ドル円 米FOMCこなすも方向性定まらず、今週も変わらずか(週報11月第2週)

先週のドル/円相場はドルが小安い。一時114.44円まで上昇し、年初来高値114.69円に迫るも超えられず。週末に掛けてはむしろドル売りに押されている。

ドル円 米FOMCこなすも方向性定まらず、今週も変わらずか(週報11月第2週)

米FOMCこなすも方向性定まらず、今週も変わらずか

〇先週のドル円、一時114.44まで上昇するも週末にかけドル売りに押され113.40前後で越週
〇3日のFOMCでは現行金利据え置きとテーパリング月内開始決定を発表
〇10月米雇用統計が予想上回る好数字、一時FRB利上げ時期前倒し期待高まるも続かず
〇ここ2週間ほどのドル円は113円前半、113.20-40あたりがかなり強いサポートに
〇上値も重く114.30-45では上げ渋りの様相、上抜ければ年初来高値114.69目指す
〇今週のドル/円予想レンジは、112.60-114.90

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小安い。一時114.44円まで上昇し、年初来高値114.69円に迫るも超えられず。週末に掛けてはむしろドル売りに押されている。

前週末は、G20サミットが開催され「法人税の最低税率を15%とする新たな国際課税ルール」が承認されている。また。それとは別に日本の衆院選が実施され、与党自民党は単独過半数となる261議席を獲得したことが明らかとなった。
そうした状況下、ドル/円は114.10円レベルで寄り付いたのち、週間高値の114.44円を示現。レンジ上放れへの期待も高まったが、結局超えられなかった。その後は、米FOMCなどの材料をにらみ、上下に振れる荒っぽい動きながら、大局的にはレンジ内。114円を中心とした往来相場をたどるなか、週末に掛けてはややドル売りが優勢となっている。週末NYは113.40円前後で取引を終え越週に。
なお、それとは別に先週のハイライトは英ポンド。対円では週間を通し3円を超える下落をたどっていた。一部で利上げ観測も取り沙汰されていた英中銀金融政策委員会で金利の据え置きが決定されたことなどが嫌気されていたという。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナの感染拡大」と「米金融政策」について。
前者は、新型コロナ感染が再拡大し医療体制が逼迫するなか、オランダが抑制策の再導入を正式決定。また、先月末から首都モスクワがロックダウン入りしているロシアは「コロナ死者が過去最悪更新」し、各地でさらなる追加措置導入の検討と報じられたほか、ドイツ衛生当局も「一日の新規コロナ感染者、昨年春の流行拡大以降最多を更新」と発表するなど、依然として欧州情勢は予断を許さない。また別途、世界経済フォーラムは中国の天津市で開催を予定していたイベントを、「コロナ感染再拡大」を理由に延期すると明らかにしている。

対して後者は、3日のFOMCで、FRBが現行金利の据え置きとともに、「テーパリングを月内に開始することを決定した」と発表。さらにパウエル議長は記者会見で、「22年半ばまでに終わる」と述べてもいた。トータルすれば、ほぼ事前予想通りの内容ながら、利上げに向けていよいよ第一歩を踏み出した感を否めない。また、そののち週末には注目されていた10月の米雇用統計が予想を上回る好数字となり、一時はFRBの利上げ時期の前倒し期待も取り沙汰されていたようだ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、週間を通しなかなか激しい乱高下をたどるも、結局レンジ内。週間を通した値幅もわずか1.1円ほどにとどまっている。米FOMCや同雇用統計などの材料があったにもかかわらず、「大山鳴動して鼠一匹」といった様相だった。ともかく、今週も113-114円台を中心としたレンジ取引が続くか否かにまずは注目。先週安値や113.25円を下回れば、約1ヵ月ぶりの113円割れも否定できないようだ。
一方、先週は米英豪の中銀がそれぞれ金融政策についての発表を実施。米国についてはパウエルFRB議長が早期利上げに慎重なコメントを発したものの、利上げに向けていよいよ第一歩を踏み出したことは間違いなく、いまだデフレ真っただ中にある日本とはあまりに対照的だ。積極的なドル売り・円買いは予想しにくいばかりか、発表される米経済指標や米株などの動き如何では再びドル買いが優勢になりかねないかもしれない。115円に向けたドル高進行にも一応要注意。

テクニカルに見た場合、ここ2週間ほどのドル/円は113円前半、113.20-40円あたりがかなり強いサポートになっている感がある反面、上値も重く114.30-45円では上げ渋りの様相だ。したがって、短期的には113.20-114.50円といったレンジを形成しているわけで、それがいましばらく続く可能性もある。ただ、上抜けた場合には年初来高値の114.69円そして115円を目指す反面、割り込んでくるようだと約1ヵ月ぶりの113円割れも否定できなくなりそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には、「不動産リスク」や「電力不足」問題が引き続き根強くはびこる「中国情勢」や、欧州地域を中心とした感染拡大がいまだ止まらない「新型コロナ問題」、「日米欧英などの金融政策」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、10月の消費者物価指数や11月のミシガン大学消費者信頼感指数といった重要な米経済指標が発表される見込みだ。先週は週末発表された米雇用統計が良好だっただけに、それに続く好指標が発表されるとの期待感も決して小さくはない。逆にいえば、期待感が強いだけに失望を誘うとドルはさらなる深押しも。

そんな今週のドル/円予想レンジは、112.60-114.90円。ドル高・円安については、短期的には強い抵抗となっている感のある114.30-45円の攻防をまず注視。上抜けると114.69円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末安値も近い10月28日安値の113.25円が最初のサポート。下回れば113円割れも否定できず、9月安値109.12円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%押しに当たる112.55円を目指す展開も。

米FOMCこなすも方向性定まらず、今週も変わらずか

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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