高値をつけました。

先週のレンジ内でのもみあい継続(週報11月第4週)

先週のレンジ内でのもみあい継続

〇先週のドル円、週初ドル買い先行し水曜早朝に2017年3月以来の高値114.97つける
〇金曜にユーロ円での売りがストップ巻き込み週間安値113.59レベルへ、114円台に戻し週末クローズ
〇欧州のコロナ感染者急増がユーロ売りドル買いとなりやすく引き続き下がれば買いが出てくる流れ
〇今週は火曜が東京市場、木曜がNY市場休場で参加者が減少する中でポジション調整が影響出やすい
〇今週は113.60レベルをサポートに114.70レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は、週初は米金利上昇やFRB関係者のタカ派発言も重なってドル買いが先行し、水曜東京早朝には2017年3月以来の高値となる114.97レベルの高値をつけました。しかし、115円台では実需を中心としたドル売りオーダーが並んでいたところに、ドル高を見込んだにわかロング勢の投げが出て1円以上もの調整が入りました。しかし113円台では押し目買いを狙う向きも多くすぐに反発、金曜には114円台半ばまで値を回復していたところにユーロ円での売りが再びストップを巻き込んで週間安値となる113.59レベルをつけ、114円台に戻しての週末クローズとなりました。

こうした動きを見ているとファンダメンタル的には米金利上昇思惑、テクニカルにも2017年11月高値を上抜けたことなどドルを買いやすい流れとなっていたのですが、実需の売りが見えたことをきっかけに短期筋は上がったところはすかさず売ってくるという流れです。以前も見たような値動きが水準を1円上げて繰り返されているという印象の一週間でした。

今週は火曜が東京市場休場、木曜がNY市場休場となり、参加者が全体として少なくなってきますので、動きが鈍くなるか、あるいは薄い中で大きく動くかの両極端な動きになりがちです。材料としては依然として米国利上げの前倒し思惑があり、先週もFRB関係者からテーパリング加速の発言が続きました。現在の月間150億ドルずつ減少させる計画だと8か月で1200億ドルと来年6月で終了することとなります。これを仮にどこかの段階で300億ドルとすれば、1か月前倒しとなり、おそらくは12月15日のFOMCで何らかの議論が行われることとなるでしょう。

それまでは常に利上げ前倒し思惑がドル高材料とされますが、高値圏で推移している米国株に調整が入らないのか、原油の国家備蓄放出議論が進み思いのほかエネルギー価格が下がった場合にどうなるのか、などドル安材料となりうる材料も無いわけではありません。ただ、ここに来て欧州の新型コロナ感染者急増がユーロ売り・ドル買いとなりやすくもなってきているため、引き続き下がったところでは買いが出てくるといった流れにはなるでしょう。

今週は経済指標では11月製造業・サービス業PMI速報値、FOMC議事録といったあたりが重要度の高いものとなりますが、一気に方向感が変わるようなものではありませんので、先週同様にポジション調整が参加者が減少する中で影響が出やすいと言えるでしょう。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先週は115円の大台トライに失敗したことで、短期的には高値を見た格好となり、その後の安値は11月安値と高値の61.8%押しとなる113.57(青のターゲット)と一致します。この安値も目先の安値を見た感じですので、今週は先週のレンジの中で押し目買いと戻り売りを繰り返す展開が濃厚だと考えています。

今週は113.60レベルをサポートに114.70レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月22日(月)
23:00 オーストリア中銀総裁講演
24:00 米国10月中古住宅販売
24:00 ユーロ圏11月消費者信頼感速報値 ☆
26:00 スペイン中銀総裁講演
26:30 デギンドスECB副総裁講演 ☆
30:45 NZ7〜9月期小売売上高

11月23日(火)
**:** 東京市場休場 ☆
17:15 フランス11月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:45 米国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
24:00 米国11月リッチモンド連銀総裁講演

11月24日(水)
10:00 NZ中銀政策金利発表 ☆
15:45 フランス11月企業景況感
18:00 ドイツ11月ifo企業景況感
19:00 南ア10〜12月期企業信頼感
22:30 米国7〜9月期GDP改定値 ☆
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国10月卸売在庫
22:30 米国10月耐久財受注

24:00 米国11月ミシガン大消費者信頼感
24:00 米国10月個人所得・消費支出 ☆
24:00 米国10月新築住宅販売
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC議事要旨公表 ☆
30:45 NZ10月貿易収支

11月25日(木)
**:** NY市場休場 ☆
16:00 ドイツ7〜9月期GDP改定値 ☆
16:00 ドイツ12月GFK消費者信頼感
17:00 フランス中銀総裁講演
18:30 南ア10月PPI
22:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
26:00 英中銀総裁講演 ☆

11月26日(金)
08:30 本邦11月東京区部CPI ☆
09:30 豪州10月小売売上高
16:00 ドイツ10月輸入物価
16:45 フランス11月消費者信頼感
**:** 米国取引所短縮取引 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月15日(月)
ドル円はNY市場前場まで狭いレンジの中でのもみあいを続けていました。しかし、米金利上昇の動きがユーロドルを中心としたドル買いの動きとなり、ドル円も引けにかけて114.22レベルまで買われ若干押して引けました。

11月16日(火)
ドル円はNY市場が始まるまではドルが底堅い動きではあったものの動意薄の展開が続きました。NY市場に入り発表された小売売上高をはじめ経済指標が強かったこと、また地区連銀総裁のタカ派発言(テーパリング増額、来年2回利上げ)も手伝って、ドル円は114.85レベルと2017年11月高値を上抜け、同年3月以来の高値をつけました。

11月17日(水)
ドル円は前日NY市場の流れを受け東京早朝に114.97レベルの高値をつけましたが、115.00も含め115円超えでは実需の売りや利食い売りが並んでいたこともあって抜けきれず、NY市場までは上値の重たい展開が続きました。NY市場では米金利低下によりドルがじり安になると、無理して買い上げていた向きの投げも加わり、ストップがストップを呼ぶ展開に。NY後場には113.94レベルと高値から1円以上も下げた後に若干戻しての引けとなりました。

11月18日(木)
ドル円は前日の大きな下げに対して調整の1日となりました。上下しながらもじり高となり、NY昼前には114.49レベルまで買われた後にやや押しての引けとなりました。

11月19日(金)
ドル円は欧州市場に入るまでは若干底堅い程度で目立った動きは見られませんでした。欧州市場序盤にユーロドルに売りが入りドル円もドル買いで反応し114.49レベルの高値をつけましたが、ユーロ円での売りも強まったことでドル円も下げに転じ、米金利低下も重なってNY市場朝方には113.88レベルの安値をつけました。引けにかけては緩やかに買い戻しが広がり114円台前半での引けとなりました。

ディスクレーマー

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