トルコリラ円見通し 9月27日以降の持ち合い継続だが対ドルでの最安値更新続く(21/10/13)

10月11日は対ドルでトルコリラは史上最安値を更新したもののドル円の急伸によりトルコリラ円は12.64円まで反発して9月27日安値以降の戻り高値を切り上げた。

トルコリラ円見通し 9月27日以降の持ち合い継続だが対ドルでの最安値更新続く(21/10/13)

トルコリラ円見通し 9月27日以降の持ち合い継続だが対ドルでの最安値更新続く

〇12日のトルコリラ円、12.63まで上昇するも12.60以上は再び売られ13日早朝は12.55のリラ安
〇ドル/トルコリラ、10/12安値9.04で史上最安値更新、ドル高と中銀総裁解任懸念によるリラ売りが背景
〇10/12発表のトルコ8月鉱工業生産、同小売売上高ともに市場予想大幅に上回る
〇12.60以下での推移中は下向きとし、12.49割れからは12.40円台前半を試すとみる
〇12.60から12.63のゾーンは戻り売りにつかまりやすく、12.55割り込むところから下げ再開とみる

【概況】

トルコリラ円の10月12日は12.63円から12.49円の取引レンジ、13日早朝の終値は12.55円で前日終値の12.57円からは0.02円の円高リラ安となった。
9月27日安値で12.42円を付けて6月2日安値12.44円を割り込み昨年11月6日の史上最安値12.03円以降の安値へと下落したが、その後は新たな安値更新を回避している。10月11日は対ドルでトルコリラは史上最安値を更新したもののドル円の急伸によりトルコリラ円は12.64円まで反発して9月27日安値以降の戻り高値を切り上げた。
10月12日もドル円の上昇継続の一方で対ドルでのトルコリラの最安値更新が続き、16時発表のトルコ小売売上高と鉱工業生産が予想を上回る好調さだったことで一時12.63円まで上昇したものの12.60円以上は再び売られ、ドル円の上昇もやや速度が落ちたことで前日比マイナスとなった。

【対ドルでの最安値更新続く】

ドル/トルコリラの10月12日は9.04リラから8.96リラの取引レンジ、13日早朝終値は9.03リラで前日終値の8.99リラから0.04リラのドル高リラ安となった。
10月8日の米雇用統計通過からのドル高とエルドアン大統領による中銀総裁への不満報道によるリラ売りにより8日に8.98リラまで史上最安値を更新したが、11日に9.01リラ、12日も9.04リラと連日の史上最安値更新となっている。12日夕刻のトルコ経済指標が強めの数字だったところではいったんリラ買いも見られたが長続きせずに最安値更新へと売られている。

9月8日にカブジュオール中銀総裁が「政策金利の判断には消費者物価の全体ではなくコア指数を参考とする」旨の発言を行ったことで利下げ懸念によるリラ売りが発生、9月16日のエルドアン大統領による利下げ催促発言、9月23日の中銀による利下げ強行と続いた流れで対ドルでの史上最安値更新へと進んできた。
10月8日夕刻には「エルドアン大統領が中銀総裁への信頼を失い解任も」との報道もあった。現総裁が就任してから利下げをしてこなかったことに対して大統領がいら立っており解任される可能性もあるとの観測記事だった。
10月11日にはカブジュオール中銀総裁が「9月23日の利下げは想定外のことではなく、リラ安とは無関係」と述べたと報じられたが、利下げによる市場の失望に対する強弁と追加利下げの懸念を強めるものと市場は受け止めている。
10月12日にはバークレイズ銀行が顧客向けレポートで向こう3か月間のリラ売りを推奨したとの報道も影響している。

【トルコ経済指標は良好】

10月12日に発表されたトルコの8月鉱工業生産は前月比5.4%増で7月の3.4%減から回復、前年同月比は13.8%増となり7月の9.7%増から伸びて市場予想の10.5%増を大幅に上回った。
8月の小売売上高は前月比0.3%増となる7月の1.2%増から伸びが鈍化したが前年同月比は15.0%増で7月の1.32%増を上回り市場予想の10%弱を大幅に超えた。
前日に発表された8月のトルコ経常収支が5.28億ドルの黒字となり7月の6.83億ドルの赤字から改善して5月の33.25億ドルの赤字だったところからの改善が続いたことも含めてトルコ経済は全般的に堅調な推移を示している。パンデミックからの景気回復を力強く進めていることが評価されてもよいところだが、ロシア製ミサイル等の導入による対米関係の悪化等の地政学的リスクや高インフレにもかかわらず利下げを強行したエルドアン大統領と中銀に対する金融政策姿勢への不信任感によるリラ売りが勝る情勢となっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月27日安値以降は12.40円台後半を下値支持帯として12.60円台序盤までを上値抵抗とした持ち合いの範囲でジグザグの展開が続いており、サイクルのピークもボトムも短縮気味での推移となっている。
10月11日夕刻への上昇で8日午後高値を超えたため、12日午前時点では8日夕安値と9日早朝をダブルボトムとした強気サイクル入りとして高値形成期を13日午後から15日午後にかけての間と想定したが、戻りは短命の可能性があるとして12.53円割れからは弱気転換注意として10月8日夕安値12.45円試しとした。
12日夕刻に12.49円まで反落してからいったん反騰したものの再び失速しているため、11日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定して13日夕から16日朝にかけての間への下落を想定する。強気転換は12日夕高値12.63円超えからとする。

60分足の一目均衡表ではジグザグ推移が続いているため方向感に欠ける。13日早朝時点では先行スパンから転落しているため下落継続余地ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は12日午後の下落で30ポイントへ低下してからいったん50ポイントを超えたものの維持できずに失速気味の推移となっている。55ポイントを超えないうちは下向きとして30ポイント割れを試す流れとし、55ポイント超えからは反騰入りとみて70ポイントを目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.49円を下値支持線、12.60円を上値抵抗線とする。
(2)12.60円以下での推移中は下向きとし、12.49円割れからは12.40円台前半(12.45円から12.40円)を試すとみる。12.42円以下は反発注意とするが、12.42円割れから下げが加速する可能性に注意する。
(3)12.60円から12.63円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみて、その後に12.55円を割り込むところからは下げ再開と考える。

【当面の主な予定】

10月14日
 20:00 外貨準備高 10/8時点 (10/1時点 83.20億ドル)
10月15日
 17:00 9月 財政収支 (8月 +408.4億リラ)
10月20日
 23:30 9月 中央政府債務 (8月 204.2億リラ)
10月21日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合

※ポイント要約は編集部

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