トルコリラ円見通し 副総裁解任報道に急落(21/10/14)

トルコリラ円の10月13日は12.59円から12.42円の取引レンジ、14日早朝の終値は12.44円で前日終値の12.55円から0.11円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 副総裁解任報道に急落(21/10/14)

副総裁解任報道に急落

〇エルドアン大統領が中銀メンバー3名解任と報道、14日朝には12.29まで一段安
〇9/27以降の持ち合いから下放れ、昨年11/6に付けた史上最安値12.03試しへ
〇対ドルでの史上最安値更新続く、解任報道で14日朝に9.18へ一段安
〇副総裁解任で次回中銀金融政策決定会合での追加利下げ強要姿勢が示される
〇12.45以下での推移中は一段安警戒、12.29割れからは12.00前後試しを想定
〇12.45から12.50にかけては戻り売りにつかまりやすくその後12.40割り込めば下げ再開

【概況】

トルコリラ円の10月13日は12.59円から12.42円の取引レンジ、14日早朝の終値は12.44円で前日終値の12.55円から0.11円の円高リラ安となった。9月27日安値で12.423円まで下げた後は下げ渋りに入り12.50円を挟んでの持ち合いが続いていたが、対ドルでの史上最安値更新が続く中で売られ、14日早朝安値で12.420円を付けて9月27日安値をわずかに割り込んだ。
エルドアン大統領が中銀メンバー3名を解任したとの報道から10月14日朝には12.29円まで一段安しており9月27日以降の持ち合いから下放れに入り、昨年11月6日に付けた史上最安値12.03円に迫ってきている。

【対ドルでの史上最安値更新続く】

ドル/トルコリラの10月13日は9.10リラから8.99リラの取引レンジ、14日早朝の終値は9.08リラで前日終値の9.03リラから0.05リラのドル高リラ安となった。
エルドアン大統領がトルコ中銀の副総裁2名と金融政策委員会の委員1名を解任したと報じられたことで14日朝には9.18リラへ一段安となている。

【トルコ中銀のMPCメンバー3名解任】

トルコのエルドアン大統領は10月13日にカブジュオール中銀総裁と会談、その後に中央銀行金融政策委員会(MPC)の3委員を解任して新たに2委員を任命したと官報で発表した。
解任されたのは副総裁2名とMPC委員1名、新たにチャクマク副総裁とツナ委員が任命された。
10月8日夕刻には「エルドアン大統領が中銀総裁への信頼を失い解任も」と報じられていた。今年3月に在任中に三度の利上げを行ったアーバル前総裁を突然解任したことでリラ安が発生、カブジュオール氏が現総裁となってからは「インフレ率を下回る政策金利にはしない」と繰り返し強調してリラ安に歯止めがかかっていたが、エルドアン大統領は早期の利下げを要求していたことに応えなかったとして憤っていたという。

今回は総裁解任をひとまず避けたようだが、利下げ慎重派の副総裁らを解任したことで10月21日の次回中銀金融政策決定会合での追加利下げを強要する姿勢が示されたのではないかと思われる。
トルコリラ円は6月2日安値12.44円を底として9月2日高値13.32円まで持ち直していたが、9月8日にカブジュオール中銀総裁が「政策金利の判断には消費者物価の全体ではなくコア指数を参考とする」旨の発言を行ったことで利下げ懸念が発生して下落に転じ、9月16日のエルドアン大統領による利下げ催促発言から続落、9月23日の中銀による利下げ強行と続いて9月27日に12.42円へ下落して6月2日安値を割り込んだ。その後の下げ渋り持ち合いから転落したことで昨年11月6日の史上最安値12.03円を試し、あるいは底割れへと向かう可能性が高まってきたと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月12日夕刻に12.49円まで反落してからの戻りも続かずに失速していたため、13日午前時点では11日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日夕から16日朝にかけての間への下落を想定した。14日早朝へ急落した後はやや戻しているので目先のボトムを付けて反発期に入る可能性があるが、12.45円を超えないうちは14日夜から15日にかけての一段安警戒とする。12.45円超えからはいったん戻しに入るとみて14日の日中から18日午後にかけての間への上昇を想定するが、戻りは短命に終わる可能性があると注意する。

60分足の一目均衡表では10月12日夕への下落で遅行スパンが悪化、13日早朝に先行スパンから転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は14日朝の急落で20ポイントへ低下してからやや戻しているが、40ポイント以下での推移中は一段安警戒とする。強気転換には50ポイントへ到達する反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.29円を下値支持線、12.45円を上値抵抗線とする。
(2)12.45円以下での推移中は一段安警戒とし、12.29円割れからは12.00円前後試しを想定する。12.00円以下は反騰注意とするが12.45円以下での推移なら15日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.45円から12.50円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみて、その後に12.40円を割り込むところからは下げ再開と考える。

【当面の主な予定】

10月14日
 20:00 外貨準備高 10/8時点 (10/1時点 83.20億ドル)
10月15日
 17:00 9月 財政収支 (8月 +408.4億リラ)
10月20日
 23:30 9月 中央政府債務 (8月 204.2億リラ)
10月21日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合

※ポイント要約は編集部

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