トルコリラ円見通し 持ち合い下放れ、4日連続陰線、対ドルでの史上最安値更新続く(21/10/18)

トルコリラ円の10月15日は12.46円から12.29円の取引レンジ、16日早朝の終値は12.30円で前日終値の12.35円から0.05円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 持ち合い下放れ、4日連続陰線、対ドルでの史上最安値更新続く(21/10/18)

9月27日以降の持ち合い下放れ、4日連続陰線、対ドルでの史上最安値更新続く

〇トルコリラ円、12日から4日連続陰線、週足では前週末終値から0.18円の円高リラ安に
〇ドル/トルコリラは中銀委員3名解任など背景に10/7から10/15まで7日連続の陰線での続落
〇解任騒動により21日の金融政策決定会合で2会合連続での利下げ強行の可能性も
〇ドル円の上昇角度が鈍ればトルコリラ円もドル/トルコリラの最安値更新を追いかける展開に
〇12.40以下での推移中は下向き、12.25割れからは12.20前後試しへ向かうとみる
〇12.45から12.50までのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の10月15日は12.46円から12.29円の取引レンジ、16日早朝の終値は12.30円で前日終値の12.35円から0.05円の円高リラ安となった。
9月27日安値12.42円で6月2日安値12.44円を割り込んでからは12.50円を挟んでの下げ渋り持ち合いが続いていたが、10月13日に9月27日安値を割り込み、14日早朝にはエルドアン大統領によるトルコ中銀委員3名の解任報道から12.30円割れへ続落、15日も12.40円台へいったん戻したものの終盤に失速してわずかに安値を更新した。
日足は10月12日から14日まで3日連続陰線=三羽烏となり、15日は4日連続陰線となったが、上ヒゲの目立つ陰線となった。
週足では前週末終値の12.48円から0.18円の円高リラ安。終値ベースでは昨年11月6日に12.03円で史上最安値を付けた時の12.11円以来の安値水準となった。

【対ドルでは連日の史上最安値更新】

ドル/トルコリラの10月15日は9.27リラから9.15リラの取引レンジ、16日早朝の終値は9.25リラで前日終値の9.17リラから0.08リラのドル高リラ安だった。
9月8日のカブジュオール中銀総裁による「政策金利判断には消費者物価指数の全体ではなくコア指数を採用する」旨の発言から利下げへの懸念が強まってリラ売りが進行、9月16日のエルドアン大統領による利下げ催促発言で続落、9月23日に中銀が利下げを強行したことで6月25日安値を割り込んで史上最安値を更新、9月29日には8.95リラまで史上最安値更新が続いた。
10月7日までは下げ一服で膠着状態だったが、10月8日にエルドアン大統領が中銀の姿勢にいら立っているとの報道から最安値更新を再開、10月14日の中銀委員3名解任で下げ足を速めたが、10月7日から10月15日まで7日連続の陰線での続落となった。

【10月21日に中銀は追加利下げを強行するか】

トルコ中銀の金融政策決定会合は10月21日にある。
前回の9月23日会合では市場予想は政策金利の現状維持だったが予想外に利下げが強行された。直前の中銀総裁発言や大統領発言により利下げされるのではないかとの懸念は高まっていたものの物価高騰が変わらない中で常識的には利下げはあり得ないというのが市場の認識だった。しかし実際には利下げが強行されている。
9月の消費者物価コア指数が17.0%で8月の16.8%から若干上昇したが当時の政策金利19.0%を下回っていたから18.0%へと利下げした。そこに中銀副総裁2名と委員1名の解任騒動が発生したことで、10月21日会合でもコア物価指数上昇率に多少余裕を残すような水準へと2会合連続での利下げが強行される可能性も出てきたのではないかと思われる。
カブジュオール総裁は10月15日に「リラ安は最近のドル高によるものであり一つの要素だけ(利下げ)が原因ではない」とし、「委員の解任をめぐって誤った臆測がなされているが、中銀に問題は起きていない」「(辞任は)友人自身の選択でもあり我々の選択でもある」と述べたが、市場の不信感は強まるばかり。

【40週サイクルの下落期暫く続く】

トルコリラ円は年初からドル円が上昇してきたことによるかさ上げ効果で昨年11月9日の史上最安値更新を回避しているが、既に対ドル、対ユーロでは史上最安値を更新している。ドル円の上昇もまだ継続しやすい状況にはあるが、徐々に上昇角度が鈍ればドル/トルコリラの最安値更新をトルコリラ円も追いかける展開に入るのではないかと懸念される。

トルコリラ円は概ね40週前後の底打ちサイクルで推移しているが、昨年11月6日底から34週目となる6月21日(終値ベースでは2月16日高値以降の最安値)で底を付けていたが、既に底割れに入っているために現状は40週サイクルレベルの下落期と考えられる。6月21日からは17週を経過しているが、まだサイクルの途上であり、多少の中間反発を入れつつも向こう10週、20週というレベルでのリラ安が続く可能性が考えられる。
昨年11月底以降は週足レベルでの三角持ち合いの様相だったところから転落しているが、同様の三角持ち合いからの転落は2020年1月17日からの下落開始時に近い動きであり、あるいは2017年11月安値から若干戻したところから一段安に入り2018年8月暴落へ向かった時にも近い印象がある。当面は史上最安値更新を目指す流れが続きそうだ。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

(1)当面、12.25円を下値支持線、12.50円を上値抵抗線としておく。
(2)12.40円以下での推移中は下向きとし、12.25円割れからは12.20円前後試しへ向かうとみる。下げ足が速まる場合は12.00円試しへ向かうとみる。12円以下は反騰注意とするが、12.40円以下での推移が続くうちは下向きの展開と考える。
(3)12.45円から12.50円までのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月20日
 23:30 9月 中央政府債務 (8月 204.2億リラ)
10月21日
 16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 79.7)
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合、レポレート (現行 18.0%)
     翌日物貸出金利 (現行 19.50%)、 翌日物借入金利 (現行 16.50%)
     後期流動性貸出金利 (現行 22.50%)
 20:30 外貨準備高 グロス 10/15時点 (10/8時点 853.6億ドル)
     外貨準備高 ネット 10/15時点 (10/8時点 296.1億ドル)

10月25日
 16:00 10月 製造業景況感 (9月 113.4)
 16:00 10月 設備稼働率 (9月 78.1)
10月27日
 16:00  9月 貿易収支 (8月 -42.6億ドル)
 16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 102.4)
10月28日
 16:00  9月 観光客数 前年同月比 (8月 119.4%)
 20:30 週次 外貨準備高 10/22時点

※ポイント要約は編集部

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