ドル円見通し 米長期債利回り上昇とリスクオンで111円台中盤へ戻す(21/10/8)

ドル円は10月6日夜安値で111.19円まで反落したところからややジリ高の推移を続けて10月8日早朝には111.65円まで戻している。

ドル円見通し 米長期債利回り上昇とリスクオンで111円台中盤へ戻す(21/10/8)

ドル円見通し 米長期債利回り上昇とリスクオンで111円台中盤へ戻す

〇ドル円、10/6夜111.19へ反落したところから持ち直しの動きを続け、10/8早朝111.65まで戻す
〇米長期債利回り再上昇、米連邦債務上限問題の与野党合意、株式市場のリスク選好感回復がサポート
〇NYダウ・ナスダックともに3連騰、昨日発表の経済指標も良好
〇本日発表の米雇用統計次第では、急伸も急落もあり得る状況か
〇111.40以上での推移中は111.78試し、高値更新からは112.07、さらに112.50前後を目指すと想定する
〇111.40割れからは下向きとして111.19試し、111.19割れからは110.81前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は10月6日夜安値で111.19円まで反落したところからややジリ高の推移を続けて10月8日早朝には111.65円まで戻している。米長期債利回りの上昇を背景に9月22日安値109.11円を起点として9月30日高値112.07円まで上昇してきたが、米長期債利回りが低下に転じたことで10月4日深夜安値で110.81円まで下げた。その後は米長期債利回りが再び上昇し始めたことや米連邦債務上限問題でひとまず12月までの上限引き上げで与野党が合意したことからNYダウが連騰に入ったことでリスク選好感も回復気味となり、10月6日夜の反落からも持ち直しの動きを続けて10月6日午後高値111.78円に迫ってきている。
米労働省が発表した10月2日までの週間新規失業保険申請件数は前週比3万8000件減少の32万6000件となり市場予想の34万8000件を下回り4週ぶりの改善となった。失業保険受給者総数は9月25日までの週間で271万4000人となり前週比9万7000人減少して市場予想の278万人を下回った。

【米長期債利回り上昇続き、ダウの3連騰もドル円を押し上げる】

米上院では連邦債務上限問題について12月初めまでの引き上げを与野党で合意した。これにより10月18日には財務省資金が枯渇してデフォルトに陥るとの懸念はひとまず回避された。週間新規失業保険申請件数が4週ぶりに前週から改善したことも重なり、NYダウは前日比337.95ドル高と3連騰、ナスダック総合指数も152.11ポイント高で3連騰した。
一方で米10年債利回りは前日比0.05%上昇の1.57%となり、高値では1.576%を付けて1月6日の1.573%を超えて8月4日の1.12%以降の高値を更新した。2年債利回りも前日比0.01%上昇の0.31%となり9月28日に付けた年初来ピークの0.32%へ迫っている。9月23日のFOMC後に急伸し、9月28日から10月1日まで4日連続の低下となったが、10月4日からは4連騰で切り返している。

NYダウの3連騰でリスク回避感が後退、株買い債券売りの流れで利回りが上昇した側面と、9月23日未明のFOMCによる利下げ想定時期前倒しによる長期金利上昇感が重なっている。当面して債務上限が引き上げられたことで来週の米長期債大量入札も債券売り・利回り上昇要因となっている。10月11日は米国祝日だが、12日には総額380億ドルの10年債と580億ドルの3年債、3か月物財務省証券(TB)420億ドルと6か月物TB420億ドル、13日にはさらに240億ドルの30年債の売却も予定された。
ドル円にとっては日米長期債利回り格差の拡大によるドル買い円売りに加え、株高によるリスク選好的なクロス円の上昇での円安感も重なる状況となっている。ただし、10月8日の米労働省雇用統計次第では急伸も急落もあり得るところと注意する。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月30日夜高値を起点として弱気サイクル入りしたが、10月4日深夜安値からの反騰を継続して4日夜高値を上抜いたため、6日午前時点では4日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期を5日夜から7日夜にかけての間としていたが、10月6日午後高値へ上昇したところから6日深夜安値へ反落したために7日午前時点では6日午後高値をサイクルトップとして新たな弱気サイクルに入ったと思われるとした。
10月6日深夜安値からはジリ高が続いており6日午後高値に迫っている。6日午後高値を上抜く場合、10月6日深夜安値と7日夕安値をダブルボトムとした強気サイクル入りと仮定する。6日午後高値を基準に高値形成期を11日午後から13日午後にかけての間とする。雇用統計から急落商状となる場合及び6日深夜安値を割り込む場合は6日午後高値と直前高値によるダブルトップ形成からの弱気サイクル入りとし、7日午後安値を基準として12日午後から14日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月7日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7日夜の上昇で60ポイント台に到達してその後も50ポイント以上での推移を続けているのでまだ上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開と仮定して30ポイント台への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月6日深夜安値111.19円を下値支持線、6日午後高値111.78円を上値抵抗線とする。
(2)111.40円以上での推移中は6日午後高値111.78円試しとし、高値更新からは9月30日夜高値112.07円試しへ向かい、さらに112.50円前後を目指す流れを想定する。6日午後高値を超えた後、111.50円以上での推移が続くなら週明けも高値試しへ進みやすいとみる。
(3)111.40円割れからは下向きとして6日深夜安値111.19円試しとし、111.19円割れからは4日深夜安値110.81円前後への下落を想定する。110.80円以下は反発注意とするが、下げ足が速まる場合は110.50円前後へ下値目途を引き下げる。また6日深夜安値を割り込んだ後も111.25円以下での推移が続くなら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/8(金)
09:30 (豪) 豪中銀半期金融安定報告
10:45 (中) 9月 財新サービス業PMI (8月 46.7)
14:00 (日) 9月 景気ウオッチャー現状判断DI (8月 34.7、予想 43.0)
14:00 (日) 9月 景気ウオッチャー先行判断DI (8月 43.7、予想 48.5)
15:00 (独) 8月 貿易収支 (7月 181億ユーロ、予想 150億ユーロ)
15:00 (独) 8月 経常収支 (7月 176億ユーロ、予想 176億ユーロ)
21:30 (米) 9月 非農業部門就業者数 前月比 (8月 23.5万人、予想 50.0万人)
21:30 (米) 9月 失業率 (8月 5.2%、予想 5.1%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前月比 (8月 0.6%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前年同月比 (8月 4.3%、予想 4.6%)
23:00 (米) 8月 卸売在庫 前月比 (7月 0.6%、予想 1.2%)
23:00 (米) 8月 卸売売上高 前月比 (7月 2.0%)


※ポイント要約は編集部

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