9月27日安値からの下げ渋り持ち合いも9日目
〇トルコリラ円、9/27安値から横ばいの持ち合い続くも、10/8朝12.60へ上昇、10/7高値わずかに超える
〇対ドル、10/6安値8.93からはややリラの買い戻しの動きとなったが、高値切り上げへは進めず
〇トルコ中銀総裁、現状もまだ引き締め的と発言、10月会合で利下げの可能性もあるか
〇12.50以上での推移中は上昇余地あり、12.60超えの場合は12.62から12.65にかけての上昇を想定する
〇12.50割れからは10/6夜安値12.45試しとし、底割れからは12.43から12.40を目指すとみる
【概況】
トルコリラ円の10月7日は12.58円から12.48円の取引レンジ、8日早朝の終値は12.55円で前日終値の12.53円からは0.02円の円安リラ高となった。
トルコ中銀による9月23日の利下げ強行による下落で9月27日に12.42円まで安値を切り下げて6月2日安値12.44円を割り込み昨年11月6日の史上最安値12.03円以降の安値となったが、その後は売り一巡で下げ渋りに入り、12.50円を中心として12.60円台序盤から12.40円台後半までのレンジ内でほぼ横ばいの持ち合い推移が続いており、日替わりで前日比のプラスマイナスを繰り返している。10月7日も横ばい推移から抜け出すきっかけには欠けている。
ここ4日間はジグザグでの騰落を繰り返している中で上昇時に12.60円台に到達できずに推移していたが、8日朝には一時12.60円へ上昇して7日午後高値をわずかに超えている。持ち合い中の高値は9月30日の12.62円。
【対ドルでの下落一服だが一段安状態から抜け出せず】
ドル/トルコリラの10月7日は8.89リラから8.82リラの取引レンジ、8日早朝の終値は8.87リラで前日終値の8.87リラからは変わらずだった。
10月6日のドル高局面で8.93リラへと下落して9月29日に付けた史上最安値8.95リラへ迫ったものの安値更新を回避してややリラの買い戻しの動きとなったが、8.80リラ台序盤ではリラ売り圧力もあり、10月1日高値8.80リラの後は高値切り上げへ進めずにいる。
10月7日は米長期債利回りが上昇したが、主要国の長期債利回りも上昇していることでドル高の決め手にはならず、豪ドル米ドルが9月30日早朝安値以降の高値を更新、南アランドも9月30夜安値以降の高値を切り上げたが、ユーロドルは深夜にかけてやや上昇してから失速し、ポンドドルも10月5日深夜高値に迫ったものの高値更新には至らないなど、ドルに対する強弱もまちまちだった。
【トルコ中銀総裁、現状もまだ引き締め的と発言】
トルコ中銀のカブジュオール総裁が10月6日の国内投資家との電話会見で「インフレ対応として金融政策は十分に引き締まっており、コア物価指標は短期的に低下する見通し」と述べたと報道された。追加の利下げがあるのかどうかについての言及はなかったとされ、利下げ決定について「コアインフレ指標のみを見ているわけではない」とも述べたという。また総裁は「既に1年に渡って引き締め政策を実行しており9月23日の利下げでも引き締め状況は変わらない」と述べたという。
カブジュオール総裁は9月8日時点で政策判断指標としては消費者物価上昇率の全体ではなくコア指数を参考にする旨を発言したことで利下げへの懸念を強めた。今回の利下げも消費者物価コア指数の上昇率が前年比で16.8%のところで政策金利を19%から18%へ引き下げている。10月4日に発表された9月の消費者物価コア指数は前年比17.0%へ若干上昇しているが、引き下げられた政策金利を下回っているため追加の利下げ余地も残っている。エルドアン大統領による利下げ圧力が増すなら10月会合での利下げの可能性も「無きにしも非ず」と思う。
【トルコの外貨準備高はグロスで増加】
10月7日夜に発表されたトルコの外貨準備高は10月1日時点のグロスで832億ドルとなり9月24日時点の828.4億ドルから増加、ネットでは292.8億ドルとなり同304.3億ドルからはわずかに減った。
グロスでは2020年11月時点で403.7億ドルまで減少したとろをボトムとして増加に転じ、6月からは増加ペースが加速して現時点までに倍増している。一方でネットでは2021年4月に99.3億ドルまで減少して100億ドルを切った水準となったところから増加に転じてきたが、9月24日時点で300億ドルに達してほぼ3倍増となっている。
トルコの外貨準備高の実体については、野党の追及ですでに枯渇に近いのではないかとの指摘があったが中国やカタール等との通貨スワップ協定拡大もあって着実に回復しており、そのことが今年6月からのトルコリラの上昇を支えてきたともいえるのだが、9月23日の中銀による利下げ強行により、リラを取り巻く主要テーマとしては物価と追加利下げの有無という問題に市場の目も向いている。
10月21日の次回トルコ中銀金融政策決定会合まではまだ間がある。来週は10月11日に失業率と経常収支、12日に鉱工業生産と小売売上高の発表がある。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月28日午後高値以降は12.50円前後から12.60円前後までの高安レンジ内でのジグザグ推移が続いている。
10月6日夜への下落で4日深夜安値を割り込んだため、7日午前時点では底割れによる弱気サイクル入りとして7日夜から11日深夜にかけての間への下落を想定したが、6日夜安値からの反騰が続いて8日朝には6日午前高値を超えてきているので、6日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は11日午前から13日午前にかけての間と想定されるが、短期の騰落を繰り返しているので戻りは短命の可能性もあるとみて12.55円あれからは弱気サイクル入りと仮定して11日夜から13日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表ではジグザグ推移が続いているため方向感に欠けるが、先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7日夕の反落時に40ポイント台序盤へ下げたところから持ち直しているが60ポイント台序盤に抵抗感が出ている。短期の騰落を繰り返しているので70ポイント前後は戻り売りにつかまりやすく、45ポイント割れからは下向きとするが、30ポイント前後は買い戻される展開が続きやすい状況だ。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.50円を下値支持線、12.60円を上値抵抗線とする。
(2)12.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、12.60円超えの場合は12.62円から12.65円にかけての間への上昇を想定する。12.62円以上は反落警戒圏とするが、12.55円を上回ての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.50円割れからは10月6日夜安値12.45円試しとし、底割れからは12.40円台序盤(12.43円から12.40円)を目指すとみる。12.40円以下は反騰注意とするが、12.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
10月11日
16:00 8月 失業率 (7月 12.0%)
16:00 8月 経常収支 (7月 -6.83億ドル)
10月12日
16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -4.2%)
16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 8.7%)
16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.7%)
16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 12.3%)
10月14日
20:00 外貨準備高 10/8時点 (10/1時点 83.20億ドル)
10月15日
17:00 9月 財政収支 (8月 +408.4億リラ)
10月20日
23:30 9月 中央政府債務 (8月 204.2億リラ)
10月21日
20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合
※ポイント要約は編集部
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