ドル円見通し 4連騰で年初来高値更新続く
〇昨日のドル円、10/8米雇用統計通過後からの急伸継続、12日夜に一段高となり113.78まで上昇
〇米長期債利回り、10年債利回り低下するも2年債は年初来高値0.34%を更新
〇米連銀高官による年内テーパリング開始への支持相次ぐ
〇113円以上での推移中は114円試しとする
〇112.99割れからは112円台中盤への下落を想定
〇本日は米9月消費者物価指数、明日13日未明にはFOMC議事録公開予定、高値追い続くか注視
【概況】
ドル円は10月8日夜の米雇用統計を通過してからの急伸を継続、日足は4連騰で113円台後半へ高値を切り上げている。10月8日の米9月雇用統計発表前に111.99円へ上昇していたところから発表直後に111.50円までいったん反落し、売り一巡からの反騰で発表前高値を超えて112円台へ上昇、11日夜には9月30日高値112.07円を超え、さらに昨年2月20日のパンデミック前高値112.21円を超えて113円到達へ急伸した。
10月12日午前に113.49円まで高値を切り上げてから夕刻に112.99円まで小反落したものの12日夜には113.78円へ一段高となっている。今晩は米9月消費者物価指数、明日未明にはFOMC議事録公開があり、高値追いが続くか注視されそうだ。
【米10年債利回りが反落するも米2年債利回りは一段と上昇】
10月12日の米長期債利回り動向は強弱が分かれた。10年債利回りは前日比0.04%低下の1.58%となったが、2年債利回りは同0.02%上昇の0.34%を付けて年初来高値を更新している。この日は米財務省の3年債580億ドルと10年債380億ドルの入札があり10年債入札は堅調だったことで利回り低下となったが、テーパリング開始と来年の利上げを意識して3年債入札はやや低調となったことで2年債利回りが上昇する結果となったようだ。30年債利回りは0.07%低下して2.10%となっており、より長期の米国債が買われて短期の米国債は売られる格好となった。
ドル円としては米10年債利回りが低下したといっても、10月8日の米雇用統計通過後の一段高状態にあることや、2年債利回りが続伸したことから日米金利差を意識した円安を継続したと思われる。
10月12日のNYダウは前日比117.72ドル安、ナスダック総合指数は20.28ポイント安と下落したが、原油相場高騰によるインフレ進行と主要国中銀による引き締めへの動きを意識したことと7-9月期決算が低調になるのではないかとの懸念が上値を重くしている印象だ。原油相場の高騰が続いていることはドル円にとっても本邦内需圧迫による景気停滞懸念となり円安要因とされる。
【米連銀のテーパリング開始決定見通し】
10月12日は米連銀高官による年内テーパリング開始への支持が相次いだ。
クラリダ副議長はテーパリング開始については「まだ決定はしていない」としたが「来年半ば頃に終わる緩やかなテーパリングは近く正当化される」と述べた。10月8日の9月雇用統計では就業者増加数が低調だったものの「過去3か月の平均は55万人だ」として「今年の労働市場の進展は著しい」とし、「利上げに必要な基準は2023年12月までには満たされる」とした。
アトランタ連銀のボスティック総裁は「インフレが2%を上回って推移する公算が大きい」とし、インフレの上振れリスクは顕著だと述べてテーパリング開始を支持する姿勢を示した。ただ利上げ時期について「1年以上先になる」との見通しを示した。
セントルイス連銀のブラード総裁はインタビューに答えて「11月の量的緩和縮小着手を支持する」「必要なら来年春か夏に利上げできるポジションにいることが望ましい」と述べた。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、10月6日深夜安値と7日夕安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとして11日午後から13日午後にかけての間への上昇を想定し、8日夜へ反落してから一段高に入っているために4日深夜安値から4日目となる8日夜安値を直近のボトムとした強気サイクル入りとすればトップ形成期がさらに伸びる可能性もあると指摘した。
10月12日夕刻へいったん113円割れへ下げてから一段高となっているため、12日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと仮定して15日午前から19日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし、12日夕安値を割り込む場合は12日夜ないし直前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りと改め、10月8日夜安値を基準として13日夜から15日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では10月7日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたがその後も両スパン揃っての好転が続いており、12日夕刻の下落でも遅行スパンは好転を維持している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。その際は先行スパンの下限を支持線とし、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが再び好転するところから上昇再開とみる。
60分足の相対力指数は11日夜から12日夜にかけての高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる。12日夕安値時に50ポイントまで下げてから反騰入りしているので50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、次の50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイントを試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月12日夕安値112.99円を下値支持線、114.00円を上値抵抗線とする。
(2)113円以上での推移中は114円試しとする。114円以上は反落警戒圏とするが、114円到達から上昇が加速する場合は114.50円試しへ上値目途を引き上げるが、114円到達で売られる可能性もあると注意し、高値から0.50円を超える下落発生の場合はいったん調整安につかまる可能性もあるとみる。
(3)112.99円割れからは112円台中盤(112.70円から112.30円)への下落を想定する。112.50円以下は反発注意とするが、112.99円を割り込んでの推移なら14日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
10/13(水)
未 定 (中) 9月 貿易収支・ドル建て (8月 583.4億ドル、予想 450.0億ドル)
未 定 (中) 9月 貿易収支・人民元建て (8月 3763.1億元、予想 2867.0億元)
15:00 (英) 8月 月次GDP 前月比 (7月 0.1%、予想 0.5%)
15:00 (英) 8月 鉱工業生産指数 前月比 (7月 1.2%、予想 0.2%)
15:00 (英) 8月 鉱工業生産指数 前年同月比 (7月 3.8%、予想 3.1%)
15:00 (英) 8月 製造業生産指数 前月比 (7月 0.0%、予想 0.0%)
15:00 (英) 8月 貿易収支・物品 (7月 -127.06億ポンド、予想 -120.00億ポンド)
15:00 (英) 8月 貿易収支・全体 (7月 -31.17億ポンド、予想 -28.00億ポンド)
15:00 (独) 9月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
15:00 (独) 9月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 4.1%、予想 4.1%)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 1.5%、予想 -1.6%)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 7.7%、予想 4.7%)
21:30 (米) 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 5.3%、予想 5.3%)
21:30 (米) 9月 消費者物価コア指数 前月比 (8月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 4.0%、予想 4.0%)
26:00 (米) 財務省30年債入札
26:00 (世) G20財務相・中央銀行総裁会見
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月21-22日開催分)
29:30 (米) ブレイナードFRB理事、講演
10/14(木)
休場 香港(重陽節)
07:00 (豪) デベル豪中銀副総裁、講演
08:01 (英) 9月 英RICS住宅価格指数 (8月 73、予想 70)
09:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
09:30 (豪) 9月 新規雇用者数 (8月 -14.63万人、予想 -13.50万人)
09:30 (豪) 9月 失業率 (8月 4.5%、予想 4.8%)
10:30 (中) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 0.8%、予想 0.9%)
10:30 (中) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 9.5%、予想 10.6%)
13:30 (日) 8月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 -3.2%)
13:30 (日) 8月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 9.3%)
13:30 (日) 8月 設備稼働率 前月比 (7月 -3.4%)
19:10 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 0.7%、予想 0.6%)
21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 8.3%、予想 8.7%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前月比 (8月 0.6%、予想 0.5%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前年同月比 (8月 6.7%、予想 7.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 32.6万件、予想 32.3万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 271.4万人、予想 269.6万人)
23:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加
23:40 (英) マン英中銀委員、講演
24:00 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会司会
26:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2021.10.13
ドル円、年初来高値を更新し、節目114円突破が射程圏内に。本日は米CPIに注目(10/13朝)
12日(火)のドル円相場は続伸。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。