ドル円見通し 5連騰ならず、年初来高値更新するも114円手前で足踏み(21/10/14)

ドル円はCPI発表直後のドル高反応からドル安へと風向きが変わる中で失速、113円台序盤へ下げた。

ドル円見通し 5連騰ならず、年初来高値更新するも114円手前で足踏み(21/10/14)

5連騰ならず、年初来高値更新するも114円手前で足踏み

〇ドル円は13日夜のCPI発表直後113.80で年初来高値更新、その後失速し113円台序盤へ下げる
〇14日未明のFOMC議事録では利上げ時期先送りの参加者も多く公開後もドル安の流れが続く
〇米2年債は0.38%へ上昇し年初来高値更新、10年、30年債は買われ利回り低下
〇米CPIは予想超える上ブレにならず、利上げ想定時期前倒しは避けられると受け止められる
〇FOMC議事録、予想通り雇用改善が進めば11月半ばか12月半ばにテーパリング開始を検討
〇12日夕安値112.99割れからは112円台中盤への下落を想定、112.50以下は反発注意
〇13日夜高値113.80更新からは新たな上昇期に入るとみて114円台前半への上昇を想定

【概況】

ドル円は10月13日夜の米9月CPI発表直後のドル高局面で113.80円を付けて年初来高値を更新したが114円には届かず、CPI発表直後のドル高反応からドル安へと風向きが変わる中で失速、113円台序盤へ下げた。
10月8日の米雇用統計を通過してからの米長期債利回り急上昇を背景に113円超えへ4連騰してきたが、114円手前で上昇一服、米長期債利回りも2年債利回りの上昇と10年債利回りの低下と反応が割れ、ユーロドル等が持ち直しの動きを見せたこと、米CPIもコア指数の前年比が頭打ちしていること、14日未明のFOMC議事録では利上げ時期を先送りしたい参加者も多かった模様が見られたために公開後もドル安の流れが続いている。
113円台で足場を固めて次の上昇機会を伺うか、いったん仕切り直しの調整安で深く押すか試されるところだ。

【米2年債利回りは年初来高値へ、10年債利回りは連騰一服で続落】

10月13日の米10年債利回りは前日比0.04%低下の1.54%、30年債利回りは同0.07%低下の2.03%、2年債利回りは0.02%上昇の0.36%となった。
10年債利回りは米CPI発表直後に1.59%へ上昇したものの早々に低下した。一方で2年債利回りは12日に0.36%まで上昇したところから0.33%まで低下していたがこの日の高値で0.38%へ上昇して年初来高値を更新、終値ベースでも高値を更新した。利上げ時期に敏感な2年債は売られて利回り上昇、利上げまでまだ時間的な余裕があって先行きは物価も落ち着く可能性があると受け止めた10年債や30年債は買われて利回り低下と反応が分かれた。
NYダウは前日比0.53ドル安と小幅な低下、長期債利回りに敏感なナスダック総合指数は同105.72ポイント高と上昇した。

【米CPIは高止まり、FOMC議事録では利上げ想定時期の判断分かれる】

米労働省が発表した9月の消費者物価指数は全体の前月比が0.4%上昇で8月の0.3%から伸びが加速、前年同月比が5.4%上昇となり8月の5.3%(市場予想も5.3%)を上回った。2008年以来13年ぶりの高水準となった。変動の激しいエネルギーと食料を除いたコア指数は前月比が0.2%上昇で8月の0.1%から伸びたが市場予想と一致、前年同月比は4.0%で8月と変わらず、市場予想と一致した。インフレの高止まりが警戒される状況であり米連銀によるテーパリング開始及び来年の利上げを正当化する内容だが、予想を大幅に超える上ブレにはならなかったことで利上げ想定時期がさらに前倒しされることは避けられるとの受け止めとなり、発表直後にいったんドル高反応となった後はドル安へと変わった。

米連銀は9月21-22日の前回FOMC議事録を公開した。
議事録ではテーパリング(量的緩和政策による資産購入の縮小)開始の条件を満たしているかどうかについてのメンバーの判断が分かれたが、予想通りに雇用改善が進めば11月会合で決定すれば11月半ばか12月半ばに開始できるとした。またその際は資産購入規模を現状の月額1200億ドルに対して毎月150億ドルずつ減らして来年半ば頃までに完了する事も検討された。
利上げ時期についてメンバーの意見は分かれており、一部は2022年末までに利上げすることを主張し、一部では今後2、3年は金利の据え置きが望ましいとした。
テーパリング開始への判断については市場の予想通りであり、市場が警戒するほど利上げ時期を前倒ししてくる前傾姿勢ではないという印象だったために公開後はドル安反応となっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、10月12日夜高値113.78円と13日夜高値113.80円でダブルトップ気味に上値がつかえて調整気味の動きに入っている印象だ。10月8日夜の米雇用統計直後にいったん下げてから一段高してきたため、8日夜安値を基準とすれば安値形成期は13日夜から15日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、13日夜高値を超えないうちは14日夜、15日にかけての下落余地のあるところと思われる。13日夜高値超えからは新たな上昇期に入るとみて18日夜から20日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では10月13日夜高値からの下落で遅行スパンが悪化して先行スパンに潜り込んできている。先行スパンからの転落を回避するうちは先行スパンを再び上抜いて遅行スパンも好転するところから上昇再開とするが、先行スパンを上抜き返せないうちは転落の可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11日夜から13日夜にかけての高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生して50ポイントを割り込む下落となった。50ポイント以下での推移中は下落余地ありとするが、30ポイント割れの水準は反騰警戒圏とし、50ポイント超えからは上昇再開の可能性を優先、60ポイント超えからは70ポイント超えを目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
中勢としてはまだ上昇基調の継続中とみるが目先は足踏み型の調整期と思われる。
(1)当初、10月12日夕安値112.99円を下値支持線、13日夜高値113.80円を上値抵抗線とする。
(2)113.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、12日夕安値割れからは112円台中盤(112.70円から112.30円)への下落を想定する。112.50円以下は反発注意とするが、113.25円以下での推移なら15日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)113.50円超えからは強気転換注意として13日夜高値113.80円試しとし、高値更新からは新たな上昇期に入るとみて114円台前半(114.00円から114.50円)への上昇を想定する。113.80円を超えてからも113.50円以上での推移なら15日の日中も高値試しへ進みやすいとみる。また先行きは115円超を目指すとみる。

【当面の主な予定】

10/14(木)
休場 香港(重陽節)
09:30 (豪) 9月 新規雇用者数 (8月 -14.63万人、予想 -13.75万人)
09:30 (豪) 9月 失業率 (8月 4.5%、予想 4.8%)
10:30 (中) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 0.8%、予想 0.9%)
10:30 (中) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 9.5%、予想 10.5%)
13:30 (日) 8月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 -3.2%)
13:30 (日) 8月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 9.3%)
13:30 (日) 8月 設備稼働率 前月比 (7月 -3.4%)
19:10 (英) テンレイロ英中銀委員、講演

21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 0.7%、予想 0.6%)
21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 8.3%、予想 8.7%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前月比 (8月 0.6%、予想 0.5%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前年同月比 (8月 6.7%、予想 7.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 32.6万件、予想 31.9万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 271.4万人、予想 267.5万人)
23:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
23:40 (英) マン英中銀委員、講演
24:00 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会司会
26:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演

10/15(金)
休場 インド(ダシェラ祭)
07:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、討論会参加
13:30 (日) 8月 第三次産業活動指数 前月比 (7月 -0.6%)
18:00 (欧) 8月 貿易収支・季調済 (7月 134億ユーロ、予想 142億ユーロ)
18:00 (欧) 8月 貿易収支・季調前 (7月 207億ユーロ)
21:30 (米) 10月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (9月 34.3、予想 25.0)
21:30 (米) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.7%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 1.8%、予想 0.5%)
21:30 (米) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 -0.3%、予想 0.6%)
21:30 (米) 9月 輸出物価指数 前月比 (8月 0.4%、予想 0.6%)
23:00 (米) 8月 企業在庫 前月比 (7月 0.5%、予想 0.6%)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (9月 72.8、予想 73.8)
25:20 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加

※ポイント要約は編集部

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