トルコリラ円レポート月曜版
〇先週のトルコリラ円、週初レンジ内で揉みあった後13日に一時12.25に急落
〇エルドアン大統領、13日深夜に副総裁2名を含むトルコ中銀の金融政策委員3人を解任
〇これを受け対ドルでは史上最安値更新、週明けも9.2900レベルで続落中
〇対円も安値追いの流れ濃厚、2020年安値12.02レベルが視野に
〇21日トルコ中銀会合コンセンサスは0.5〜1.0%利下げ、トルコリラ急落の可能性も
〇今週は12.00レベルをサポートに12.40レベルをレジスタンスとする週か
まず、先週の振り返りですが、「レンジを拡大しても横方向のもみあいと考え、12.37レベルをサポートに12.70レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が12.25レベル、高値が12.61レベルとなり、予想レンジよりもそれぞれ10銭ほどトルコリラ安の水準での推移となりました。
先週のトルコリラ円は、週初は円独歩安の影響がトルコリラ円でも見られ月曜に週間高値となる12.61レベルをつけましたが、その後は円同様に弱い地合いが続いているトルコリラの動きもあって、13日までは最近のレンジの中でのもみあいとなっていました。そして、13日深夜にエルドアン大統領はトルコ中銀の総裁との会談を受けて、副総裁2名を含む金融政策委員3人を解任しました。
解任された委員は前回会合で利下げに反対したとの見方が広がりましたが、その後15日にカブジュオール総裁は解任された委員が利下げに反対していたことはないと発言した上で、解任は委員自身の選択でもあり、中銀の意向でもあったとしました。こうなると、仮に前回の会合で反対していなかったとしても今週の会合で反対する可能性があったからではないか、今週の利下げは既定路線なのではないかといった思惑が広がっています。
実際に解任のニュースを受けトルコリラは対ドル、対円ともに売られ、その流れが週末まで続きました。ドルトルコリラは週明けもトルコリラ安の流れを続け9.2900レベルまで売られて史上最安値を更新中です。いっぽう対円では解任ニュース直後の12.25レベルをまだ割らずにいますが、ドル円でのポジション調整が入って円高に動いたとしても中銀会合を前にトルコリラ安は変わらなそうですから、対円でも安値追いをする流れが濃厚です。
今週のトルコ中銀会合は21日日本時間20時ですが、前回の会合の前に参照するCPIをコアCPIに変えていますので、それを踏まえる現在のコアCPIが16.98%とあと1%利下げをしても数字的には合うことになります。しかも解任された委員の代わりに任命された新委員のうち2名は金融政策の経験が乏しく利下げを支持する可能性が高いと言われています。
もし現状維持であればトルコリラ買いとなりますが、コンセンサスは0.5〜1.0%の利下げで、おそらくは上記の通りでコアCPIを参考に現在の18%から17%へと1%の利下げが行わると見られ、その場合はトルコリラは一段安となると考えざるを得ません。すでに1%までは想定範囲内ですが、それを上回る利下げの場合には急落もありえます。さすがにコアCPIを下回る政策金利にはしないとは思いますが解任劇の翌週だけに0.5%と刻むような利下げも無いのではないかというのが個人的な見通しです。
テクニカルには対ドルは既にトルコリラの史上最安値更新中ですが、対円では2020年安値12.02レベルが視野に入ってきます。今週利下げをしてもすぐに割り込むとは思いませんが、今後も利下げ思惑が続くということになると、いったん12円の大台を割り込む流れがありそうです。ただ、それでも金利差が大きいことを考えると突っ込んで売りが出た後は買いも出てくるというこれまでのトルコリラ円の動きを繰り返す展開でしょうか。
短期的にはいつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)を見ながら考えましょう。
最近は値幅自体が狭かったため12.02レベルというと遠い気もしますが、先週程度の動きをここから考えると12円の大台をトライしても不思議ではありません。チャート内の平行チャンネルは9月14日高値と10月11日高値を結んだレジスタンスラインと平行に引いたチャンネルですが、動き次第では対円の史上最安値12.02レベル(赤の水平線)と今週交差することとなるでしょう。
21日までは上値が重く利下げが行われればトルコリラ一段安と見て、今週は大台12.00レベルをサポートに12.40レベルをレジスタンスとする週を見ておくこととします。
※ポイント要約は編集部
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