『ダウンサイドリスクに要警戒。トルコ中銀の利下げ観測が相場の重石』
〇今週のトルコ円、実質金利の低下、中銀の追加利下げ観測、世界的株安に週央12.47まで下落
〇その後は世界的株価持ち直しによるリスクセンチメントの改善に12.60まで反発し、12.50付近で越週
〇トルコ円主要チャートポイントを下抜け、三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも成立、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも現トルコ中銀の独立性への疑義等のトルコ売り材料燻る
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.30ー12.70
今週のレビュー(10/4−10/8)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.53円で寄り付いた後、@インフレ高進に伴う実質金利のマイナス幅拡大(総合CPIは8月の19.25%から19.58%へ上昇、コアCPIも8月の16.76%から16.98%へ上昇)や、Aトルコ中銀による根強い追加利下げ観測(上記@にも係わらずトルコ政府による圧力を背景に追加利下げ観測が残存)、B世界的な株価急落(米長期金利上昇→株価急落→リスク回避の新興国通貨売り)が重石となり、週央にかけて、週間安値12.47円まで下落しました。しかし、9/27に記録した直近安値12.43円をバックに下げ渋ると、C米雇用統計を控えたポジション調整や、D株式市場の持ち直し(リスク回避ムード後退)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値12.60円まで反発しました。本稿執筆時点(日本時間10/9午前3時10分現在)では、12.51円前後で推移しております。
来週の見通し(10/11−10/15)
トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、9/27にかけて、約1年ぶり安値となる12.43円まで急落しました(今週は幾分持ち直すも引き続き上値は重たい)。この間、一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線といった主要チャートポイントを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て地合いは弱いと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀カブジェオール総裁は今週、国内投資家との電話会見の中で、コア物価指標は短期的に低下する見通しであるとのハト派的なスタンスを強調→市場では次回10/21に開催される会合での追加利下げを織り込む展開)や、A中銀の独立性に対する不信感(トルコ中銀がエルドアン大統領の圧力に屈したとの見方が主流→国内から国外への資本流出圧力)、Bトルコ経済の先行き不透明感、C米国との関係悪化懸念(ロシア製地対空ミサイルS400の追加購入を巡る米トルコ関係の悪化懸念)など、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は10/11に予定されているトルコ8月雇用統計、トルコ8月経常収支、10/12のトルコ8月鉱工業生産に注目が集まります。市場予想を下回る結果となった場合には、トルコ経済の先行き不透明感の高まりを通じて、トルコリラ円相場に強い下押し圧力が加わる可能性があるため、来週も引き続き、ダウンサイドリスクに警戒が必要でしょう(10/21に開催される次回トルコ中銀会合に向けて、追加利下げ観測台頭→リラ売り再開の流れが強まるリスクあり)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.30ー12.70
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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