トルコリラ週報:『約11ヵ月ぶり安値圏へ急落。来週はトルコ中銀会合に注目』(10/16朝)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約11ヵ月ぶり安値となる12.31円まで急落しました。

トルコリラ週報:『約11ヵ月ぶり安値圏へ急落。来週はトルコ中銀会合に注目』(10/16朝)

トルコリラ週報:『約11ヵ月ぶり安値圏へ急落。来週はトルコ中銀会合に注目』

〇今週のトルコ円、週明け早々12.65まで上昇するもトルコ中銀メンバー3名のサプライズ更迭で急落
〇トルコリラ、対ドルでは史上最安値を更新
〇トルコ円、主要チャートポイント下抜け、三役逆転、弱気のパーフェクトオーダー成立、地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ中銀の独立性の疑義から資本流出懸念される
〇トルコ円続落をメインシナリオとして予想
〇10/21の中銀会合で利下げ実施の見方強く、対円史上最安値12.04更新の可能性も
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.15ー12.55

今週のレビュー(10/11−10/15)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.49円で寄り付いた後、@株式市場の持ち直しを背景としたリスク選好ムードの高まり(リスク選好の円売り再開→ドル円上昇→新興国通貨の対円相場連れ高)や、Aトルコ8月経常収支の黒字転換(黒字への転換は2020年10月以来)が支援材料となり、週明け早々に週間高値12.65円まで上昇しました。しかし、21日移動平均線に続伸を阻まれると、Bトルコ中銀カブジュオール総裁による「先月の利下げは想定外ではない」との発言(追加利下げ観測の高まり)や、Cエネルギー価格上昇を背景としたトルコ経済の先行き不透明感、Dエルドアン大統領によるトルコ中銀メンバー3名のサプライズ更迭(Semih Tumen中銀副総裁とUgur Namik Kucuk中銀副総裁、Abdullah Yavas委員を更迭)、E上記Dを背景とした中銀の独立性に対する不信感が重石となり、週後半にかけて、昨年11/9以来、約11ヵ月ぶり安値となる12.31円まで急落しました(対ドルでは史上最安値更新)。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/16午前5時00分現在)では、12.35円前後で推移しております。

来週の見通し(10/18−10/22)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約11ヵ月ぶり安値となる12.31円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線といった主要チャートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て更なる下落を連想させる冴えないチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀は来週10/21の会合で追加利下げに踏み切る可能性大)や、A中銀の独立性に対する不信感(エルドアン大統領がまたしても利下げに反対するトルコ中銀メンバーを解任)、B上記Aを背景とした国内から国外への資本流出圧力、Cトルコ経済の先行き不透明感、D米国や欧州との関係悪化懸念など、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は10/21に予定されているトルコ中銀会合に注目が集まります。市場ではエルドアン大統領の意向に従う形で、トルコ中銀が50ー100bp程度の追加利下げに踏み切るとの見方が根強く、予想通り利下げに踏み切った場合には、失望感からトルコリラに強い下押し圧力が加わるものと推察されます。状況次第では、昨年11/6に記録した安値12.04円を下方ブレイクし、対円での史上最安値更新が実現する可能性もあるため、来週は週を通してダウンサイドリスクに注意を要する神経質な1週間となりそうです。

来週の予想レンジ(TRYJPY):12.15ー12.55

トルコリラ週報:『約11ヵ月ぶり安値圏へ急落。来週はトルコ中銀会合に注目』

トルコ円日足

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